支出金額と前月比伸び率に注目、スイカ、モモ、ブドウ、サヤ豆|「これは押さえたい」青果編・2023年7月

2023.06.02

2023.06.03

創風土パートナー 代田 実

7月の青果の商売で押さえておきたい品目を考えるとき、ポイントとなるのが消費金額と対前月比伸び率の大きな品目だ。

まず消費金額から見ると、最も多い(最も売上げを作りやすい)のがトマトで、スイカ、バナナ、モモ、玉ネギと続く。このうちスイカとモモは前月比大幅な消費の伸びを示す季節性の高い品目だ。

このことから7月の青果商売では消費金額の大きな品目を押さえつつ、季節性の高い品目の押さえが重要であることが分かってくる。これに加えて7月は、中元、夏ギフトのシーズンにも当たるので、地元名産の夏果実、夏野菜を贈るというマーケットもしっかり取り込んだ売場展開をしていきたい。

7月の家計支出金額上位品目と前月比伸び率

出所:総務省家計調査2022年7月全国二人以上の世帯の支出金額

トマトは味重視の商売を徹底

この数十年来、野菜、果物を通して年間消費金額が最も高い品目であるトマトだが、その消費がピークとなるのが例年5月~6月だ。それに比べると約1割ほど落ちるものの、7月のトマト消費水準はまだまだ高い。

そのトマトの販売をしていく上で、大切なのが食味の良いトマトを販売することだ。特に7月は西日本から東日本産地が終盤を迎え、産地が北上する時季のために産地切り替えによる食味のばらつきが起こりやすい。この時季の産地切り替えに当たっては、その都度検食を行い、食味のできるだけよい産地、品種を販売していくことが大切だ。

また、近年は気候温暖化の影響で産地はもちろん、輸送中や店でも高温になることから熟度が早く進んでしまうことが多い。温度管理を徹底すると共に、品質管理をしっかり行い、熟度の進んだ商品は早めに売り切るように心がけたい。

単価が下がったときに有効な箱売り販売

利益商材のスイカを売りこなす

気温上昇と共に商品ロスが出やすいこの時季、青果部門の利益を下支えする利益商材となり得るのがスイカだ。ただし、それには条件が2つ「カットして売ること」「確実に売り切ること」これさえ守れば確実に利益を生むことができる。

例えば2Lサイズのスイカ1玉を1980円で売っても、売れ数は限られるだろう。しかし2L 6分の1カット398円なら1玉分売って398円×6カット=2388円と売上げ、利益とも大きくなる上に相当数の売れ数も見込める。

これをさらにブロックカットにすればさらなる売上げ、利益を積み増すことが可能だ。このようにスイカの販売に関しては、手をかけてカットすればするほど売上げ、利益を多く稼ぐことができる。

ただし、その際、注意しておかなければいけないのが「自店の売れ筋をしっかり把握しておく」ことだ。カットしたスイカといっても、2分の1カットからブロックカットの少量パックまでその形状、容量は数多い。

その中で自店の売れ筋は何かをきちんと押さえ、それを開店から閉店間際まで確実に販売すること、そして確実に売り切ることでスイカは利益商材となり得る。

7月最大の季節商材のモモ

現在国内で栽培されているモモの品種は約100種類あり、そのうち生産量の多い順にあかつき、川中島白桃、白鳳、日川白鳳、なつっこの5品種で全体の約6割の生産量を占めている。

また、近年は気候温暖化の影響を受け、本来8月に多く出回る川中島白桃やなつっこも7月にかなり出回るようになっているため、7月は名実ともにモモ販売の最大ピークとなっている。

その販売の際、気を付けなければいけないのが品種、産地リレーとそれに伴う食味、特徴の変化だ。7月は早生系の日川白鳳から販売し始め晩生種の川中島白桃へと産地、品種リレーを行うが、その年ごと産地の作柄、食味も違ってくるのでしっかり商品情報を取り、味の良い産地のものを中心に販売するようタイムリーな売場展開を行いたい。

また、晩生種になるに従い果肉が硬くなっていき、棚持ちがよくなる傾向があるものの、早生種のうちは果肉も柔らかく傷みやすいので品質管理、売り切りはしっかり行いたい。

前月比伸びの大きいブドウ

6月までは主にハウス栽培のものが出回るブドウだが、7月からは露地栽培のものが出始め、価格も下がることから一気に売上げが伸びる時期だ。露地栽培品の出回り時季は気候温暖化の影響で、年々前倒しになる傾向だがデラウエアは上~中旬に、シャインマスカット、巨峰は下旬以降露地栽培のものが出始めるので価格動向を見ながらタイミングを見計らい売場を広げるとよいだろう。

そうとはいえ、まだ単価も高く、品傷みもしやすいブドウはこの時季、売上げは作れても利益面では課題も多い。できるだけ陳列量を減らして面を見せる展開を行い、商品回転が良くなるよう工夫したい。

野菜で最も消費金額が伸びるサヤ豆

果物の消費金額の伸びが目立つ7月だが、野菜の中で最も消費金額を伸ばしているのがサヤ豆だ。家計調査の品目分類では「さやまめ」だが、この時季売れるのは主に枝豆、インゲン豆(三度豆)だ。暑さが厳しいこの時季、ビールのつまみの定番である枝豆だが、近年は簡単に食べられる冷凍ものに押されがちだ。改めて生の枝豆のおいしさをアピールして売り込みたい。

気温の高いこの時季に販売する枝豆、インゲン豆(三度豆)の販売に当たって最も注意したいのが品質管理だ。見た目の鮮度以上に収穫後の豆類は呼吸作用によって甘味、風味が低下する。できる限り温度管理を行った販売を行い、早めに売り切りたい。また、お客にも買上後はできるだけ早めに加熱調理することを勧めるのも忘れないようにしたい。

インゲン豆(三度豆)はしばしば入荷が増え、値下がりすることもある。そのようなときはボリュームアップ規格で販売し、ゆでたものをホームフリージングで楽しんでもらうように提案したい

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