気温が下がり、うどん、そばの積極販売、ちくわも販売チャンス|「これは押さえたい」日配編・2023年10月

2023.09.15

城取フードサービス研究所代表 城取博幸

10月の主なイベント、行事は、第2月曜日(9日)「スポーツの日」、10日(火)「目の愛護デー」、14日(土)「鉄道の日」、15日(日)「世界手洗いデー」、17日(火)「神嘗祭(かんなめさい)」、中旬~下旬「十三夜」、23日~24日「博多おくんち」、10月27日(金)~11月9日(木)「読書週間」、31日(火)「ハロウィーン」。

「スポーツの日」は「東京オリンピックの開会式の日」。日配部門は冷凍食品などの弁当材料の訴求。「鉄道の日」は「全国駅弁祭り」を企画したい。「神嘗祭」は五穀豊穣の感謝祭。初穂を伊勢神宮のえる日。新米を使った炊き込みご飯、秋野菜を使った煮物、あえ物訴求。「博多おくんち」は長崎にある諏訪神社の祭り。「九州フェア」「長崎フェア」の実施。「ハロウィン」は袋惣菜やパンプキンパイ提案する。

今年の努力目標は前年比110%以上。売上げ5%アップは物価上昇分と考える。安さのイメージを与えるための100円以下の品揃えの他に、冷凍食品はコストコのような「ファミリーパック」「メガパック」も品揃えする。ゴールデンカテゴリーは「松竹梅」の品揃えで平均単価をアップさせる。

2022年10月の家計調査は、食料品計105.79%、食費(外食、給食除く)は前年比104.18%と前年クリア。外食、給食は114.85%と好調であったが成長が鈍化してきている。日配部門は全国の名産品などを集め買上点数、平均単価をアップさせたい。

10月に需要が増え、前年も上回ったゴールデンカテゴリはパン(107.54%)、食パン(106.62%)、他のパン(108.03%)、生うどん、そば(111.36%)、揚げかまぼこ(116.42%)、ちくわ(117.33%)、かまぼこ(108.56%)、魚介つくだ煮(115.00%)、チーズ(102.40%)、卵(101.92)、揚げ、がんも(108.91%)、こんにゃく(108.13%)、シューマイ(118.07%)、ケーキ(102.23%)プリン(103.82%)、冷凍調理食品(107.35%)、調理パン(108.08%)、他の洋生菓子(110.77%)、他の主食的食品(110.19%)。

パン、魚肉練り製品、煮物、あえ物材料、冷凍食品などが好調。好調なカテゴリーは売場、SKUの拡大を行う。「松竹梅」の品揃えを行い、平均単価をアップさせることも必要。勢いのあるカテゴリーは大量陳列を行い躊躇せず積極的に販売する。

10月に需要が増えたが、前年を下回ったカテゴリーはバター(97.27%)、納豆(99.44%)、大根漬け(88.24%)、白菜漬け(82.29%)、ギョーザ(97.83%)。10月の需要は変わらないが前年を上回ったカテゴリーは中華麺(108.81%)、豆腐(107.28%)、他の漬物(100.25%)、昆布つくだ煮(106.45%)、マーガリン(106.00%)。

10月に需要は減ったが前年を上回ったカテゴリーは他の和生菓子(119.65%)、アイスクリーム(101.93%)、コーヒー飲料(103.54%)、乳酸菌飲料(123.91%)、乳飲料(100.00%)。10月に前年を下回ったカテゴリーは牛乳(96.11%)、ヨーグルト(96.75%)、梅干し(99.09%)、ゼリー(98.39%)、果実、野菜飲料(93.64%)。

10%以上伸びたカテゴリーは生うどん、揚げかまぼこ、ちくわ、魚介つくだ煮、シューマイ、スナック類、和洋生菓子、乳酸菌飲料が2桁成長であった。フェースを広げて十分な在庫を持ち品切れ防止に努めたい。中には季節指数が低いにも関わらず2桁成長したカテゴリーもあるため見逃さないようにしたい。

95%を下回ったカテゴリーは、大根漬け、白菜漬け、果実・野菜飲料。漬物が不振であったことは驚きだったが、マヨネーズの需要が伸びていることから「サラダ需要」が高かったことも考えられる。野菜の相場を見ながら販促を強化したい。果実・野菜飲料は天気予報を見ながら気温の高い日にインストアプロモーションを活用して販売するとよい。

生うどん、そば

生うどん、そばは12カ月連続前年をクリアしているため気温が下がる10月には積極的に販売する。鍋焼きうどんやカモ南蛮そば、天ぷらそばなどの調理麺の導入も早めに行う。

売場づくり

下段に3食タイプのロングライフうどん、そばのフェースを十分確保して販売する。調理麺コーナーは冬物に切り替える。つゆや関連具材は3尺縦割りでコーナー化する。

ちくわ

ちくわが一番動く月は10月であるため販売のチャンスを逃さないこと。ちくわは13カ月連続で前年をクリアしている優良カテゴリー。生食需要と加熱需要が重なる月。

売場づくり

好調なカテゴリーだけにあごちくわ、いわしちくわ、竹串ちくわ、ボタン焼きちくわなど日本各地のちくわを品揃えしたい。伸びているカテゴリーはSKUを広げる。真空パックであればロスも少ない。

豆腐

豆腐も12カ月連続前年クリア。10月は「やっこ需要」と「鍋物重要」が重なる月であるため偏った品揃えはしない方がいい。今年の気温にもよるが、どちらにも対応できる品揃えをする。

売場づくり

3段重ねや4升、6升、9升の充てん豆腐の品揃えが増えている。食べ切りサイズで、まな板、包丁使わず衛生的だ。充てん豆腐は縦割りに、カット豆腐の中段には「鍋」に使える「カット済み木綿豆腐」や「カット済み焼き豆腐」も品揃えしたい。

魚介つくだ煮

魚介つくだ煮や昆布つくだ煮は地味な商品であるが10月から12月にかけて需要が伸び、前年もクリアしている。海水魚、淡水魚の甘露煮やつくだ煮を積極的に販売したい。

売場づくり

海なし県ではコイの甘露煮、ニジマスの甘露煮、アユの甘露煮などの川魚の品揃えを強化する。ニジマスやアユの低温調理真空パック商品は頭や骨も食べられることを訴求する。

小魚アーモンドなどカルシウムを多く含む食品も好調なだけに魚の加工品をもっと販売したい。

「わかさぎのつくだ煮(から揚げ味)」。ワカサギを揚げてたれを絡めたもので丸ごと食べられる。味は濃いが常温でも保存できむだがでない商品。冬はワカサギのシーズンであるため早めに大量陳列して販売したい

バター

昨年9月~12月は、購入数量は増えているものの平均単価が下がり、消費支出も前年を下回った。今年に入り、平均単価の上昇で前年をクリアするようになった。今年は需要が高まる秋からは期待できそうだ。

売場づくり

秋からは需要が高まるため有塩バター、無塩バターともケース最下段で販売する。バターは溶けが悪いという欠点もあるため、そのまま使える「ホイップバター」の販売にも力に力を入れる。

プリン

10月のプリンは1年で一番動く月だけに積極的に販売する。昨年は7月~1月まで前年をクリアした。プリンは冬から春気かけては動きが悪いが、6月から12月にかけて動きがよくなる傾向が見られる。

売場づくり

ゼリーを縮小してプリンを拡大する。北海道産の「瓶入りプリン」も品揃えしたい。フレッシュデザートは「プリンアラモード」や「クレームブリュレ」も品揃えしたい。

プリンとカットフルーツ、ホイップクリームを合わせたものがプリンアラモードであるため、家庭でつくるプリンアラモードを提案したい。

冷凍調理品

冷凍食品は13カ月連続で前年クリアしているゴールデンカテゴリー。8月、9月は需要が落ちたが10月は需要が高まるため、行楽弁当やスナックの提案をしたい

売場づくり

「食欲の秋」「読書週間」の時季に夜食メニュー(米飯、パスタ、スナック)を訴求する。 手間抜きができる里芋、カボチャ、ホウレンソウ、ポテトなど調理済み冷凍野菜の販売に力を入れる。

他の主食的調理品(スナック)

スナック類も13カ月連続前年をクリアし、10月から需要が高まるゴールデンカテゴリー。チルド、冷凍の「粉物」に注力して販売する。

売場づくり

粉物のホットメニューの訴求。ピザ、グラタン、パスタ、お好み焼き、たこ焼き、ワッフル、ホットケーキ、クレープはチルド、冷凍を含め、売場と品揃えを拡大する。チーズやホイップクリームを関連販売する。

トレンド商品

焼き鶏つくね

魚肉練り製品メーカーが作った「焼き鶏つくね」。原材料は鶏ひき肉、魚肉、鶏軟骨、卵白、大豆タンパクなどが使われている。魚肉タンパクと植物性タンパク、もしくは動物タンパクと植物性タンパクの組み合わせはあったが、3種類が混ざった商品は珍しい。他にはないためPOPなどでアピールして販売したい。

珈琲花豆

コーヒー風味の花豆煮。煮豆は和食のおかずのイメージがあるが、コーヒーのフレーバーを加えることでヨーグルトやデザート、ケーキなど「乳」を使ったメニューにもよく合う。

ご飯と煮豆といった構図にとらわれず、パンと煮豆、デザートと煮豆と幅広く使える商品。新しい価値、新しいライフスタイルを提案しなくては、需要は伸びない。

スプレーホイップ

アルミ缶に入ったイタリア産スプレー式ホイップクリーム。開封後も冷蔵庫で保管すれば賞味期限まで使える。必要なだけ使えるのでむだもない。ホイップクリームが軽いためケーキ作りには向かないが、フルーツ、デザート、ケーキ、パン、アイスクリームなどのトッピングに使える。秋から洋生菓子の需要が伸びるため大量陳列して販売したい。

大きな惣菜パン

小麦粉の値上げでパンの値段が上がったり、内容量が減ったりしているが、「大きなパンシリーズ」は逆に大きくして価値を高めた。普通のあんパンなどは約100gであるのに対し、大きなシリーズは約130g~約170gの容量。レギュラー品を2つ買うより格安だ。「大きなシリーズ」で定番化したい。