氷菓をしっかり伸ばしつつ、盆催事の和菓子を押さえる|「これは押さえたい」菓子・スイーツ編・2023年8月

2023.06.15

2023.06.16

トルティーノ代表 中村 徹

昨年2022年の8月は東北や北陸6県で3日から4日にかけて記録的な大雨となり、山形や新潟では「線状降水帯」が発生。最上川など17河川が氾濫した。54万人が一時避難対象となるなど大雨の被害が出た。為替は1ドル129円台から137円台で推移し円安傾向が続き、原料高や穀物高の原因となった。

曜日回りは土曜日4回、日曜日4回と週末の少ない曜日回りで、今年も同様であるが、11日の山の日が22年は木曜日で連休とはならなかったが、今年は金曜日に当たるため11日~13日の3連休となる。また月曜減の木曜増となるので曜日回りによる影響はあまりないであろう。「お盆休暇」という見方では11日からの3連休プラス15日(16日)までの5日(6日)間となるのではないだろうか。

8月は通常であれば梅雨明けし、夏晴れが続くイメージであるが、22年は晴れがあまり続かず雨や曇りの多い月であった。気温も東京で見ると、晴れれば35℃前後の猛暑日近くまで上がるが、曇りや雨の日は30℃に達しない日もあるなどアップダウンの激しい月であった。

8月は真夏で本来は夏晴れの季節である。今年は6月時点でも暑さと共にマスクも自然とはずれ、より日常に近い生活に戻っているようである。菓子関係の催事カレンダーを見てみると、毎月の歳時日である6日(日)手巻きロールの日、15日(火)菓子の日、19日(土)シュークリームの日、22日(火)ショートケーキの日など菓子関係の日が週末に存在し、曜日回りからいうと日曜日に当たる手巻きロールの日や土曜日に当たるシュークリームの日は週末から絡めて売り込むチャンスになる。そして8月はお盆もある。

今年の夏はエルニーニョ現象が発生するとの見方もあり、太平洋高気圧が右にずれて南からの雲が入りやすい形となると多雨で気温が上がらない夏になる可能性もある。またチベット高気圧も同時に右にずれると日本が夏の高気圧に覆われ暑くて雨の少ない夏となる。

前者は1993年に大きく影響を受けたが、米が不作でタイ米を輸入したのを覚えている人もいるだろう。どのように影響が出るかは今後の天気予報を注視する必要がある。人の動きは新型コロナウイルスが5類へ変更された段階でかなり日常に戻ったので今年の8月は海も山も日常に戻っていくであろう。

この他、夏祭りや花火も各地で再開される見通しなので地域ごとにハレの日が復活するであろう。また、引き続き円安傾向と防疫策緩和に伴って海外からの旅行客も増加するであろう。

総務省家計調査の「<品目分類>1世帯当たり年間の品目別支出金額,購入数量及び平均価格」を見てみると、品目別令和3年年間の月別支出金額が掲載されている。

菓子類の8月を見てみると、年間平均金額に対し夏型の菓子が本番を迎える。例えばようかんが151.6%、ゼリーが184.7%、プリンが106.0%、アイスクリーム・シャーベットも168.7%と伸びている。これらの商品群のトレンドを見るために「令和3年年間消費金額/平成12年年間消費金額」を計算してみると、ようかんが88.8%、ゼリーが98.7%、プリンが106.1%、アイスクリーム・シャーベットが133.5%となっている。

これらを考えてみると年間2番目のピークとなるゼリーやアイスクリーム・シャーベットをしっかり伸ばし、指数が伸びているプリンなどを仕掛け、催事の和菓子をしっかり押さえておくことが必要となる。8月の和洋生菓子系は11日山の日からのお盆までの5連休をしっかり押さえつつ、この他の小さな催事のポイントもしっかり押さえていくかということが必要になると思う。

落雁

お盆の期間は地域によって異なるが、多くの地域では8月の13日~16日となっている。これも地域によるが13日にお墓にお迎えに行き、16日に送っていくというような地域もあるし、盆の中日14日、15日にお墓参りに行くというような地域もある。

地域それぞれの風習を知っておくと販売にもつながるのでぜひ調べてほしい。今年のお盆は山の日からの3連休からつながっていくので曜日周りは大変良い。和菓子では盆菓子である落雁、おはぎ、ピラミッド型に積んだお供え餅などが必要になる。

落雁はお米などから作ったでんぷん質の粉に水飴や砂糖を混ぜて色を付け、ハスの花や桜などの型に押して乾燥させて作った、極めて水分の少ない干し菓子である。もともと砂糖が貴重な時代であったため落雁も非常に貴重なものであったと言われる。この落雁を仏壇にお供えする。

この他、月見団子のようなピラミッド型に積んだ団子をお供えする地域もあれば、おはぎをお供えする地域もあり、最近では先祖の好物をお供えする家庭も増えており、さまざまである。

落雁イメージ

フルーツ

8月はトロピカルフルーツも含め夏のフルーツ満載の時期である。パイナップル、モモ、マンゴー、スイカなど多くのフルーツが旬を迎える。こういったフルーツを多用した洋菓子も多く発売されるので「トロピカルフルーツフェア」などを開催したい。

特に8月17日が語呂合わせでパイナップルの日となっているのでこの週末をターゲットにしたい。8月の気温が高い時季は洋菓子にとっては売れない時季であるが、ゼリーに負けない品揃えと商品提案で乗り切りたい。

また、8月8日は立秋と暦の上では秋になるので、洋菓子では秋口の商品も見せ筋として訴求したい。6日(日)の手巻きロールの日も押さえておきたい。

トロピカルスイーツイメージ

氷菓

8月はゼリーとアイスクリーム・シャーベットの年間指数が7月に続き2番目に高い2番目といってもほぼ同じ程度の指数なので強化が必要である。

7月同様ゼリーはレトルトタイプ、要冷のチルドタイプやコンビニスイーツ系と、さまざまな切り口の商品を訴求したい。売れ筋はマンゴー、パイナップルなどのトロピカル系やミカン、白桃、黄桃などである。これらをしっかり品揃えするとともに売場面積をしっかり取って訴求したい。

アイスクリーム・シャーベットは完全に氷菓タイプが主になってくる。氷菓タイプの売り場スペースをしっかり確保し訴求したい。もちろんハーゲンダッツや明治などのプレミアムアイスも押さえておく必要がある。

氷菓イメージ

売場展開

8月の売場展開のテーマは本格的な夏と後半は初秋の時季である。旬の果物としてはモモ、ナシ、スイカ、ブドウ、早生のリンゴ、バレンシアオレンジなどがある。

真夏の食材がピークを迎える他、秋の早生商品も出回る。従って、毎月同じであるが、旬のフルーツと洋菓子や和菓子、ゼリーやフルーツヨーグルトの関連販売は継続したい。旬の時期である「トロピカルスイーツフェア」などは青果のカットフルーツ、コンビニスイーツ、ゼリーなどで実施したい。

この時季は商品の劣化が早いので特に生のフルーツを使ったような商品は品質管理に特に注意が必要である。このためには冷蔵、冷凍ケースの温度チェックを小まめに実施する必要がある。

トレンド商品

スイーツとベーカリーの中間商品となるが、クロワッサンロールが流行しだしている。

もともとはニューヨーク発の商品であるが、日本では西新宿「モアザン ベーカリー」発とされている。文字通りクロワッサン生地を細長くしロール状に巻いた後、丸い型に入れて焼成する。

フィリングはヴィーガンクリームを使用しており、あまり重くないようである。外側には塩キャラメル、ピスタチオベリーなどをかけ、さまざまな味が楽しめる。いずれコンビニデザートとしても類似品が出てくるのではないだろうか。