季節で需要が伸びる中華麺、漬物に加え、昨年伸びた魚肉練り製品、こんにゃくにも注意|「これは押さえたい」日配編・2023年6月

2023.05.12

2023.06.12

城取フードサービス研究所代表 城取博幸

6月の主なイベント、行事は、梅雨入り(6月)、衣替え(1日)、イタリアワインの日(2日)、歯と口の健康週間(4日~10日)、プロポーズの日(5日)、時の記念日(10日)、和菓子の日(16日)、父の日(18日)、夏至(21日頃)、ちらし寿司の日(27日)など。

祭日や食に関係する大きなイベントが少ない月であるが、「父の日」のパーティは盛大に祝いたい。「和菓子の日」「ちらし寿司の日」は記念日POPを付け対象アイテムのフェースを拡大して販売する。梅雨入りし食中毒の季節でもあるため、陳列ケースの清掃など衛生管理に注意を払いたい。

総務省の「家計調査」で2022年6月に需要が増え、前年も上回ったゴールデンカテゴリーは揚げかまぼこ(107.01%)、かまぼこ(107.94%)、梅干し(105.41%)、マーガリン(104.08%)、ゼリー(105.74%)、アイスクリーム(101.84%)、ギョーザ(100.00%)、乳酸菌飲料(118.93%)、他の飲料(102.68%)。

6月に需要が増えたが、前年を下回ったカテゴリーは食パン(98.25%)、生うどん、そば(96.32%)、中華麺(94.41%)、牛乳(97.29%)、ヨーグルト(95.39%)、バター(89.32%)、チーズ(94.34%)、卵(96.06%)、豆腐(97.51%)、他の漬物(97.44%)、コーヒー飲料(95.40%)、果実、野菜飲料(92.55%)、6月の需要は変わらないが前年を上回ったカテゴリーはパン(103.74%)、他のパン(106.56%)、ちくわ(105.44%)、魚介のつくだ煮(100.00%)、他の洋生菓子(114.24%)、調理パン(103.66%)、シューマイ(109.09%)、他の主食的食品(104.61%)。

6月に需要は減ったが、前年を上回ったカテゴリーはこんにゃく(107.14%)、大根漬け(102.50%)、他の和生菓子(115.66%)、冷凍調理品(107.59%)、6月の需要はあまり変わらないが前年を下回ったカテゴリーは昆布つくだ煮(89.66%)、乳飲料(90.95%)。

6月に需要が減り、前年も下回ったカテゴリーは揚げ、がんも(91.74%)、納豆(94.51%)、白菜漬け(92.86%)、ケーキ(95.67%)。

和日配は「揚げかまぼこ」「かまぼこ」が好調。鮮魚、塩干物の価格の高騰から魚肉練り製品に需要が移りつつある。梅を漬ける時季に「梅干し」の販売のチャンス。乳製品のバター、チーズが不調であるが、植物由来と安価なことから「マーガリン」が伸ばした。飲料は「乳酸菌飲料」が好調。

5%以上伸びたカテゴリーは、他のパン(106.56%)、こんにゃく(107.14%)、揚げかまぼこ(107.01%)、かまぼこ(107.94%)、焼売(109.09%)、ゼリー(105.74%)、乳酸菌飲料(118.93%)、他の洋生菓子(114.24%)、他の和生菓子(115.66%)、冷凍調理品(107.59%)。

逆に前年比で95%を下回ったカテゴリーは、中華麺(94.41%)、バター(89.32%)、チーズ(94.34%)、果実、野菜飲料(92.55%)、昆布つくだ煮(89.66%)、乳飲料(90.95%)。

最重点カテゴリー、商品は和日配では魚肉練り製品、こんにゃくなどの「煮物材料」、ホットメニューの「中華点心」。洋日配では6月は需要が落ち込むが、前年2桁クリアの「和洋生菓子」、絶好調である「乳酸菌飲料」はさらに伸ばしたい。

6月から需要が伸び、さらに前年を上回ったゴールデンカテゴリーは積極的に販売し、売り逃しがないようにしたい。前年を下回ったカテゴリーは販促を強化する。

6月は小の月(30日以下)であるため、5月、7月に比べて需要が低いように思われるが、1日分をプラスすればそれほど落ち込んでいない。むしろ5月に比べ伸びているカテゴリーもあるので注視したい。

中華麺

中華麺は7月、8月に次ぐ需要高。最近は惣菜で販売されている「調理麺」に押されている感があるが、品揃えの多さでは負けていないため売れる時季に量販したい。

売場づくり

中華麺は、気温の高い晴れの日は「涼味麺」、曇りの日は「焼き麺」、雨で気温が低い日は「ホット麺」の訴求を行う。天気予報を確認し発注を行うこと。

揚げかまぼこ

昨年は気温が低かったせいか、揚げかまぼこ(107.01%)、ちくわ(105.44%)は、夏に向けて需要が減るにもかかわらず好調であった。魚の価格が上がったことで魚肉練り製品が見直された。練り製品は煮込むとだしが出るので調味料があまりいらないことも訴求したい。

売場づくり

気温の低い日の品切れに注意。売れ筋商品は多めに発注しておくこと。梅雨明けと同時に動きが鈍くなるため、カニかまぼこ、ちぎり揚げ、生ちくわなどの生食用のフェースを拡大する。

他の漬物

ニンニク漬け、ショウガ漬け、ラッキョウ漬け、福神漬け、キュウリ漬け、たくあん漬け、奈良漬けなどの「他の漬物」は梅雨の時季によく売れるが、昨年は97.44%であった。4月から8月で一番売れる月であるため梅干しと共に売り逃しがないようにしたい。

売場づくり

焼きそば、お好み焼きに欠かせないショウガ漬けは最下段で販売。うなぎのシーズンを迎えるため、奈良漬けはフェースを広げて販売する。ドライ食品の販促に合わせて、福神漬け、ラッキョウ漬け、ショウガ漬けを同じ売場で関連販売する。

こんにゃく

こんにゃくは冬の商品だと思われがちだが、昨年6月のこんにゃくの消費は107.14%の伸びであった。梅雨時の気温の低下でおでん、煮物、田楽の需要が高まったと考えられる。気温の高い日はところてんや刺身こんにゃくを訴求する。

売場づくり

揚げかまぼこ、ちくわ、こんにゃくは冷蔵平ケースを活用して「夏おでん」の提案を行う。夏に向けてこんにゃく売場を縮小してところてん、刺身こんにゃくの売場を拡大するが、気温の低い日には加熱用のこんにゃく、白滝のボリュームを増やして販売するなど「アコーディオン型」の売場をつくりたい。

牛乳

牛乳は7月、8月に向けて需要が高まるが、22年は前年比では97.29%であった。プラントベースの豆乳、オーツミルク、アーモンドミルクなどに押されているが、子どもの成長期のカルシウム補給には欠かせない重要な飲料だ。夏の牛乳を使ったクールデザートの提案も行いたい。

売場づくり

常温ロングライフ牛乳の導入と大量陳列。ヨーロッパではロングライフミルクの比重が高まっていることもある。日本でもそろそろ再度、ロングライフミルクの販売を考えた方がよい。

マーガリン

乳製品のバター、チーズが値上げにより需要が大きく落ち込む中、マーガリンの売上げが好調だ。昨年6月は消費も前年比104.08%。小の月にもかかわらず5月、7月を上回った。今年も売上げアップが期待できる。

売場づくり

今月は不振の続くバター、チーズの売場を縮小し、マーガリン、スプレッドの売場を拡大する。植物由来のオリーブ、ヒマワリ、豆乳、スプレッド(油脂)のフェースを拡大して販売する。

プリン

プリンは前年比98.68%であったが、8月に向けてピークを迎える。涼味デザートのゼリーや水ようかん、アイスクリームに目が向くが、夏でもプリンはよく売れるため売り逃しがないようにしたい。

売場づくり

プレーンヨーグルトの売場を縮小し、4個入り、3連、2個入り、ジャンボプリンと最大限にSKUを広げて販売する。ホイップクリーム、カットフルーツとの組み合わせも提案したい。

果実、野菜飲料

チルド飲料は乳酸菌飲料が絶好調だが、果実、野菜飲料に比べれば消費支出はまだ低い。しかし、いまの伸びのペースであればそのうち追い越す可能性がある。昨年の果実、野菜飲料は92.55%と低迷しているが、夏に向けて販売強化を図りたい。

売場づくり 

6月~8月にかけて売上が伸びるため販促を強化して販売したい。常温販売可能商品も多いため、1ℓタイプ、500㎖タイプ、200㎖タイプは常温で大量陳列販売を行う。ばら売りだけでなく、バンドル販売、ケース販売も行う。

トレンド商品

ソフト麺

昔懐かしい学校給食でなじみのソフト麺。柔らかく細い麺で、かけうどんだけでなく冷しうどん、スパゲティ風うどんなどの食べ方を楽しめる。原材料は小麦粉(国内製造)、食塩、加工でん粉、酸味料などが使われている。普通のゆでうどんと違い、電子レンジ加熱でも食べられるのが特徴だ。学校給食のノスタルジーに浸るのもよい

赤しそドリンク

6月は梅を漬ける季節。梅干しに欠かせないのが「赤しそ」。梅干しに使われる梅しそは塩分が強く、そのままでは飲料には向かないため、梅酢の他にリンゴ酢やシソの葉エキスが使われている。飲料売場の他に梅干し売場や、常温保存可能なので常温平台で行われる「梅干し祭り」でも関連販売したい。

因島のはっさくゼリー 

広島県因島特産の「ハッサク」を使った果肉入りゼリー。地元では長く支持されている商品。78gと少し小さ目であるが、オレンジリキュールが入っているため少し大人の味。賞味期限が常温で製造後180日と長めなのでギフト需要も大きい。地元だけで販売するのであれば賞味期限は短くてよいが、ギフトを考えれば長めの方がよい。地元特産のフルーツを使ったこのようなゼリーを開発したい。