伸び続く冷凍食品を押さえつつ、気温上昇でうなぎ上りのゼリー、アイスクリームを売り込む|「これは押さえたい」日配編・2023年5月

2023.04.14

城取フードサービス研究所代表 城取博幸

5月の行事、イベントは、ゴールデンウィーク(4月29日~5月5日)、メーデー(1日)、みどりの日(4日)、子供の日(5日)、立夏(5日ごろ)、母の日(第2日曜日)、梅雨入り(下旬)、新茶(4月中旬~5月) 。

3月13日~5月13日までは「十三参り」。京都や大阪で行われてきた行事で、数えで13歳になった子供が健やかに成長してきたことに感謝し、知恵と福徳を授かれように願う行事。

また、「潮干狩り」のシーズンでもあり、「人が動く」時季。人が「動けば商品も動く」ため売り逃しがないようにする。ハンディフーズの菓子パン、バーガー、サンドイッチなどは品切れに注意。地方では5月~6月は「田植えシーズン」を迎えるため、味付けいなり、おにぎりの具、冷凍弁当材料など「野良(のら)弁当(重箱)」食材も訴求する。

2022年の家計消費で5月に需要が増え、前年も上回ったゴールデンカテゴリーはちくわ(108.0%)、かまぼこ(109.4%)、梅干し(111.1%)、昆布つくだ煮(101.2%)、他の和生菓子(116.8%)、ゼリー(102.5%)、アイスクリーム(106.6%)、冷凍食品(110.8%)、シューマイ(112.8%)、乳酸菌飲料(114.3%)、乳飲料(100.5%)。

5月に需要が増えたが、前年を下回ったカテゴリーは中華麺(94.2%)、豆腐(98.4%)、他の漬物(93.4%)、ケーキ(98.4%)、プリン(95.0%)、コーヒー飲料(99.1%)、果実、野菜ジュース(97.3%)、他の飲料(102.7%)。

5月の需要は変わらないが前年を上回ったカテゴリーはパン(102.2%)、他のパン(105.8%)、他の洋生菓子(107.0%)、他の調理済調理食品(109.8%)。

5月に需要は減ったが前年を上回ったカテゴリーは揚げかまぼこ(103.1%)、魚介つくだ煮(101.6%)。

5月の需要はあまり変わらないが前年を下回ったカテゴリーは食パン(95.2%)、生うどん、そば(91.2%)、牛乳(99.1%)、ヨーグルト(94.3%)、バター(97.5%)、チーズ(90.9%)、卵(95.9%)、マーガリン(89.3%)、調理パン(96.9%)。

5月に需要が減り、前年も下回ったカテゴリーは揚げ、がんも(95.5%)、納豆(90.6%)、こんにゃく(97.3%)、大根漬け(93.3%)、白菜漬け(86.0%)、ギョーザ(91.2%)。

4月から4000品目がさらに値上げされた。原材料の値上げが続いているため引き続き物価に関しては注視する必要がある。

製品が値上げしているため、前年比105%以上の売上げは確保したい。値上げによる平均単価アップで消費金額の伸びが予想されるが、客数、購入数量を注視する必要がある。基礎食品は2桁価格のSKUを拡大し目立つ陳列を行いたい。

5月のゴールデンカテゴリーは、ちくわ(108.0%)、かまぼこ(109.4%)、梅干し(111.1%)、昆布つくだ煮(101.2%)、他の和生菓子(116.8%)、ゼリー(102.5%)、アイスクリーム(106.6%)、冷凍食品(110.8%)、シューマイ(112.8%)、乳酸菌飲料(114.3%)、乳飲料(100.5%)。

和日配は生食のちくわ、かまぼこなどの魚介練製品、相変わらず好調な甘味類(和洋生菓子)、乳酸菌飲料や乳飲料など機能性飲料も好調。気温の上昇からアイスクリーム、手間抜き料理の冷凍食品も好調なだけに売り逃しを防ぐ。

不振であったカテゴリーは、揚げ、がんも(95.5%)、納豆(90.6%)、こんにゃく(97.3%)、大根漬け(93.3%)、白菜漬け(86.0%)、餃子(91.2%)。夏に向けて鍋物、煮物材料の加熱用の需要が落ちる。春野菜が出回ることから漬物類の需要も落ちるが、梅干しは2桁成長であるため注力して販売したい。

5月から需要が伸び、さらに前年を上回った「ゴールデンカテゴリー」は積極的に販売し売り逃しがないようにしたい。前年を下回ったカテゴリーは販促を強化する。

かまぼこ

かまぼこは7月まで需要が高まる。前年比も109.4%と好調であった。加熱用練製品から、生食用のちくわ、板かまぼこ、カニかまぼこ、笹かまぼこ、チーズかまぼこ、珍味かまぼこが動き始める。鍋、煮物などの需要は減るが、炒め物、揚げ物需要を掘り起こしたい。

売場づくり

加熱用練製品の売場縮小、生食用練製品の売場拡大。加熱用はロス対策で真空パック商品やMAP(ガス置換)商品も品揃えする。おつまみ、おやつに「スティックタイプ」の生食用かまぼこも積極的に販売したい

豆腐

豆腐は8月まで需要は高まるが、昨年5月は前年比98.4%と前年を割った。従来型のやっこ豆腐(もめん、絹)ばかり扱っていても需要は伸びない。プラントベースが注目されているだけに、新感覚の大豆加工品を導入する必要がある。

売場づくり

ゴマ豆腐、クルミ豆腐、ピーナッツ豆腐などの従来品の他に、オーツミルク豆腐、アーモンドミルク豆腐などで「新感覚」の大豆加工品売場をつくる。

梅干し

梅干しの需要は5月から8月までがピーク。昨年は前年比111.1%と2桁成長したゴールデンカテゴリーだ。梅干しは「干し、漬け、発酵、丸ごと」など強みを持つ、日本が世界に誇れる伝統食品だけに積極的に販売したい。

売場づくり

5月末から6月にかけて梅干しを漬けるシーズンが到来する。梅は漬けてもすぐには食べられないため目立つ場所で販売したい。地元生産者の「手づくり梅干し(前年分)」を梅売場でも販売したい。

冷凍食品

冷凍食品は需要が伸び、前年比も110.8%と二桁成長であった。冷凍食品も値上げされているが、主食類は惣菜価格より安い。

家庭で料理をするより冷凍食品で食事を済ませた方が安上がりになるため、冷凍食品のメリットを訴求して販売したい。

売場づくり

ゴールデンウィークは弁当材料とレディミール(レンジアップ商品)。連休明けは節約志向が高まるため、ギョーザ、シューマイなどの中華類やコロッケ、フライを販売する。

パン

パンも5月は需要が高く、パン全体では前年102.2%であった。他のパン(菓子パン、デニッシュ類)は105.8%の伸びであったが、食パンは95.2%と前年を割った。パンも値上げが行われるため品揃え構成に注意したい。

売場づくり

5月は食パンより菓子パン類を主体に販売する。ゴールデンウィークに向けて菓子パン類を平台で「均一セール」や「バンドルセール」を実施する。

ゼリー

ゼリーの需要は7月までうなぎ上りだ。昨年比は102.5%であったが今年は気温が高めであるため、早めの大量陳列でさらなる売上げアップを図りたい。昨年1カ月分の数量を把握し、半月分ほどの数量を月初から大量陳列するとよい。

売場づくり

需要期に向けてジャンボフルーツゼリー、ソフトゼリー、クラッシュゼリー、コーヒーゼリーのフェースとアイテムを拡大する。特にゴールデンウィークには「アルミパック入りゼリー」を大量陳列して販売したい。

アイスクリーム

アイスクリームも7月まで需要はうなぎ上り。前年比106.6%のゴールデンカテゴリーだ。光熱費の値上げから冷凍食品、冷凍ケースの霜取はこまめに行いたい。冷凍ケースのメンテも早めに行っておく。

売場づくり

小型サイズのノベルティ商品、小型サイズのマルチタイプの品揃えを増やし、「高い」というイメージを持たれないようにしたい。ゴールデンウィークの氷は売場の拡大、バック在庫の確保で品切れに注意する。

乳飲料

乳飲料の昨年5月は100.5%と久々にぎりぎり前年をクリアした。需要が高まる時季だけに注力して販売したい。乳飲料は乳や乳製品を主体とした飲料。栄養強化牛乳やカフェオレなど乳固形分3.0%以上の製品がそれに当たる。

売場づくり

牛乳売場ではカルシウム強化や機能性乳飲料を訴求する。カフェオレも1ℓタイプ、ハンディタイプのフェースを広げて販売する。

トレンド商品

だし粉

国産原料の「いわし煮干し」と「あおさのり」を粉末にしてふりかけ状にした商品。化学調味料、保存料無添加。「焼きそば」「焼うどん」「野菜炒め」「お好み焼き」「おでん」の隠し味として使えば外食に負けない味が楽しめる。

カルシウムやミネラル補給にも役立つ。「チャーハン」や「和風パスタ」にも合いそうだ。幅広く使えあればうれしい商品だけに焼きそば売場で関連販売したい。

アーモンドミルクヨーグルト(生菓子)

原材料は、発酵アーモンドペースト、食物繊維、デキストリン、寒天などで、乳製品は使用してないプラントベース食品だ。デキストリンはトウモロコシやイモ類のデンプンを分解したもので食品添加物ではない。

いままでは「豆乳ヨーグルト」はあったが「アーモンドミルクヨーグルト」が新登場。「オーツミルク豆腐」を以前紹介したが、豆腐とヨーグルト、生菓子がボーダレスになりつつある。将来的にはプラントベースはまとめてコーナー化したい。