和日配の需要高まる、盆を機会に「伝統食品」にも注目|「これは押さえたい」日配編・2023年8月

2023.07.03

城取フードサービス研究所代表 城取博幸

8月の主なイベント、行事は、夏土用の間日(1日、2日、6日)、土用明け(7日)、青森ねぶた祭(2日~7日)、秋田竿燈祭(3日~6日)、山形花笠祭(5日~7日)、仙台七夕祭(6日~8日)、七夕(7日)、立秋(8日)、よさこい祭(9日~12日)、山の日(11日)、盆の迎え火(13日)、終戦記念日(15日)、盆の送り火(16日)、処暑(23日)、焼肉の日(29日)。

東北地方では夏祭りが多く開催されインバウンドを含め多くの観光客が押しかけることが予想されるため、飲料やパン、スナック類など売り逃しがないようにしたい。夏土用の間日は土用の期間の中で特別設けられた日。6日の「土用の間日」にまたうなぎ関連を訴求したい。

8月は16日までは行事、イベントが多く人の動きが盛んだが、16日を過ぎると普段の生活に戻る。この時期から朝夕の気温が下がるため「秋の味覚」にメニューも変わる。

2022年の家計調査では8月に需要が増え、前年も上回ったゴールデンカテゴリーは豆腐(100.43%)、かまぼこ(109.68%)、他の和生菓子(117.87%)、他の洋生菓子(111.81%)、ゼリー(114.19%)、プリン(109.87%)、アイスクリーム(111.81%)、調理パン(102.69%)、シューマイ(103.23%)、ギョーザ(102.86%)、他の主食的食品(106.69%)、コーヒー飲料(103.95%)。

8月に需要が増えたが、前年を下回ったカテゴリーは中華麺(97.42%)、牛乳(99.71%)、ヨーグルト(97.00%)、こんにゃく(93.33%)、ケーキ(97.01%)、果実、野菜飲料(99.87%)、乳飲料(95.16%)、8月の需要は変わらないが前年を上回ったカテゴリーはパン(104.95%)、食パン(101.68%)、他のパン(106.54%)、生うどん、そば(100.00%)、乳酸菌飲料(120.78%)、他の飲料(110.94%)。

8月に需要は減ったが前年を上回ったカテゴリーは揚げかまぼこ(102.00%)、ちくわ(110.14%)、梅干し(104.62%)、冷凍食品(107.68%)、8月の需要はあまり変わらないが前年を下回ったカテゴリーは魚介つくだ煮(85.71%)、卵(94.11%)、大根漬け(87.95%)、白菜漬け(86.96%)、他の漬物(98.39%)、昆布つくだ煮(89.25%)、マーガリン(96.15%)、チーズ(95.46%)。

8月に需要が減り、前年も下回ったカテゴリーはバター(82.57%)、揚げ、がんも(94.90%)、納豆(96.43%)。

8月のゴールデンカテゴリー(需要が伸び、前年を上回った)の豆腐(100.43%)、かまぼこ(109.68%)、他の和生菓子(117.87%)、他の洋生菓子(111.81%)、ゼリー(114.19%)、プリン(109.87%)、アイスクリーム(111.81%)、調理パン(%)、シューマイ(103.23%)、ギョーザ(102.86%)、他の主食的食品(106.69%)、コーヒー飲料(103.95%)。

和洋生菓子、ゼリー、アイスクリームなどの甘味類が相変わらず2桁伸びと好調だが、今年に入りブレーキがかかってきているため注意が必要。ギョーザ、シューマイも前年をクリアしているため盆明けから「中華フェア」を実施するとよい。

10%以上伸びたカテゴリーは、ちくわ(110.14%)、他の和生菓子(117.87%)、他の洋生菓子(111.81%)、ゼリー(114.19%)、アイスクリーム(111.81%)、乳酸菌飲料(120.78%)、他の飲料(110.94%)。

甘味類の他には和日配は「魚肉練り製品」が好調。盆明けから「おでん」のシーズンを迎えるため、月初から無菌パックおでんを下段で販売したい。カニかまぼこはサラダ、酢の物用として売り逃しがないようにしたい。洋日配は「乳酸菌飲料」が相変わらず伸びているため1ℓタイプ、箱売りにも力を入れたい。パンも好調であるため品切れに注意。

95%を下回ったカテゴリーは、こんにゃく(93.33%)、魚介つくだ煮(85.71%)、昆布つくだ煮(89.25%)、卵(94.11%)、大根漬け(87.95%)、白菜漬け(86.96%)、他の漬物(98.39%)、バター(82.57%)、揚げ、がんも(94.90%)。

漬物、つくだ煮など和日配のアイテムが多いが、販促を強化することで売上げが上がるカテゴリーだ。涼味食品だけでなく盆を機会に「伝統食品」にも力を入れたい。バターは今年に入り回復の兆しが見え始めた。

9月からさらに食材や電気料金などの値上げが実施されたり、政府の補助金がなくなる。いままで通りの品揃えや販売方法では売上アップはそれほど期待できない。今年は前年比105%以上は確保したい。安さのイメージを与えるため100円以下の商品の品揃えを増やしたり、売れ筋商品の価格訴求を検討したい。

中華麺

冷し中華、焼きそばなどの中華麺は7月、8月が売りどきだ。昨年7月は前年をクリアしたが8月は前年を割った。冷し中華、冷し担々麺は盆前まで全力で販売したい。

売場づくり

子どもが夏休みであるだけに冷し中華、焼きそばは4食タイプの商品を導入して「増量セール」を実施したい。育ち盛りの子どもは1食では足りないからだ。

ちくわ

夏にもかかわらず「魚肉練り製品」が好調だ。ちくわは13カ月連続で前年をクリアしている。揚げかまぼこやカニかまぼこも好調だ。値上げはされているものの魚肉練り製品は買いやすい価格だ。夏の涼味食品として生食を提案したい。

売場づくり

揚げかまぼこも白はんぺんも生で食べられる(要加熱を除く)ことを提案。盆明けから「おでんだね」をばら販売などで訴求。焼きちくわはかば焼き、磯辺揚げにしてもおいしいためメニュー提案を行う。

おでんは盆前までは「冷しおでん」、盆明けから「ホットおでん」を提案する

他の漬物

他の漬物(キムチ、古漬け)は12月に次ぐ需要高。浅漬けや大根漬けは需要が落ちるが、古漬けは需要が高いため積極的に販売する。浅漬けコーナーを縮小して古漬けを拡大。

売場づくり

キュウリ、ナス、大根などの夏野菜は家庭で浅漬けを作る機会が増えるため、日持ちのする古漬けを大量陳列して販売する。キュウリ漬け、福神漬け、ラッキョウ漬け、紅ショウガ、ニンニク漬けは大袋も品揃えしたい。

ギョーザ

昨年8月のギョーザは需要が高く前年もクリアしたゴールデンカテゴリー。日配はチルドギョーザ、冷凍ギョーザと2温度帯で販売しているが、需要が高いだけに大型パックや有名店ギョーザも品揃えしたい。

売場づくり

節約志向が高まる盆明けに、ギョーザ、シューマイ、中華まんなど点心類を中心とした「中華フェア」を実施する。

他の主食的食品(スナック)

スナック類は13カ月連続で前年をクリアしている好調カテゴリー。8月は需要が高まるためチルド商品、冷凍食品は売り逃しがないようにしたい。

売場づくり

パスタ、ピザ、中華まん、ホットケーキ、ワッフル、お好み焼き、たこ焼きなどの「粉物」は、子どもの夏休みのおやつとして提案する。冷凍食品は弁当材料の需要が落ちるため、スナックの売場を拡大。

プリン

プリンの8月の需要は年間ナンバーワン、前年もクリアしているゴールデンカテゴリーだ。有名料理研究家監修のプリンや別カテゴリーの自社ブランドをイメージさせる商品も多く販売されているため品揃えを増やし積極的に販売したい。

売場づくり

売れる時季だけに、大型パック、瓶入り、ポリ入りなどの高級タイプも品揃えしたい。類似商品の「パンナコッタ」も一緒に販売したい。

調理パン

調理パンは需要が高まり前年もクリアしているゴールデンカテゴリー。ホールセールの調理パンは惣菜の調理パンと比べて、安価で日持ちがするため、まとめ買いが期待できる。

売場づくり

8月は「人が動く」月。電車、バス、自家用車の中で食べられる「パン」や「おにぎり」がよく動く。「サンドイッチ」より加熱済み食材を使った「ハンバーガー」「ロングドッグ」「カツサンド」に力を入れて販売する。特にハンバーガーは品切れに注意。

乳酸菌飲料

乳酸菌飲料は13カ月連続前年クリアしているゴールデンカテゴリー。8月は年間ナンバーワンの需要高。ポリタイプのものだけでなく、ガブガブ飲める1ℓも積極的に販売する。

売場づくり

品揃えはヤクルトタイプの隣りに、紙パック、フルーツタイプ、サワータイプ、1ℓタイプ、ポリタイプの品揃えを強化。パーソナルタイプの隣りに1ℓ、500mlの売場を確保する。

トレンド商品

白キムチ

チムチェは韓国の漬物の総称。白キムチは青唐辛子を使った浅漬けのような白いキムチで少し酸味がある。漬け汁もサラッとして家庭で漬けたような白菜キムチ。以前はスーパーマーケットでも品揃えされていたがいつのまにか姿を消した。赤キムチの他に品揃えがあってもいい商品だ。

焼きショウガのつくだ煮

ショウガの漬物には紅ショウガ、新ショウガ、甘酢ショウガなどがあるが、ショウガをしょうゆと砂糖、カツオだしで煮た「つくだ煮」に注目。味がしっかりしているので弁当やおにぎり、寿司にも活用できる。また日持ちがするため保存容器に移せば、お茶漬けに入れたり、ご飯に載せて食べたりするなど、夏の食卓の一品として重宝に使える。

野菜ヨーグルト

ヨーグルトに30種類の野菜を加えた「ハイブリッド型商品」。ありそうでなかった商品。ヨーグルトとフルーツの組み合わせは多いが、野菜も摂りたい、ヨーグルトも摂りたいと思う人にうってつけの商品だ。

メロンパンシート

食パンやロールパンの上に載せてオーブントースターで焼くだけ。メロンパンのような香りと食感が得られる商品。バターやマーガリン、ジャムなどを塗るのが面倒だと思う人も多いと思うが、これはシートを載せて焼くだけ。こんがりとした食感が楽しめる

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