花火だ! 祭りだ! 暑気払い、今年はワイン|「これは押さえたい」酒編・2023年7月

2023.05.18

酒文化研究所 山田聡昭

この夏は4年ぶりに隅田川の花火大会が開催される。よくやくコロナ禍が明けたと感じる人も多いことだろう。マスク姿の人も減ってきて、いよいよ夏本番の2023年。明るく酒を楽しみたい人々の期待に応える売場をつくる。

今年はワインで暑気払い

「暑気払い」は夏の初めの格好の飲み会ワードだ。仲間と飲みに出かけるのにも、久しぶりに友人と会うのにも、「今日は〇〇さんと暑気払い」で出かけやすい。家飲みならちょっとぜいたくな酒を開ける口実になる。「暑気払いにあの酒飲んでみようか」という具合である。

暑気払いの王道はビアガーデンだ。デパートやホテルの屋上での飲み放題プランは夏の風物詩である。家飲みでもビール類のイメージが強いのだが、この夏はあえてワインをお勧めする。

ワインは暮らしに余裕がある層がよく買っており、その人たちの昨年のワインへの消費支出はコロナ禍前の2倍近くに増えた。家飲みでしっかりお金を使う人をメインターゲットに据えて、夏らしいさっぱりしたワインを売り込む。

売場展開

フルボトルで商品単価1500円を狙う。品揃えはスパークリングワイン1200~2200円で甘口から辛口までそろえ、ロゼワインやオーガニックワインも盛り込む。これが一押しの商品である。

脇を固めるのはフレッシュな酸味のきりっとした白ワインと、見た目が華やかなロゼワイン。フルボトルで1000~1500円を中心価格帯にして、ブドウ品種や産地のバラエティが豊かになるように品揃えする。

また、1000円前後の気軽なやや甘口のロゼワイン(ロゼ・ダンジュなど)を乾杯の酒としてお勧めする。普段ワインになじみのない方にも飲みやすく、ワイン愛好家も最初の一杯として納得できる重宝なワインである。

ひと口にロゼワインと言っても色味はさまざま。きれいなロゼワインは暑気払いにお勧め

(梅雨が)明けたら開けるジョッキ缶

7月後半の海の日の三連休ごろには例年梅雨が明ける。待ちに待った夏に到来を喜ぶ気持ちに応えて、缶ぶたがフルオープンになる「アサヒスーパードライ・ジョッキ缶」を売り込む。

また、花火大会や夏祭りの機会には、缶から直接ジョッキ感覚でビールを楽しめるこの商品の特性がよくマッチする。商品が潤沢に供給されるようになった今、しっかり売り込んで、お客の晴れ晴れしい気分に寄り添う。

さらに、こうしたイベントには酒を飲めない人や飲まない人も一緒に参加する。ノンアルコールや微アルコールのビールやワインなども併せて提案したい。

売場展開

「アサヒスーパードライ・生ジョッキ缶」は350㎖と500㎖をともに6缶パックとばら缶で大量陳列してアピールする。ノンアルコールと微アルコールの酒類を同じ場所で陳列するときはその旨を明示する。

遠花火グラスに映えるハイボール

大勢で賑やかに花火大会に繰り出すよりも、自宅で遠い花火を眺めながら夕涼みというシーンの方が出現頻度は高いであろう。自宅の庭やウッドデッキ、あるいはベランダでの夕涼みにフォーカスし、ウイスキーや焼酎のハイボールをお勧めする。

氷をグラスにたっぷり詰めて酒を注ぎ、マドラーでよく酒を冷やしてから冷えたソーダを満たす。15年前のウイスキーハイボールの普及期に盛んに報じられたおいしいハイボールの飲み方である。売場で改めて発信し、本格焼酎やジンも含めてハイボールをお勧めする。

また、ハードリカーは大容量比率が高くヘビーユーザーの割合が高くなる傾向がある。数回リピートしたユーザーは、シングルサイズ(700~900㎖)からダブルサイズや1800㎖紙パックなどに移行することはよくあり、アイキャッチPOPを付けるなどして、常に受け皿として大容量商品も目に付くように工夫する。

売場展開

トップボードで「遠花火グラスに映えるハイボール」とメッセージを発信し、エンドにはウイスキー、ジン、本格焼酎とソーダを1段ずつ配置する。

ウイスキーはサントリー角瓶やブラックニッカクリアブレンドなど国産の定番用品だけでなく、スコッチウイスキーは12年物の上級品、グレンフィデックやグレンリベットなどシングルモルト、バーボンなどバラエティの豊富さを見せる。

ジンはビーフィーターやゴードンという定番商品に、ボンベイサファイヤ、タンカレー、サクラオなどのプレミアム品を加える。

焼酎は甲類では宝焼酎「純」35度、本格焼酎はダイヤメやISAINAなど香りに特徴のある芋焼酎、さらに麦焼酎らしい香ばしさのある商品や米の甘味感の強い商品も加えると、酒に詳しい人が売場にいる感じが出る。

夕涼みに屋外でハイボール。夏ならではの楽しみ

トレンド商品

焼酎のお茶割り

コロナ禍は落ち着きつつあるものの自己責任で感染症を予防しなければならず、引き続き健康管理の意識は高く保たれる。糖質オフやプリン体ゼロを謳える酒は今後も伸長すると考えられ、またビタミンやカテキンといった免疫力を高めるとされる成分を摂取できる飲み方は注目されると予想される。

焼酎の抹茶割りや緑茶割りの人気が根強いのは、飲みやすさや幅広く食事に合うことに加えて、健康効果を期待できることが理由の1つだ。

中でも注目したいのは緑茶割りだ。ウーロン茶や緑茶など茶系飲料は清涼飲料の中でもっとも飲まれており、常備している家庭は珍しくない。スーパーマーケットやコンビニで容易に入手でき、それで焼酎を割るだけなのでトライアルもしやすい。

緑茶ハイを飲み始めたきっかけを聞くと、ウーロンハイからのシフトする人が見られる。ずっとウーロンハイを飲んできたが飽きてしまい、なんとなく緑茶割りを試したらおいしくて変わったというケースだ。緑茶はマイルドな味わいで幅広い料理に合い、健康イメージが強い。

焼酎の茶割りは、今注目の飲み方となっている。

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