梅雨対策はあくまで導入時季、GW後半戦から活動に適した商品展開|日用品/雑貨・5月の商品と売場

2023.04.15

2023.06.12

トータルプラン 横島宏一

5月は、4月末から続くゴールデンウイーク(GW)がピークとなり、GWが終わると、初夏の準備へと売場を変更していく。

しかし、本格的に夏物商品が売れるのは「梅雨明け」であり、夏物商品にしても、梅雨対策商品にしても、売上げを上げるための導入期であるから、5月の売上げには大きな貢献は期待できない。気温が上昇する前の準備としての夏物商品を見せつつ、活動に適した5月の気温で行われる活動に対する必要な商品を展開する。

それは、強くなる日差しに対する商品であったり、上昇する温度に対する商品であったり、学校行事で行われる遠足に対応する行楽用品などの初夏に対応する商品である。また、行事を見ると、5月の第2日曜日に「母の日」がある。今年は、7日までがGWではあるが、来店客数の多いGW中から母の日の提案を行いたい。14日以降は、売場を一新して、GWから初夏の売場を展開し、夏の商品が売れる前に販売する梅雨対策商品の展開も始めなければならない。

GW後半戦

5月に入り、GW終了のカウントダウンをし始めるころ、家にいる人たちは、近場でのレジャーやショッピング、家での作業や楽しみ方など、手軽な楽しみ方を行おうとする。長距離旅行などの売場から家や近距離で楽しむニーズを提案する売場に変更する。

ガーデンバーベキュー

コロナ禍において外出できなかったときのGWでは、自宅の庭でバーベキューをして楽しんだ。その経験から、ガーデンバーベキューのニーズは、依然として多いと考えられる。コンロなどの用品は、ある場合が多いので、ここでは、木炭や着火剤、紙プレート、紙コップ、割り箸などの消耗品を中心に、焼き串、トング、焼き網などの小物を中心に展開する。

こどもの日

「こどもの日」は男女関係なく、子どもの成長を祝う日であるが、5月5日は端午の節句でもある。端午の節句には、鯉のぼりを飾ったり、五月人形を飾ったり、ちまきや柏餅を食べて、男の子の成長を祝ったりする。

近年では家族でパーティをしたり、子どもの好きなものをプレゼントしたり、旅行や行楽、食事などに行くことが多いようである。

そこで、ホームパーティの提案を行う。ガーデンバーベキューや、飯台、しゃもじ、巻きすなど手巻き寿司商品、割り箸、紙コップ、紙皿などのパーティーグッズを展開する。

ギフトは幼児ターゲットに、普段でも使える食器や文具提案を行う。飯椀、汁椀、マグカップ、スプーンや箸などをセットにしてギフト提案する。文具は、折り紙、クレヨン、お絵かき帳をギフト提案する。

母の日

GWが大きなピークとなる雑貨売場では、どうしてもGWの商品にばかり目が行って、母の日の売場をGWが終わってから準備しようとする。

そのため期間がなく、売場のつくり込みができない場合が多い。しかし、 GWの前半では、休日を楽しむために必要なものを買いに来るが、後半では、余暇をショッピングで楽しむために来店する。

つまり、前半と後半の売るべき商品は違っているので、売場自体も変化させなければならないのである。そこでGW後半からは母の日ギフトの展開を始めて行きたい。来客数が多いときほど、商品の認知度が高まるはずである。

母の日の考え方

①ギフトターゲットを考えよう

母の日の場合、贈る相手は決まっている。母である。母の年齢層は20代後半から高齢者まで幅広いが、例えば小中学生が贈る母の日ギフト、社会人が贈る母の日ギフトなどと誰が贈るギフトなのかターゲットを想定してみてほしい。

小中学生が贈る母の日ギフトと考えると、それほど高額な商品でなく、それでもセンスがある商品を求めるのではないだろうか。また、社会人になれば、ある程度の金額を出すことができる。高齢者に贈る場合は、ギフトの購入者もそれなりの商品を贈るはずだ。

②ギフト購入者を考えよう

母の日のギフト、贈る側は、贈られる側よりも20歳前後若いことになる。つまりそれだけ、流行やファッションに敏感で、センスがあるし、贈られる側の母も、情報に敏感である。

また、最近では商品が至るところにあふれ、「雑貨ならば雑貨店」などのように、趣味し好に対応した品揃えをした店舗や専門店がある。自店で販売している商品が、ギフトとして欲しい商品となっているのか、流行やトレンドに対応しているのかをよく吟味する必要がある。

③母の日ギフトの性質を考えよう

生活必需品を販売する店舗で、母の日コーナーを作ると、定番商品の寄せ集めになる場合が多い。ギフトとして誰かにあげるものを買う場合と自分で使うものを買う場合では、商品が違う。

例えば、人にあげるには、デザイン性に優れていたり、おしゃれな色だったりするものを買うはずである。また、友達と違って、母親なら、「こうなってほしい」という思いや願いも加わるはずである。

そこで、低価格で機能中心とした実用重視の定番商品を販売しようとしても、買われるはずがない。「いつまでも健康であってほしい」「いつまでも美しくあってほしい」という願いから、「健康」「美容」に関する商品、「料理などの日常の作業を少しでも楽にしてあげたい」という思いから「便利」になる商品などを提案したい。そこに、「楽しさ」や「かわいさ」などの付加価値を持った商品を提案し、「買ってあげたい」と思わせる商品を提案したい。

母の日のギフト提案

母親の作業を助ける、楽にする商品をギフト提案する。毎日使うものだけに、自分で購入する場合は価格や機能を優先しがちだが、ギフトとしては「かわいい」「センスが良い」「便利」「グレードなどの付加価値のある」商品をそろえたい。

例えば、ティファールやル・クルーゼの鍋などブランド商品の展開、コーディネートされたフライパン、鍋のセット、キッチンツールセット、食器セットなどをセット販売し、ラッピングできるように展開する。湯のみや茶碗、箸、キッチンマットなどのテーブルウエア、また、エプロンやミトン、スリッパ、サンダルのギフトも人気がある。

夏に向けてUV手袋や扇子、パーソナル扇風機などを提案したり、化粧品や健康をテーマにシェイプアップ、ダイエット用品、入浴剤のギフトなどをそろえたりする。

初夏の売場づくり

母の日が終わると、売場を梅雨商品、夏物商品へと変化させる。夏物商品のようなシーズン商品はそのシーズンに何個も買われるわけではない。また、天候によって使用頻度も変わり、リピート購入も決まっているわけではない。従って、シーズン商品は、早期販売戦略を行いたい。

殺虫、防虫、行楽

人が活動的になる気温は、害虫も活動を始める。殺虫剤が展開され始めるのも、害虫が活動をし始めるからである。殺虫剤はシーズンの中では、蚊やハエ用の売上占有が高いが、この時期は、その前にダニやアリ、ゴキブリなどの害虫駆除剤が最初に動き出す。害虫駆除を中心とした売場づくりからスタートしたい。

ゴキブリの活動に適した温度は、一般的に15~33℃で、18℃を超えると特に活動が活発化する。ハエの活動温度は15~40℃で、20℃を超えると特に活動が活発化し、蚊の活動温度は15~38℃で25~32℃の間に最も吸血活動が活発化するといわれている。

つまり、活動が活発化する温度には微妙に温度差がある。活動が活発化する順番は、ゴキブリ→ハエ→カの順番ということになり、それが、殺虫剤が必要な順番であり、売れる順番ということになる。

従って、この時季の売場比率は害虫対策商品をメインに展開して、蚊やハエ用を紹介する売場から始まり、気温の上昇と共に、メインとなる商品の売場比率を変化させていくことが、長期的に展開するシーズン商品の売場を活性化、効率化させるのである。

衣類収納もGWがピークとなるが、学校、会社などの衣替えは6月からである。こどもの日前後では、五月人形の収納用に人形用防虫剤を提案する。また、人の殺虫、防虫だけでなく、ペット用の殺虫、防虫の売場も提案しよう。

女性の夏対策

外出する機会が多くなると、女性はさまざまな対策が必要になる。強くなる紫外線や汗やにおいを気にしたり、肌の露出度が高くなり、むだ毛やダイエットに気を使うようになる。

紫外線対策…年間通して紫外線ケアをする女性も増えているが、需要のピークは梅雨明けが最も多く、その次が5月のころである。行楽やスポーツのシーズンなので、春先から動きのある化粧下地兼用のものやボディ用のデイリーユースのものに加えて、ウオータープルーフタイプとか、長時間の紫外線に耐えられるタイプの真夏にも使えるような商品が動き始める。これらの商品は、多くの人がひと夏に1つ程度の購入頻度なので、この時季の売り逃しに注意する。

汗、におい対策…各社から制汗剤が出そろい、限定品やセット商品企画なども多い時季である。これらの商品の販売ピークは急激に暑くなる梅雨明けではあるが、大型の徳用サイズやセット企画品はこの時季しか売れないので、徳用サイズの販売を積極的に行いたい。最近の傾向として、香りに対する関心が強いので、品揃えに注意したい。また、制汗剤だけでなく、汗拭きシートや臭いケア用のクリームやローションなども関連商品として展開をする。

むだ毛対策…最近は年間を通して、除毛や脱毛をする女性が増えていて、シーズン商品ではなくなりつつあるが、それでも薄着になりつつあるこの時季は、むだ毛処理にかかわる商品の販売ピークとなる。

最もポピュラーな自己処理方法であるかみそりやむだ毛専用のシェービングフォームが主力商品となる。春先に販売される新製品と状来の商品の替え刃の販売をしていく。クリーム状や乳液状の除毛剤の提案も。

遠足・行楽

「学校の遠足」や「高齢者のバス旅行」などのテーマで商品を提案する。学校行事として、4~5月に運動会・体育祭を行う学校もあるので、地域の学校行事に注意したい。商品としては、ステンレスボトルや弁当用品など。高齢者の行楽用品として、帽子、杖、ショルダーバッグ、ウエストポーチ、ポーチ、スマホポーチ、靴などの提案を実施。