牛肉は夏場に向けて食べ方提案で効率的に売り込みを|「これは押さえたい」精肉編・2023年6月

2023.05.01

月城流通研究所代表 月城聡之

コロナ禍からの開放感にあふれる日本に、食肉の力でさらに元気を与える提案を売場でも行っていく。夏場に向けた焼肉提案が所得の減少もあってか売れにくくなり始めている、牛肉を効率的に売り込む提案、食べ方提案を駆使して売場づくりを実施していく。

併せて、売り逃しをしないために、豚鶏はきっちりと販売して足固めして、安定した売上げを作っていきたい時季である。

昨今、新型コロナウイルスにはじまり、ウクライナ情勢、鳥インフルエンザなど、精肉相場を外部環境が大きく揺れ動かしている。特に鳥インフルエンザの影響は、かつてないほどに大きく影響しており、通常の流通量に戻るまで1年程度必要とも予測されている。

調達が不安定なときには、多くの企業から仕入れを行うことで、リスクヘッジができる。いままでは仕入企業を減らすことで、自社のブランド肉の育成を行うことが売上げと利益につながる手段として採用されてきた。

しかし、1社購買による弊害は、鳥インフルエンザのような疾病が起こった場合、たちまち仕入れができなくなってしまう事である。

多くの企業から仕入れを行っていれば、1社から仕入れができなくなっても、欠品のリスクが軽減されることになる。

ブランドを増やすということではなく、品揃えやカテゴリを増やして、充実した売場づくりをすることで、消費者にも選ぶ楽しさを提供することができる。

今年の夏に向けてのキーワードは、「品揃え」と「外ご飯」である。ある程度ブランディングされた売場づくりの中で、競合よりも楽しい「品揃え」、インドア、アウトドアに使える「外ご飯」メニューの展開で売場を充実させたい。

牛肉

国産黒毛和牛シンタマ(モモ)希少部位焼肉セット 100g当たり780円

1部位から小割りして希少部位焼肉セットを販売する。「シンタマ」はトモサンカク、シンシン、カメノコ、マルカワに分割されるため、希少部位として知られる小割部位を焼肉用にカットして商品化していく。

1つの部位からさまざまな小割部位を作るメリットはたくさんある。真空パックを開封するだけでさまざまなサシや食感の小割部位ができるため、単品での希少部位販売だけでなく、今回のようなセットでの商品化が可能となる。

見た目と食感の異なる商品を1部位から作ることができるのはおもしろい。

価格は、同じシンタマから商品化をしているため、シンタマのユニット単価で販売することができる。ラベル表示では、シンタマの部位表示は「モモ」となるため注意が必要であるが、部位札ででは「シンシン」や「カメノコ」など希少部位の札を入れることで価値が出る。

シンタマの中で、マルカワは焼肉用で商品化するには、形が不ぞろいになってしまうため、サイコロステーキなど別の商品化で展開すると良い。

シンタマ以外にも、ランイチ、ウデ、カタロースなど、サシや肉質が異なる小割部位が出る部位を使用して、日によって開封する部位を変えて展開すると、バリエーションも広がる。

国産牛イチボ(モモ)しゃぶしゃぶ用 100g当たり680円

「ランイチ」を小割すると「イチボ」部分を分割することができる。イチボは希少部位として焼肉用にも商品化することができるが、「外モモ」につながる太い部分は肉質が硬めのため、しゃぶしゃぶ用に薄切りして、冷しゃぶや蒸ししゃぶ提案を行う。ゴマだれやぽん酢で食べるメニュー提案を行なうと良い。

また、焼肉店でも提供されるようになってきている、さっと炙る程度に焼いた肉にネギ塩や薄切りスライスネギを包んで食べたりする食べ方も、家庭で食べる楽しみ方として紹介したい。

「牛しゃぶしゃぶ」は、この時季あまり売れないので商品化しない店舗も増えているが、家庭での食べ方提案ができる従業員が減っているのも売れない原因の1つであると考えられる。

店頭に並んでいる商品の調理方法やトレンドの食べ方、外食ではやっている食べ方も勉強して、提案をすると良い。

豚肉

国産銘柄豚モモ手切り焼肉用 100g当たり238円

店舗で使用している銘柄豚肉の内モモを使用して手切り焼肉を販売する。脂肪分が少なくヘルシーなイメージのあるモモ肉であるが、半面、硬いという印象も持つお客も多い。

しかし、焼きすぎなければしっとりとおいしく食べることができる部位でもあるため、定番の豚バラ、豚カタロースに加えて、豚モモ焼肉も販売していく。

商品化で最適な部位は、豚の「ウチモモ」部分や「シンタマ」部分である。

豚モモ一口カツ用で、ウチモモを小割している店舗もあるため、その小割した内モモで、焼肉用の商品化を行う。

牛肉の価格が高いこともあり、豚焼肉や鶏焼肉の需要が高まっている。特に豚肉は焼肉への商品化も容易で、価格も安価なため購買にもつながりやすい。焼肉の品揃えで展開していきたい。

つまみ

串なし焼鳥セット(ぼんじり、レバー、砂肝) 480円

つまみカテゴリーで売上げを伸ばしているのが、焼鳥(串なし)である。焼き上げの焼鳥の部位が以前に比べてバリエーションが増えたことや、七味唐辛子やみそだれ、スパイスなど、小袋の調味料の種類も増えたことが大きな要因と考えられる。

特に唐辛子系は、トレンドになっており、カップ麺や菓子などでも激辛がはやっているため、調味料として添付すると売上げにつながる。

肉惣菜で、店内加工でつまみ商材を製造している場合、余剰になりやすい鶏内臓をうまく活用すると良い。特にレバー、砂肝は、販売量が少ないアイテムで、余剰となりやすいが、売れると利益になる。そのため、ぼんじりやヤゲン軟骨などの焼鳥好きには欠かせない人気部位と一緒に調理して、セット販売すると良い。

食べ方提案では、小袋のたれや七味唐辛子だけでなく、「たれアイテム+卵黄」や「塩焼鳥+ユズコショウ」、「明太マヨ、チーズマヨ」など、居酒屋の「味変」提案はおもしろみが増す。

トレンド商品

ミートミックスブーム到来

一時期に比べると畜肉全的な相場は落ち着き始めているが、いまの日本経済から考えると、精肉の価格は高い状態といえる。

世界的には日本は物価が安い国として定着し始めているが、日本国内の所得や環境はいまも厳しい状態が続いている。

そのような環境下で、昨年の家計調査の結果を見てみると、消費支出全体としては104.2%に増加しているが、生鮮肉に関しては100.0%にとどまっている。

中でも注目すべき点は、牛肉で、金額ベースで96.3%と大幅に減少していることが数字として表れている。

その分を、豚肉と鶏肉で補っているという状態であった。

輸入牛肉の仕入れが困難な環境になり、鳥インフルエンザの影響なども大きく金額には影響したと考えられるが、それでも牛肉の金額が大きく減ってしまっている。

国産牛肉に関しては、生産事業を急に止めることもできないため、和牛や国産牛が市場に相場よりも安価に出回ることもあるが、事業としては極めて危険な状態と言える。

市場に牛肉が出回らなかった場合、最初に出荷を一時的に遅らせる。遅らせると、生産コストは上がり、牛は増体する。増体すれば、当然ながら重量が重くなり、さらに等級が高い牛ができてしまう。

できるだけ、農場に牛を長期間置かないように、流通全体で努力をしていく必要があると考えられる。

和牛を安く販売するミックスマッチを提案する。近年、1つのトレーの中に2つのグレードや畜種の商品を混ぜて販売することが増えている。上位グレードの商品を安く販売する、または、安いグレードのものを高く販売する手法で、どちらにしても、いままで販売していなかった商品のため、リプライスするには良いタイミングである。

国産牛切り落し(黒毛和牛、国産牛) 100g当たり398円

黒毛和牛と国産牛をミックスした切り落としで、和牛は安く国産牛は高く販売することができる。

ラベルシールの表示は国産牛としなければならないが、内容表示で、(黒毛和牛、国産牛)など表示することで、入っているものが何かを示すことができる。

夏場に向けては、鉄板焼き用や焼肉用でのメニュー提案も良いが、牛肉しゃぶしゃぶも、売上げを少しずつ伸ばしている傾向にあるため、薄切りでしゃぶしゃぶ提案も良い。

夏場の冷しゃぶで、豚と一緒にゴマだれやぽん酢で食べる提案が売上げには寄与する。

そとごはん「肉串」売場

新型コロナウイルスによって精肉の冷凍コーナーが充実した。

その1つが、肉串カテゴリで焼鳥串だけでなく牛串やバーベキュー串なども充実してきている。工場の稼働が著しく低下していたコロナ禍では、焼鳥串の生串を安定的に生産することができなかったため、真空冷凍の焼鳥串が生産され始めた。

冷凍技術が急速に進化したことや、真空パックができる工場が多くなったこともあり、一気に冷凍肉串が多くの店舗で販売されることとなった。

最近では牛串、バーベキュー串など牛肉カテゴリーの串も多く製造されるようになり、品揃えが豊富になっている。

米国産牛ハラミ串(冷凍) 5本1280円

食シーンとしては、コロナ禍ではインドアであったが、今後はアウトドアである「外ご飯」が主となってくる。

特にキャンプ需要では冷凍串が重宝する。家を出るときに冷凍庫から自然解凍が始まり、調理をするタイミングで丁度解凍されている。チルド商品は鮮度維持が難しく、保冷剤などで鮮度を保つ必要があり、余分な荷物が増えてしまう。冷凍商材の方が、都合が良いということである。

売場づくりとしては、冷凍平台や冷凍ショーケースで、肉串コーナーを作り、集合陳列をすることである。骨付き肉やジンギスカンなど焼商材がそろっていると、より充実した売場になる。

リテールトレンドでは、精肉をはじめとした多様な商品をご紹介しています。
詳しくはこちらより、ご確認ください。