旬のフルーツと洋菓子や和菓子、ゼリーの流れ、まんじゅうはぜひ強化したい|「これは押さえたい」菓子・スイーツ編・2023年9月

2023.07.20

トルティーノ代表 中村 徹

2022年の9月1日にはニューヨーク外国為替市場で円相場が一時、1ドル=140円台まで下落し、24年ぶりの円安水準を更新した。この円安傾向が続き22日政府・日銀は、急激な円安の進行を阻止するため、ドル売り円買いの市場介入を24年3カ月ぶりに実施した。一時的に円高に振れるも円安ドル高傾向は続き、食品を中心とする値上げの原因となっていった。

曜日回りは土曜日4回、日曜日4回と週末の少ない曜日回りであったが、昨年は敬老の日絡みと秋分の日絡みで3連休が2回存在した。今年は土曜5回、日曜4回と土曜の多い曜日回りであるが、秋分の日が土曜になるため3連休が1回減ってしまう。3連休は敬老の日絡みの16日~18日の1回だけになる。

9月は初秋ということで徐々に気温が下がり、過ごしやすくなっていく月である。また秋雨前線の停滞しやすい時季でもあり、すっきり晴れることが少なく、雨や曇りの日が多い。22年東京ではすっきり晴れた日が10日ほどで後は曇りや雨となっている。「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉もあるなど、夏の暑さも23日の秋分の日くらいには終わってくるというが、22年も東京で見ると、19日に最高気温が30℃を超えているが、以降は最高気温30℃を下回り本格的な秋のシーズンに入っていっている。

9月は秋の行楽の入口の季節である。今年は7月時点でも観光や行楽で多くの人が出回っており、より新型コロナウイルス前の日常に近い生活に戻っているようである。菓子関係の催事カレンダーを見てみると、毎月の催事日である6日(水)手巻きロールの日、15日(金)菓子の日、19日(火)シュークリームの日、22日(金)ショートケーキの日など菓子関係の日が週末に存在し、曜日回りからいうと金曜日にあたる菓子の日やショートケーキの日は週末を絡めて売り込むチャンスになる。そして9月は敬老の日や彼岸、洋菓子の日もある。

今年の夏はエルニーニョ現象が発生しても例年のように冷夏にはならず、猛暑になるとの予想が多い。この影響は9月にも残り、気温は高めに推移する予想である。降水量は台風などの影響もあるが、今のところ平年並みとの予想であるが、7月時点でも九州や北陸では記録的な大雨になっており、直近でないとなかなか難しい予想となる。週間予報が出るレベルの期間でないと細かな予想は難しいので今後の天気予報を注視する必要がある。人の動きは外国人も含め観光地を中心に多くの人出がある。今年の9月は敬老の日を含む3連休を中心に多くの人出となるであろう。

総務省家計調査の「<品目分類>1世帯当たり年間の品目別支出金額,購入数量及び平均価格」を見てみると、品目別令和3年(2021年)年間の月別支出金額が掲載されている。

菓子類の9月を見てみると、年間平均金額に対し夏型の菓子から秋型の商品へ徐々に移っていっている。例えばまんじゅうが101.3%、プリンが100.5%、アイスクリーム・シャーベットも115.1%と高い。これらの商品群のトレンドを見るために「令和3年年間消費金額/平成12年年間消費金額」を計算してみると、まんじゅうが39.5%、プリンが106.1%、アイスクリーム・シャーベットが133.5%となっている。

これらを考えてみると季節指数の高いまんじゅうをいかに売り込んでいないかが分かる。一方で指数が伸びているプリンやアイスクリーム・シャーベットをしっかり伸ばし、催事の和菓子をしっかり押さえておくことが必要となる。

おはぎ

おはぎイメージ

9月の和洋生菓子系は20日彼岸の入りからの26日彼岸の明けまでの1週間をしっかり押さえつつ、この他の小さな催事のポイントもしっかり押さえていくかということが必要になると思う。

彼岸は春彼岸、秋彼岸の年2回ある。春は春分の日を中心とした前後7日間。秋は秋分の日を中心とした前後7日間。いずれの日も太陽が真東から昇り真西に沈む日となる。この時季は仏さまの世界「彼岸」と現生の「此岸」が最も近い位置にあると考えられ、先祖供養を行うという風習に発展していった。

和菓子の世界では春はぼた餅、秋はおはぎをお供えしたり、食べたりする習慣がある。厳密にぼた餅とおはぎの定義が決まっているわけではないが、一応ぼた餅はこしあんが多く、おはぎは粒あんが多いとか、花の名前に沿って春に咲く「牡丹餅」と秋に咲く「お萩」と言い分けるなど細かくはさまざまな定義があるようだ。

最近では東北地方のずんだのおはぎや、黒ゴマのおはぎ、西日本の青のりのおはぎなど地方によってさまざまなおはぎが売られている。おはぎ自体が彼岸の商品だけではなく年中商品として扱っているところもあり、メジャーな和菓子の1つとなっている。しかし、やはり伝統として秋の彼岸におはぎという和菓子を食べるということを大事にするためにもしっかり訴求をしていきたい。

プリン

プリンアラモードイメージ

9月は先に述べたようにプリンの指数が平均を超える。夏のゼリー、かき氷といったさっぱり味から少し甘いまったりしたプリンにし好が移る。今年は卵の不足や価格高騰でプリンにとってはマイナスの年となっているが、乳業メーカーなどのチルドプリンやコンビニデザート系のプリンを集合させて「プリン祭り」を行いたい。

時季は15日(金)菓子の日~18日(月)の敬老の日まで辺りがぴったりであろう。関連商材としてプリンアラモードができるようなカットフルーツやホイップなどもそろえ華やかに開催すると敬老の日も華やかになる。

ロールケーキ

ロールケーキイメージ

9月は各社から秋の新製品が発売される時季である。アイスも夏型商品と秋冬商品の入れ替えもあり、売場変更をしっかり行うことで売上げを確保していきたい。

またコンビニスイーツ系も芋、クリ、ナシ、リンゴ、ブドウ、マスカットなどの季節の食材を使った商品が多く発売される。特に人気の高いロールケーキ系に力を入れたい。それほど知られていないが9月29日(金)は洋菓子の日である。フランスの菓子職人の守護聖人とされている大天使ミカエルを記念する祝日が9月29日であることにちなみ、三重県洋菓子協会が02年に制定したものであり、日本では歴史も浅いが訴求するには理由付けとなる。

ちょうど給料日明けの週末になるので新商品を中心に単価の上がるロールケーキを訴求したい。ロールケーキも各社から発売されているので集合展開することでインパクトを与える売場になる。

売場展開

9月の売場展開のテーマは晩夏から初秋の時季である。先にも述べたが旬の果物としてはナシ、モモ、ブドウ、柿、早生のリンゴ、バレンシアオレンジなどがありフルーツ好きにはたまらない季節である。従って、毎月同じであるが、旬のフルーツと洋菓子や和菓子、ゼリーやフルーツヨーグルトの関連販売は継続したい。「秋のフルーツ・スイーツフェア」などと銘打って農産カットフルーツ、コンビニスイーツ、ゼリーなどで実施したい。

トレンド商品

クロッフル

クロッフルイメージ

20年頃から韓国ではやり、日本でもはやりだしたクロッフルであるが、元々はクロワッサン生地をワッフルメーカーで焼いたもので外はサクサクで中はふんわり食感が売りの商品である。このクロッフルであるが、今後のトレンドとしてさまざまなトッピングがされて進化していくものと考えられる。

クリームチーズのトッピングやモンブラン仕立てなど進化の方向性は360°開けている。新しい生地ベースとして今後も定着していくのではないだろうか。専門店ではテイクアウト用に生地のバリエーションやチョココーティングされたものも出てきているので、生地そのものも進化の過程中である。