夏型の菓子から秋型の商品に切り替わり、31日のハロウィーンをしっかり取る|「これは押さえたい」菓子・スイーツ編・2023年10月

2023.08.24

トルティーノ代表 中村 徹

昨年2022年の10月20日には東京外国為替市場で円相場が一時1ドル150円9銭に下落し、32年ぶりの円安水準を更新した。

9月1日の1ドル140円レベルから1カ月半程度で10円の円安が進むという異常な為替動向となった。その後一時的に円高に振れるものの円安ドル高傾向は続き、食品を中心とする値上げの原因となった。

曜日回りは土曜日5回、日曜日5回と週末の多い曜日周りであった。10月はスポーツの日絡みで3連休が1回存在する。今年は土曜4回、日曜5回と土曜が1日少ない曜日回りであるが、スポーツの日(10月9日)絡みの3連休は昨年同様存在する。この時季に合わせて2期制の小学校などでは秋休みとなるところが多い。土曜減の火曜増ということで週末型店舗では1.0%程度の減収要因となる曜日回りである。

10月は秋本番に入っていく月ということで徐々に気温が下がり、ますます過ごしやすくなっていく月である。22年東京では初旬は晴れると最高気温が30℃近くまで上がるが、それでも最低気温は20℃前後と過ごしやすい気温である。しかし一方で、雨が降ると最高気温が12.8℃と真冬のような寒さにもなる。下旬には晴れても最高気温20℃前後、最低気温10~15℃と本格的な秋になる。

10月は秋の行楽の季節である。今年は8月時点の特に盆休みでは帰省や観光で多くの人が出回っているなど、より新型コロナウイルス前の日常に近い生活に戻っているようである。また、中国では8月10日より海外団体旅行が解禁された。9月末~10月初旬は中国の国慶節があり、大型連休となる。このため中国からの観光客が大幅に増える見通しである。

菓子関係の催事カレンダーを見てみると、毎月の催事日である6日(金)手巻きロールの日、15日(日)菓子の日、19日(木)シュークリームの日、22日(日)ショートケーキの日など菓子関係の日が週末に存在し、曜日回りからいうと日曜日に当たり菓子の日やショートケーキの日は週末を絡めて売り込むチャンスになる。そして10月はスポーツの日やハロウィーンもある。

まだ3カ月予報は10月までしか出ていないが、今年の秋、気温は高めに推移する予想である。降水量は台風などの影響もあるが、いまのところ平年並みとの予想である。10月は台風シーズン真っ只中なので台風情報には十分な注意が必要である。

近年台風は大型で強い勢力を持ったまま日本に近づくことが多くなってきている。それに伴って被害も大きくなるので事前の対策が必要である。人の動きは外国人も含め観光地を中心に多くの人出がある。今年の10月もスポーツの日を含む3連休を中心に多くの人出となるであろう、

総務省家計調査の「<品目分類>1世帯当たり年間の品目別支出金額,購入数量及び平均価格」を見てみると、品目別令和4年年間の月別支出金額が掲載されている。菓子類の10月を見てみると、年間平均金額に対し夏型の菓子から秋型の商品へ完全に移っていっている。

例えばまんじゅうが101.7%、プリンが108.2%、他の洋生菓子も上がってきて98.7%と高い。これらの商品群のトレンドを見るために「令和4年年間消費金額/平成12年年間消費金額」を計算してみると、まんじゅうが42.3%、プリンが111.3%、他の洋生菓子が209.3%となっている。

これらを考えてみると季節指数の高いプリンをいかに売り込んでいないかが分かる。一方で指数が伸びている他の洋生菓子をしっかり伸ばし、十三夜など催事の和菓子をしっかり押さえておくことが必要となる。

10月の和洋生菓子系は31日のハロウィーンをしっかり押さえつつ、この他の小さな催事のポイントもしっかり押さえていくかということが必要になると思う。

栗まんじゅう

月見には十五夜と十三夜の2つが大きな催事としてある。十五夜は旧暦の8月15日、十三夜は同9月13日である。今年の十五夜は9月29日(金)、十三夜は10月27日(金)に当たる。十五夜では、月の神様に豊作を願う。この十五夜と対をなすのが十三夜となる。

月の神様に豊作を願い、それを感謝する行事である「十五夜」と「十三夜」、2つを合わせて「二夜の月」、どちらか一方だけ月見をすることを「片月見」と呼び、忌み嫌われていた。十三夜には栗や大豆、果物など、秋の実りと共に月見団子やススキを供える。「お供えのだんごは13個用意する」などといわれるが、十三夜は別名「栗名月」とも呼ばれるように栗に縁が深いので最近では栗のだんごを供えるなど実際に食べておいしい和菓子に進化してきている。販売を考えるなら白い月見だんごと共においしい栗まんじゅうを訴求したい。

栗まんじゅうイメージ

プリン

10月は先に述べたようにプリンの指数が平均を超える。ゼリー、アイスクリームといった夏型の味から少し甘い、まったりしたプリンにし好が移る。今年は引き続き卵の不足や飼料高などによる価格高騰でプリンにとってはマイナスの年となっている。

さらに10月下旬ころには北の地域で本年初の鳥インフルエンザが発生し、昨年同様のパターンに陥る最初の月になってくるかもしれない。こういう時季ではあるが冬の時季にかけて定番企画として乳業メーカーなどのチルドプリンやコンビニデザート系のプリンを集合させて「プリン祭り」を行いたい。

期間は13日(金)~15日(日)菓子の日まで辺りがぴったりであろう。関連商材としてプリンアラモードができるようなカットフルーツやホイップなどもそろえ、華やかに開催すると菓子の日も華やかになる。

プリンイメージ

ハロウィーンのカボチャ

10月は31日(火)にハロウィーンがあるが、商品訴求としては月間を通してさまざまなハロウィーン絡みの商品を訴求したい。ハロウィーンはもともと古代アイルランドに住んでいたケルト人が起源と言われている。

秋の収穫を祝い、先祖の霊を迎えると共に悪霊を追い払う祭りであるが、最近の日本では仮装する祭りになってきている。仮装する意味合いは、ハロウィーンになると先祖の霊と一緒に悪霊や魔女もやってきて、人間たちに災いをもたらしたり、いたずらをしたりするとされたため、身を守るために悪霊や魔女の恰好をして仲間に見せかけたということである。

ハロウィーンには目と口と鼻をくり抜いて中にキャンドルを灯したカボチャのランタン「ジャック・オー・ランタン」を飾る風習があるが、これも最近では魔除けの意味合いが強い。このジャック・オー・ランタンのイメージでカボチャのスイーツが10月には多く発売され、ハロウィーンを盛り上げている。

また、ハロウィーンには仮装をした子どもたちが街を練り歩き、「トリック・オア・トリート」と玄関先で声をかけて菓子をねだる風習があるが、日本でもキャンディなどの菓子を交換したり、店舗での販促に使われたりしていることから、菓子の需要増にもつながっている。

いずれにしても10月といえばハロウィーンというほど定着してきており、カボチャスイーツやハロウィーンパーティ向けスイーツアソートなど菓子関係でもハロウィーンを盛り上げていきたい。

特にコロナ影響下で昨年までイベント関係は少し抑え気味であったが、本年は夏祭りでもコロナ前に戻っており、ハロウィーンもコロナ前の盛り上がりを取り戻すと予想されるので強化が必要である。

ハロウィーンパーティイメージ

売場展開

10月の売場展開のテーマは「収穫の秋」本番である。旬の果物としてはナシ、カキ、ブドウ、早生のミカン、クリなどがありフルーツがおいしい季節である。従って、毎月同じであるが、旬のフルーツと洋菓子や和菓子、ゼリーやフルーツヨーグルトの関連販売は継続したい。「秋のフルーツ・スイーツフェア」などと銘打って農産カットフルーツ、コンビニスイーツ、ゼリーなどで実施したい。

トレンド商品

アニマル系スイーツ

あえて名前を付けると「アニマル系スイーツ」が一部はやっている。有名なところでは将棋家の藤井聡太氏が対局のおやつに名古屋駅構内で販売されている「ぴよりん」を食べたことで爆発的な人気となり、いまも人気は続いている。

こういった動物を模ったスイーツがさまざまな菓子で発売されている。動物を模ったドーナツであるとか、名古屋の老舗和菓子店が販売する水族館風の上生菓子や福岡ではクマのマカロンが販売され好評を得ているようである。10月はハロウィーンもあり、黒猫など動物を模った菓子が販売しやすい環境になるかもしれない。