初夏に向かう時季の売れ筋押さえと値上がり影響を打破する付加価値商品の開発を|「これは押さえたい」惣菜編・2023年5月

2023.04.17

2023.04.28

日本フードサービス専門学院学院長 林 廣美
城取フードサービス研究所 城取博幸

5月の行事、イベントは、ゴールデンウィーク(4月29日~5月5日)、メーデー(1日)、みどりの日(4日)、子供の日(5日)、立夏(5日頃)、母の日(第2日曜日)、梅雨入り(下旬)、新茶(4月中旬~5月)  3月13日~5月13日まで、十三参り、京都や大阪で行われてきた行事。数えで13歳になった子供が健やかに成長してきたことに感謝し、知恵と福徳を授かれように願う行事。4月~5月にかけては、潮干狩りのシーズン。

4月下旬から5月上旬は、人が動く時。人が動けば商品も動くため売り逃しがないようにする。ハンディフーズのおにぎり、いなり、バーガー、サンドイッチなどは品切れに注意。地方では5月~6月は、田植えシーズンでもあるため、、野良(のら)弁当(重箱)の訴求や注文も必要だ。

2022年の家計消費で5月に需要が伸び前年を上回ったゴールデンカテゴリーはサラダ(104.3%)、コロッケ(108.9%)、カツレツ(109.4%)、シューマイ(112.8%)、焼き鳥(103.7%)、ハンバーグ(101.4%)、天ぷら、フライ(105.3%)。

5月に需要の変化はあまりないが前年を上回ったカテゴリーはおにぎり(111.9%)、他の主食的調理品(109.8%)。5月に需要が下がったが前年を上回ったカテゴリーは寿司(102.1%)。

5月に前年を下回ったカテゴリーは弁当(98.8%)、調理パン(96.9%)、うなぎのかば焼き(77.7%)、ギョーザ(91.2%)、惣菜食材セット(79.0%)。

コロナの影響が次第に少なくなっていく中、惣菜は外食の動きを注視する必要がある。また、原材料の値上げが続いているため引き続き物価に関しては注視する必要がある。

ゴールデンカテゴリーは、サラダ(104.3%)、コロッケ(108.9%)、カツレツ(109.4%)、天ぷら、フライ(105.3%)、シューマイ(112.8%)、焼き鳥(103.7%)、ハンバーグ(101.4%)。、揚げ物+サラダを訴求したい。

伸びなかったカテゴリーは、弁当(98.8%)、調理パン(96.9%)、うなぎのかば焼(77.7%)、餃子(91.2%)、惣菜食材セット(79.0%)。弁当、調理パンは、今年は好調であるため売上げアップが望める。

4月から需要が伸び、さらに前年を上回った、ゴールデンカテゴリーは積極的に販売し売り逃しがないようにしたい。不振なカテゴリーは販促を強化する。ゴールデンウィークは、おにぎり、調理パン、バーガー、フライドポテトなどハンディーメニューを訴求する。子どもの日は、、寿司盛り合わせ、お祝い折など和食を中心にしたメニューの訴求。母の日は、ピザ、パスタ、洋風鍋、シチューなど洋風メニューとサラダの訴求。

潮干狩り、新茶シーズン対応は、あさりご飯、深川飯、ボンゴレビアンコ、パエリアや、抹茶まんじゅう、抹茶あんみつ、抹茶プリン、抹茶を使ったデザートを訴求する。

おにぎり

おにぎりは111.9%と2桁の伸びであり今年も期待できるカテゴリーだ。ゴールデンウィークの行楽、帰省客をターゲットに販売する。手でつまめるおかずを入れたミニおにぎり弁当(アウトパック)も積極的に販売したい。車移動も増え駐車時には車内がかなりの高温になるため安全な商品を販売する。

売場づくり

おにぎりは個食販売が多いが、ゴールデンウィークや田植えシーズンなど人が集まるときは4個入り、6個入りのアソートおにぎりや天むすの販売も考えたい。じか巻きおにぎりの上に具材をトッピングするとよい。いなり寿司アソートも忘れずに訴求する。

他の主食的加工食品

他の主食的調理品(スナック類)は前年109.8%の伸びであった。昼食や行楽帰りの夕食をターゲットに涼味麺、焼きそば、お好み焼き、たこ焼き、チャーハン、ピラフ、ピザを訴求。大型パックのサラダ(生野菜、サラダ盛合せ)も忘れずに訴求する。

売場づくり

シェアして食べられるよう、焼きそば、チャーハン、たこ焼きなどは大型パックも品揃えする。ピザの販売にも力を入れ、チルドピザも販売する。マルゲリータを中心に家庭でアレンジすることを提案。チルドピザはオーブンで加熱した後、オリーブオイルを敷いたフライパンに移し、中火で加熱すればパリパリのクラストになることも提案。

天ぷら、フライ

天ぷら、フライは需要も高く、前年比105.3%のゴールデンカテゴリー。食用油、小麦粉の値上げ、面倒な油の処理で、家庭で揚げ物をすることがさらに減ることが予想される。今年は天ぷら、フライ、唐揚げはさらなる売上げアップが望める。原料が安定供給されている、エビフライ、アジフライ、イワシフライを量販したい。コロッケも売上げが好調だ。

売場づくり

揚げ物のばら販売の他に、揚げ物アソートパック、ミニオードブルなど品揃えも必要。天ぷらセットは冷凍食品をうまく使い品切れが無いようにしたい。季節の精進揚げも品揃えしたい。

ハンバーグ

ハンバーグは9月に次ぐ2番目の需要高。ゴールデンウィークの子どもの休みや行楽弁当で需要が高まる月。ハンバーグはチルド食品や冷凍食品に需要を奪われているが売れる5月に販売強化を図りたい。つくねやミートボールも売れているため同じコーナーで販売する。

売場づくり

ハンバーグはディナー用、弁当用の他に、ミニハンバーグも品揃えしたい。ミートボールがよく売れているため、小粒タイプ、大粒タイプ、鶏つくねを販売する。またプラントベースを混ぜたハイブリッドの豆腐ハンバーグ、おからハンバーグ、大豆ミートハンバーグ、大豆ミートミートボールなどの品揃えも強化したい。

トレンド商品

鶏唐揚げと揚げ野菜の黒酢かけ

素揚げ野菜と鶏の唐揚げを黒酢であえたもの。鶏肉も値上げされているため、ボリュームを出すため、野菜と組み合わせたメニューを提案したい。黒酢を使っているためサッパリと食べられる。鶏天に冷凍野菜天ぷらを加え黒酢であえた鶏天+野菜天ぷらもおもしろい。1人前と2人前の2SKUで販売する。酢豚も忘れずに販売する。

ワカメおにぎり

山口県のどんどんうどんの名物おにぎり。白ご飯にパリパリの刻みワカメをご飯が見えないほどまぶした素朴なおにぎりだ。店内製造で袋に入れてうどん店で販売。価格は110円。今年は高額おにぎりだけでなく安価なふりかけおにぎりにも注力して販売したい。海外でふりかけが人気を集めているという。サラダやパスタのトッピングに使われているようだ。

ミートボールカレー

夏に向けてカレーライスの需要が高まる。今年はカレーにミートボールをトッピングした商品を販売したい。ロースカツカレーや、チキンカツカレーはよく見かけるが、ハンバーグやミートボールもカレーによく合う。家庭で作るカレーのトッピングにも提案したい。

5月はハンバーグ、ミートボールの需要が高いため、カレーだけでなく、パスタ、ピラフ、焼きそばにもミートボールをトッピングして付加価値を高めたい。

注力するアイテム

長かったコロナ禍の収束で惣菜ビジネスにも大きな変化が生まれている。惣菜売場が一段アップして、充実していくはず。

昔からパンデミックの後には、世の中が変わると言われている。世界的なインフレが起こり、惣菜商品の値上がりなどで家庭内の内食回帰も起こるかもしれない。しかしながら一時的な買い控えで売上げの停滞などが起きても、惣菜需要は回復し、以前にも増して惣菜の売上げは上がるはずである。

ただし、その時の惣菜商品はいままでと変わる必要がある。さまざまな食品の惣菜化、惣菜の冷凍食品の増加、外食のテークアウトなど、競合が今まで以上に増えるからだ。

新しい惣菜として、惣菜の特色である即食性を高め、さらなる惣菜の便利さを要求される世の中に変化するからである。当然、惣菜商品も対応しておいしさ、見た目の商品力、ランチタイム、夕食、平日と週末など新しいメニューの工夫が必要だ。

惣菜の即食性が進化し、飲食の外食との競合にも影響され、店内に作りたて商品を販売するデパ地下のような対面販売売場も増えるといわれている。惣菜の強みである作りたてが大きな武器となるはずである。いまからそうした世の中の要求に計画を立てて準備する必要がある。 

夏型売場への切り替え時季。今年も異常気象で例年より気温上昇が早く来る気配が強い。早め早めに夏型商品を用意。加えてインフレによる値上げ対策も必要だ。内食が増えるが、ボリュームとおいしさ、値ごろ価格が試されるのでメニュー開発が重要。

原料値上げなどで商品の売価が上がり、惣菜の売上げが低調のときは、鶏肉原料の(タンパク質惣菜)が売上げの決め手になる。鶏唐揚げをはじめ、鶏ムネ肉から揚げ(柔らかくおいしく作ること)など、あらゆる鶏肉メニューの強化が利益を生むと知るべし。他に(お肉たっぷり)ギョーザやひき肉商品など強化する。

寿司、おにぎり、弁当などの米飯商品と冷麺商品などをチェックする。冷麺商品のメニュー(気温24℃以上の日が目安)の強化と、アジやサバなどの「南蛮漬け」「タコの酢の物」や他のあえ物商品も夏型商品として早めに品揃えするなど売り方の工夫が必要だ。

中華四川風よだれ鶏

食品の原料な上がりで、牛豚肉より鶏肉が人気になっているのでいま人気になっている、よだれ鶏を売り込む。

この商品を成功させるには、角切りの鶏肉に薄めの下味を付けて焼き鶏を焼く技術である。下味は麺つゆなどを利用して肉に揉み込んでスチームコンベクションで焼く。次に「これはうまい」と思う、うまたれと合わせることである。おいしい焼き鳥のたれに中華だし、中華香辛料を加えて煮詰めて作ると良い。四川風にするには、五香粉(ウーシャンフェン)という中華スパイス少しと花椒(ホアジャオ)という辛みのスパイスを少し加えて風味付けすると本格的な味にすることができる。

中華の風味は薄めに付けた方が日本人にはよく合うので香りを強くしないことが売れるこつ。花椒の代わりに、ラー油を少量加えて辛みを付けても良い。試食をして加減する。鶏肉は揚げ過ぎないようにすることが大切。最近では業務用のたれもあるのでこれを使って作れば手軽に作れる。油淋鶏の新バージョンである。

お肉たっぷり肉餃子

ボリュームがあってうまくて、安くて、おかずにもなり、おつまみのもなるのがギョーザのパワー。惣菜の定番である。ギョーザをヒットさせるには仕入れるギョーザの商品をチェックする必要がある。原価が安いからと言って野菜ギョーザを仕入れて安く売っても売れないので気を付けること。

一番売れるのが肉ギョーザ。断トツに売れるので、これをマークして幾つかのメーカーの中から選ぶようにする。数社選んで試食をして売り込み商品を決めること。ギョーザが焼き上がったら包丁で半分に切って中を見る。具がきっちりと詰まっているかを確認するためだ。スカスカだと売れないのでこれも見極めるこつ。おいしいたれの小袋のチェックもする。小袋のたれも大切だ。

ギョーザ焼き器がない小型店で売りたいなら、ホットプレートでも焼けるので挑戦をするのも良い。面倒でもこまめに作りたてを売れるメリットがある。

タケノコとワカメと菜の花含め煮

タケノコの季節。国産新竹の子の水煮材料も出回るので、季節の味として売場に季節感を出すと良い。タケノコは、穂先部分と下に分けたスライスのものを使う。だしを効かせるのが商品のポイント。

タケノコは炊き上げて汁に漬けてそのまま冷ますのが味を良くするこつ。ワカメも煮たタケノコと同じだしでさっと炊いて冷ます。菜の花はゆでて冷やし、冷ましただし汁に漬けて味を含ませる。

少々面倒な作り方だがこれからの惣菜は、こうした手を掛けた商品が商品のレベルアップであることを知ってほしい。商品のレベルアップとは手を抜くことではない。

信頼できる外部工場で作ってもらうのも良いが、料理の分かる人材を社内に育てて、チェック態勢を作る必要がある。季節商品だけに材料にも目を配る。この方法は年末のおせちの煮物に使えるのでレシピのノウハウとして保存をしておくと良い。

美味鶏料理オードブル

土曜、日曜、祝日、連休向け商品の重要商品。家族で食べる値打ち、買い得感あふれるオードブルである。インフレ気味の中に値打ち商品として、鶏肉メニュー商品があると人目を引き売り込み効果がある。

①手羽先の唐揚げ
②鶏皮の唐揚げ(右)
③串なし焼き鳥(スチームコンベクション使用)
④トッピング(ニンニクの芽)

浅めの丸トレーにボリュームを付けて盛り付けるのがこつ。鶏皮の唐揚げを多めに盛り付けてボリュームアップ。鶏皮は柔らかくゆでてから油で揚げると、サクサクになりおいしくなる。面倒でも生の皮をゆでて作れば、原価を下げてかつおいしくすることで価格を安くして売り込むことができる。

串なし焼き鳥は、鶏肉をひと口大にカットして麺つゆなど調味液を肉にもみこみ、スチームコンベクションで焼き上げ、焼鳥のたれをまぶす。

オードブルは連休、週末に売り込み、平日はそれぞれ単品でパック売り。インフレ下のおかずになる鶏メニューとして売り込むことで売上げアップを図る。

日替わりのっけ盛り弁当

価格は安く、手軽に安く買える日替わり弁当として開発された弁当。忙しい人や高齢者は毎日買い求めたい弁当だが、毎日同じおかずでは飽きる。

そこでおかずを単品で売っている商品をご飯の上に載せることで日替わり弁当にする「のっけ盛り弁当」である。

基になる弁当のおかずは、①白身フライ(トマトソースかけ)、②ちくわ天ぷら、③塩サケ、④野菜きんぴら、⑤玉子焼き。

これを①春巻き、②鶏天(ムネ肉)、たれ掛け、③鶏唐揚げ、④一口カツ、⑤煮豆など商品を売場にある商品と入れ替える。塩サケは人気なので変えない方がよい様だ。

これからの弁当商品は本気で家庭の食事を支えるビジネスとなる。日替わり商品は商品に貼るラベルの問題があるが、メニューを開発して用意しておくと良い。売上げの上がる弁当商品はいかにお客の望む商品を提供するかが勝負となる。しかも店で作りやすい仕組みを作ることが必要である。 

スナップエンドウの胡麻和え

最近人気になっているさや付きスナップエンドウマメ。ゆでてさやごと食べると甘いので人気となっている。もちろん中の豆も甘い。地域によっては手に入らないことがあるかもしれないが、だんだんと全国的に広まると思われる。

スナップエンドウマメには1つだけ弱点がある。それはさやに食べられない硬い筋が両側にあること。さやの端をカットしてから筋を人間の指で取り除くことが必要。筋取りスナップエンドウマメは塩水で色よくゆでて冷やす。またはスチームコンベクションで蒸して冷やす。

ニンジンと油揚げは軽くだしでさっと煮て冷やす。冷やした材料をゴマあえのもと(メーカー品)であえる。スナップエンドウマメの緑を生かすにはゆで過ぎないことが大切。短時間の加熱でおいしいので加熱過ぎにならないように注意。工場で作っても緑が持つので、旬の味として売りやすい。地域の野菜の出回りに時期に売り込む。