青梅は販売予定の事前告知が有効、トウモロコシは売り切りを|「これは押さえたい」青果編・2023年6月

2023.05.01

創風土パートナー 代田 実

6月の家計調査の支出金額を見ると、前月比1.5~2倍の急激な伸びを示す品目が幾つもある。このことからも6月には売上げが急伸長し、それに合わせたタイムリーな売場展開が必要な品目が多いことが分かる。

具体的な品目は図表を見ると分かりやすい。家計調査の分類上は「他の野菜」に分類されている青梅、トウモロコシ、「他の果物」に分類されているサクランボがこれに当たる。いずれの品目も出回りピーク期間が数週間程度と短いものが多く、このタイミングに合わせた売場展開を行い、きっちり売上げを確保することが6月の青果部門商売を成功させる上で大きなポイントとなるだろう。

図表 6月に支出金額伸びの大きな上位品目

出所:総務省家計調査2022年6月全国二人以上の世帯の支出金額

青梅

例年6月上~中旬にピークを迎える青梅だが、近年は気候変動の影響を受けて早めに出回るなど入荷期間が不安定だ。このため、旬の時期が微妙に前後し、買うタイミングを逸してしまうお客も多く、売場にいると今年の出回り時季について聞くお客も多いので、いつでも答えられるようにしておきたい。

また、青梅を購入するお客は毎年梅酒、漬け梅を作る傾向が強い。多く作るお客は10kg単位で購入するので、こうしたお客を囲い込むことが青梅の売上増に結び付く。その際、最も有効な手段が「販売予定の事前告知」だ。

市場、産地から青梅の出荷情報を集め「今年の青梅は〇〇日から販売予定、△△日頃入荷ピークの見込み」などの事前告知を早めに実施するとよい。できるだけ状態の良い青梅を購入し、梅酒、漬け梅を作りたいお客はそのタイミングに購入してくれるようになるはずだ。

売場づくりに当たっては、青梅作付面積の半分以上を占める「南高」と2番目に多い「白加賀」を軸に(この2品種で青梅全生産量の約7割以上になる)、「小梅」に加えた展開が基本となる。

これに地元産の品種があれば品揃えする。アカシソや氷砂糖、梅酒瓶、ホワイトリカーなど関連商品と併せ、青梅の出始めに合わせて売場を拡大したい。

この関連商品も併せた売場拡大をスムースに行い、チャンスロスを生まないためにも産地出荷情報を随時チェックし、関連商品を扱う他部門担当者とも共有しつつ売場計画を組むことが重要だ。

トウモロコシ

東京都中央卸売市場の入荷実績を見ると、毎年6月~7月にトウモロコシの入荷量がピークとなり、それに合わせて単価も下がって売りやすくなってくる。1本100円台前半で販売できるようになれば一気に売場拡大したいところだ。

野菜の中でもトウモロコシはトマトと並んで、味が命となる品目だ。一度購入しておいしければ、その店でまた購入するリピート客になってもらえる。このリピート率を上げることがトウモロコシ販売の数字を上向かせるポイントになる。

その際、重要なのが鮮度管理、日々の売り切りだ。トウモロコシをはじめとした豆類は、収穫後の呼吸作用が激しく時間経過と共に持ち味の甘さが失われていく。

それを防ぎ、お客に甘くておいしいトウモロコシを食べてもらうためにも、低温での商品管理を行いできるだけ呼吸量を抑えると共に、当日入荷商品をできる限り当日売り切るのが理想だ。

また、売場では、実入りが分かりやすいよう、写真のように一部皮をむいて実入り具合が見えるようにする工夫もよいだろう。

サクランボ

近年は気候変動の影響を受け、出回り期間と作柄が毎年大きくぶれるため売りづらい商品だが、しっかり出回り時期と品種を押さえて販売すれば果実の売上げを大きく上向かせることができる。

例年この時季、国産のサクランボと同時並行で輸入チェリーが出回るが、世界的なインフレや円安の影響で輸入チェリーの割安感が薄れ、国産の存在感が増しているので今年の国産、輸入サクランボは価格や商品状況を見ながら商品構成を考える必要がある。

売場展開については導入期は早生種の高砂、紅さやかがメインになるが、この時季にきちんとした食味のものを販売しないと、その後の販売状況に影響しかねないので注意が必要だ。

その後、最も生産量が多い佐藤錦が出回るころが販売ピークとなり、晩生種の紅秀峰、ナポレオンにつなぐ。いずれの時季も産地の天候により品質がばらつくため、日々入荷商品の品質チェックと産地の天候も確認し、品質的に不安があるようなら早めに売り切るようにする。

また、一般的な産地パックに加えばらものを仕入れ、丸カップなどの包材を活用して自店独自の販売規格を作るのもよい。

スイカ

昨年の6月は下旬を中心に記録的な高温となり、27日には九州から関東にかけて梅雨明けが発表されるなど「スイカ日和」が続いたことで、多くの店で過去にない売上げを記録した。今年のスイカ販売については、昨年の販売実績をベースにしつつ、今年の作柄、天候に合わせた販売を行いたい。

売場展開についてはカット売りを中心に玉売りを併売する形を取り、カット売りについては自店の客層、そのときの天候に合わせ6分の1~8分の1カットを中心にブロックカット、スライスカットなどさまざまな販売規格を試すことで、自店の売れ筋規格を早めに見つけることが効率的な販売をするためのポイントとなる。

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