アウトドアのおいしく食べるキャンプ飯、インドアの焼肉をいっしょに喚起で盛り上げる|「これは押さえたい」精肉編・2023年8月

2023.06.26

月城流通研究所代表 月城聡之

空前のキャンプブームが到来している。コロナ禍は家でキャンプという、家中需要でキャンプギアが各家庭でそろっているため、今年はそのキャンプギアを使って、本格キャンプを楽しむ家族やグループが増えている。

また、キャンピングカーを街中でもよく見かけるようになったのも、外出をする機会が増えたと言うこと他ならない。一方で、全国的に普及してきている冷凍自販機、最近では「肉自販機」も増え、アウトドアアイテムなどの品揃えが充実している場合もある。肉冷凍自販機も、焼き材を中心に、味付け肉をはじめ売れている。

冷凍技術や販売形態の多様化により、精肉は店舗で購入しなくても、自販機やネットでも購入できる時代になっている。店舗で購入してもらうメリット、チルドで販売できるというメリットなどもしっかりと打ち出して展開していく必要性が、いままで以上に出てきている。

近年のキャンプブームで、キャンプギアが充実し、その手軽さから週末のイベントの1つになるほど、キャンプやアウトドアは身近な存在になっている。

家中キャンプの需要が高まり、さらにソーシャルネットワーキングサービス(SNS)での拡散が、その一躍を担っており、「おいしく食べるキャンプ飯」が人気となっている。

特に、「マルチグリドル」という、浅い中華鍋のような商品が爆発的人気商品として出回り、それを使ったメニューがおいしく調理できるとブームになっている。

キャンプ飯では肉メニューも多く、シェアできる「1ポンドステーキ」や「ビア缶チキン」、本格的な「ミートローフ」、ダッチオーブンで「ローストチキン」なども一般的に作られるようになってきている。

キャンプと言えば、バーベキューや焼肉、調理してもカレーライスといったイメージは過ぎ去り、家庭で作る料理よりも本格的な料理をアウトドアで行っていると言っても過言ではない状況がある。

こういった、キャンプ料理のレシピでは本格的な料理を作る人も多い。SNSにアップすることも流行しているため、急速にキャンプ人口が増えているのである。キャンプを行うターゲット像も、ファミリーはもちろん、カップルやキャンプ好きのグループ、1人で行うソロキャンプまで幅広い。

さらに、キャンプだからテントを建てて泊まるというだけではなく、「デイキャン」と呼ばれる、その日のうちに帰る、気軽な日帰りキャンプも週末に多く行われている。週末を中心にアウトドアコーナーを充実させ、精肉でもキャンプブームに便乗する。

今年のポイントは「1ポンドステーキ」。「サーロイン」を使って迫力ある売場づくりを行う。「骨付きロース」や「グリラー」なども品揃えすると、アウトドアを売場で演出することができる。

バーベキュー焼肉用の肉も販売し、インドア焼肉需要もいっしょに喚起した売場づくりをすると良い。

メニュー提案の幅を「キッチンからキャンプ」まで幅広く捉え、いままでよりもウィークエンド提案やウェザープロモーションに意識した提案をしてもらいたい。

また、肉惣菜に関しては、夕食のおかず、メインになる揚げ物を中心に、つまみ商材やアウトドアですぐ食べることができる商材も品揃えすると良い。

ちなみに、強い台風の直前には「コロッケ」が売れる。これを「台風コロッケ」と呼ばれる現象だが、家から外に出ないため、1人何個も購入するといった傾向がある。

大型パックでの品揃えで、売上確保を狙いたい。最近の集中豪雨は、道路や家が冠水するほどの雨量となるため、雨が降るタイミングは、こまめにチェックし、豪雨のタイミングでは人は行動できないため、販売量の調整なども適宜行っていくと良い。

牛肉

豪州産アンガスビーフサーロイン1ポンドステーキ 1580円/454g

ステーキ店やレストランでもしばしば目にするようになった1ポンドステーキを、精肉でも販売していく。1ポンド=453.6gであるため、定額販売のときは、454g以上にカットをしてそろえる。

ユニットで販売する場合は、1ポンド前後にカットして展開するとよい。グレードはアンガスビーフなど、こだわることでリピートにつながる。特に「1ポンドステーキ」は、厚みがかなりあるため、アウトドア、バーベキュー需要としても人気アイテムとなる。

1パック、2パックを1フェースで展開するのではなく、インドアでも、アウトドアでも使えるアイテムとして厚切りステーキと一緒にフェース取りしていく。

厚切りステーキは焼き方が難しい。消費者のうまく焼けるか分からないという不安要素を取り除くため、焼き方POPや販促動画をうまく活用していく。

厚みによっては、中心まで火が通りにくいため、加熱時間と保温する休憩時間を繰り返すように促すと良い。

国産牛中落ち1本カルビ(バラ) 598円/100g

定番焼肉でもアウトドアでも楽しめる中落ち1本カルビを販売する。セットで仕入れしている場合は、バラ山のパックになっている場合もあるが、パーツの場合は、バラ山が付いている部位を使用した際に商品化する。

商品化は、骨肌除去、残骨の確認をした後、薄皮をはがし、余分な脂肪を除去の上、隠し包丁を入れる。サイコロ状にカットするのも良いが、1本で販売することで、アウトドアでも楽しめる商品となる。

部位としては、肋間筋のため筋繊維が入り組んでいて、やや脂肪が多い。そのため、丁寧な商品化が大切である。

味付け商品へのバリエーションも増やすことが可能であれば展開したい。山賊焼き、スパイスや玉ネギソースなど酵素入りのたれでアイテムを増やすことで、日常の夕食にも使うことができるアイテムとなる。

豚肉

国産豚粗びきひき肉使用キーマカレーのもと(味付け) 480円/380g

豚粗びき肉とカレースパイス、ミックスベジタブルで商品化したキーマカレーの素材を販売する。

ご飯と混ぜて焼くだけでキーマカレーが完成する、完全時短メニューである。アウトドアで使える商品でもある。

アウトドアといえばカレーという時代は30年前で、今はキャンプ飯が家庭料理よりも進化している。さらに簡単に作れるメニュー、いままで時短メニューというカテゴリーで販売していたものは、すでにキャンプ飯に導入されている。

米は現地で炊いて、一緒に混ぜ合わせて焼くと、キャンプ飯のキーマカレーが完成する。味付け商材は、そのまま焼いて食べる商材から、素材の一部へと進化を遂げている。

特にご飯と混ぜて焼くことで、夕食の定番主食メニューへの参入を果たしている。おかずカテゴリーから主食提案ができることで、リピートにつながる商品となる。

鶏肉

国産銘柄鶏手羽中ハーフ味付け(やみつきスパイス) 480円/330g

手羽中ハーフの味付けを販売する。鶏肉味付け商材というと、モモ切り身やムネ肉、手羽元が一般的であるが、手羽中も味付け商材として活用できる。

やみつきスパイスは羊名人同様にリピートの多いスパイスとなっている。見た目は辛そうであるが、比較的子どもにも食べやすいということで、小学生がいるファミリーでもリピートにつながっている商品となっている。

また、調理方法は、油を引いたフライパンで焼き上げるだけで、簡単におかずが一品仕上がる。味付けコーナーのバリエーションが大幅に増える中、同じモモやムネでの味違い商品を展開するだけではなく、部位を増やすことで、前にも食べたような印象が消える。

最近では、砂肝やレバーなどもうまく商品化している企業もあり、売りにくい副産物の展開方法として1つのスキームができ上がってきている。

肉惣菜は一工夫

国産豚メンチカツ240円

豚メンチカツを「塩ポン酢」で食べる提案を行う。定番で販売している商品も一工夫することで、全く印象の異なるメニューに早変わりする。

メンチカツは、肉惣菜の人気メニューの一つである。ボール型や俵型、コロッケ型などさまざまな形状の変化は各社オリジナリティが出てきている。

食べ方としては、いままでと同様、そのまま食べるだけでなく、ソースを付けて食べてもらうものが定番であろう。しかし、塩ポン酢で食べることで、メンチカツが、さっぱりとあっさりとしたメニューに早変わりする。

京都ではホルモンや焼肉をだしで洗って食べる、「洗いだし」という文化がある。だしに肉をくぐらせることに違和感を覚えるかもしれないが、実際食べてみると、かなり食べやすいことに驚く。

同様にメンチカツを塩ポン酢で食べることで、新たなメンチカツの魅力に遭遇する。肉惣菜の売上げの伸びが落ち着き、安定期に入ってきている。

フライ商品、グリル商品、煮込み商品、つまみ用商品など、ある程度安定して売上げを作れるようになったということである。

次のステップでは、商品の改廃と共に売れる商品をさらに売れる態勢作りとなる。その一つの手段が、「味変、トッピング」といった、商品を変更せずに何かを加えることで、さらに魅力を伸ばすことである。

売れ筋の1つに、豚カツがある。ゴマをすってソースと合わせて食べる。

名古屋では「みそ煮込み」にしたカツが一般的で、豚カツとはまた違った魅力がある。味を楽しんでもらいたい豚カツは、「塩」で食べる外食も存在する。

豚カツも、通常の商品だけでなく、みそ煮込みにアレンジすることなども、さらに売れる商品に変化させる工夫の1つといえる。

添付だれ、添付ソースでの対応だけでも、消費者の反応は変わってくるため、オリジナルの食べ方を提案するのもおもしろい。

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