気温が上がる中、土用には土用餅、夏のボーナスにちょっと豪華なスイーツ|「これは押さえたい」菓子・スイーツ編・2023年7月

2023.05.18

トルティーノ代表 中村 徹

2022年の7月円相場は6月に引き続き東京市場で1ドル=135円前後で推移し、月間を通しておよそ24年ぶりの安値圏で推移した。この影響で輸入価格の高騰が続き、食品やエネルギー関連の値上げの要因の1つとなった。

曜日回りは土曜日5回、日曜日5回と週末の多い曜日回りで、今年も同様であるが、金曜減の月曜増となるので0.5%程度の減収要因となるであろう。

7月は月を通して梅雨の時期であるが、昨年は速報では6月27日に関東甲信と東海、九州南部で、梅雨明けしたとみられると発表され、梅雨期間としては観測史上最も短い14日間であった(のちに梅雨明け時期は「特定できず」と訂正)。

7月に入って東日本太平洋側と西日本では、上旬のはじめと下旬は晴れた日が多かったが、中旬は台風4号や低気圧、前線、湿った空気の影響で戻り梅雨のように曇りや雨の日が多く、西日本では線状降水帯が発生した日があり、大雨の地域もあった。このため、東・西日本太平洋側の月降水量は多かった。

7月は梅雨で雨の多い季節であるが、例年後半には梅雨明けし、晴れれば真夏の暑さとなる。今年は暑さと共にマスクも自然と外れ、より日常に近い生活に戻っていくであろう。菓子関係の催事カレンダーを見てみると、毎月の催事日である6日(木)手巻きロールの日、15日(土)菓子の日、19日(水)シュークリームの日、22日(土)ショートケーキの日など菓子関係の日が週末に存在し、曜日回りからいうと土曜日に当たる菓子の日やショートケーキの日は週末から絡めて売り込むチャンスになる。この他夏土用などもある。

3カ月予報で今年の夏は沖縄地方を除き、気温が平年並みか高い予想がされている。降水量は全国的にほぼ平年並みの予想となっている。23年のGWは比較的高温で花の開花も異常な早さであった。これを考えると7月もかなり気温が上がる日が出てくるのではないだろうか。

一方でエルニーニョ現象が発生するとの見方もあり、発生すれば多雨で気温が上がらない夏になる可能性もある。人の動きは新型コロナウイルスが5月8日には2類相当からインフルエンザと同じ5類へ変更されたので、昨年に比べれば人流は大きく増加するであろう。また、引き続き円安傾向と防疫策緩和に伴って海外からの旅行客も増加するであろう。

総務省家計調査の「<品目分類>1世帯当たり年間の品目別支出金額,購入数量及び平均価格」を見てみると、品目別令和3年年間の月別支出金額が掲載されている。

菓子類の7月を見てみると、年間平均金額に対し夏型の菓子が本格的に動き出している。

例えばようかんが149.8%、ゼリーが205.4%、プリンが106.0%、アイスクリーム・シャーベットも175.6%と伸びている。これらの商品群のトレンドを見るために「令和3年年間消費金額/平成12年年間消費金額」を計算してみると、ようかんが88.8%、ゼリーが98.7%、プリンが106.1%、アイスクリーム・シャーベットが133.5%となっている。

これらを考えてみると年間最大ピークとなるゼリーやアイスクリーム・シャーベットをしっかり伸ばし、指数が伸びているプリンなどを仕掛け、催事の和菓子をしっかり押さえておくことが必要となる。

7月の和洋生菓子系は15日菓子の日からの海の日までの3連休をしっかり押さえつつ、この他の小さな催事のポイントもしっかり押さえていくかということが必要になると思う。

土用餅

今年の夏土用の期間は7月20日(木)~8月7日(月)となっており、丑の日は7月30日(日)と土用の丑の曜日回りは大変良い。和菓子では夏土用の期間土用餅やあんころ餅、「う」のつく菓子を訴求したい。土用はもともと年に4回あり、立春、立夏、立秋、立冬の前の18日間のことをいう。

この期間は草むしりや井戸を掘るなど、土いじりをしてはいけない期間とされている。夏の土用は暑い夏を乗り切るため、栄養のあるうなぎを食べるならわしがあるが、和菓子では餅を餡でまいたあんころ餅(土用餅)食べる風習がある。

この他「う」のつく梅菓子なども暑さに負けない食べ物といわれているので提案できると幅ができてよいのではないだろうか。当然今年の土用のうなぎの訴求は30日(日)に向けて大々的に実施されると思うが、これに便乗して和菓子の訴求を強化する必要がある。なお今年の土用の丑の日は1日しかない。

土用餅イメージ

豪華なスイーツ

7月は多くの企業で夏のボーナス支給月である。ボーナス支給日近辺には「ちょっと豪華なスイーツ」としてプレミアムアイス、モンブラン、あんみつ、プリン・ア・ラ・モード、わらび餅などさまざまな夏向け個食スイーツを訴求したい。コンビニスイーツ系の品揃えをきっちり行い、選びやすい展開が必要となる。

ボーナス支給日は6月後半から7月が多いので地元企業の支給日などを良く調査しておく必要がある。今年は春のベースアップも大きかったのでボーナスも昨年を上回る予想である。いかに普段からちょっとレベルアップしたスイーツを訴求するかが鍵となる。またターゲットとしては15日(土)から海の日までの3連休が狙い目であろう。

スイーツイメージ

ゼリー、アイスクリーム・シャーベット

7月はゼリーとアイスクリーム・シャーベットの年間指数が最大になる。6月比でもゼリー138.1%、アイスクリーム・シャーベット136.4%と高くなる。7月をピークに8月まで指数が高い月が続くのでしっかり訴求する必要がある。

ゼリーはレトルトタイプ、要冷のチルドタイプやコンビニスイーツ系と豊富にある。売れ筋はトロピカル系やミカン、白桃、黄桃などである。これらをしっかり品揃えすると共に売場面積をしっかり取って訴求したい。アイスクリーム・シャーベットは完全にかき氷タイプが主になってくる。氷タイプの売場スペースをしっかり確保し訴求したい。もちろんハーゲンダッツなどのプレミアムアイスも押さえておく必要がある。

ゼリーイメージ

売場展開

7月の売場展開のテーマは梅雨と本格的な夏の時季である。旬の果物としてはモモ、サクランボやナシ、スイカなどがある。特にモモはこの時季から急激に市場に出回るのでフルーツとスイーツなどで関連販売を実施したい。また毎月同じであるが、旬のフルーツと洋菓子や和菓子、ゼリーやフルーツヨーグルトの関連販売は継続したい。旬の時期である「スイカ祭り」などは農産カットフルーツ、コンビニスイーツなどで実施したい。

またこの時季は冷蔵、冷凍ケースの故障が起きやすい。早め早めのケースの掃除やメンテナンスをしっかり行い、本当に必要な時にケースが使えないということを防ぐ必要がある。

トレンド商品

22年から一部出てきているが、「ハイブリッド系スイーツ」に注目しておきたい。クロワッサンとワッフルを組み合わせたクロッフル、クロワッサンとマフィンを組み合わせたクロフィン、シュークリームとカヌレを組み合わせたシュヌレなど違う種類のスイーツ同士を組み合わせて作ったハイブリッドなスイーツが数々生まれている。

特にクロフィンはサクサクとしっとりの新しい食感で韓国でも流行した商品である。22年には一部コンビニでも発売されたので、今後秋に向けて流行するかもしれない。

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