ボジョレヌーボーにはチーズケーキ提案、プラントベーススイーツにも注目を|「これは押さえたい」菓子・スイーツ編・2023年11月

2023.09.29

トルティーノ代表 中村 徹

昨年2022年は11月23日にサッカーワールドカップカタール大会で日本は対ドイツ戦で歴史的な逆転勝利を収めるなど、11月終盤は日本全国サッカーワールドカップで盛り上がった。

曜日回りは土曜日4回、日曜日4回と週末の少ない曜日回りであった。祝日も3日の文化の日が木曜日、23日勤労感謝の日が水曜日と連休とはならなかった。今年も土曜4回、日曜4回と週末の少ない曜日回りであるが、文化の日が金曜日となるため、3日~5日の3連休となる。昨年と比べて火曜減の木曜増ということで売上には影響ないレベルの曜日回りである。

11月は秋本番の月ということで気温も下がり、行楽にも適した過ごしやすい月である。22年は東京では月を通じて晴れの日が多く、気温も最高気温が20℃前後であった。最低気温は10℃前後とやや肌寒いくらいの気温である。一方で雨が降ると最高気温が12.1℃と真冬のような寒さにもなる。中盤以降は最低気温が10℃を割る日が多くなり、冬が近いことを感じさせる。

11月は秋の行楽の季節である。今年は9月時点では歴史的な残暑の割に観光で多くの人が出回っており、より新型コロナ前の日常に近い生活に戻っているようである。インバウンドは東京電力が福島第一原発の処理水を海に放出する計画が8月24日に始まった影響もあり、中国からの団体客は目立って増えてはいない。ただ大幅な円安の影響でドル圏やユーロ圏の旅行客は引き続き多い。

菓子関係の催事カレンダーを見てみると、毎月の催事日である6日(月)手巻きロールの日、15日(水)菓子の日、19日(日)シュークリームの日、22日(水)ショートケーキの日など菓子関係の日が週末に存在し、曜日回りからいうと日曜日に当たるシュークリームの日は週末を絡めて売り込むチャンスになる。そして11月は七五三、ボジョレヌーボーの解禁もある。

今年の夏はエルニーニョ現象などの影響で歴史的な猛暑だった。この影響は今年の秋、冬も続く模様である。11月も気温は高めに推移する予想である。降水量は台風などの影響もあるが、いまのところ平年並みとの予想である。人の動きは外国人も含め観光地を中心に多くの人出がある。今年の11月も文化の日を含む3連休を中心に多くの人出となるであろう、

総務省家計調査の「<品目分類>1世帯当たり年間の品目別支出金額,購入数量及び平均価格」を見てみると、品目別令和4年年間の月別支出金額が掲載されている。菓子類の11月を見てみると、年間平均金額に対し秋、冬型の商品へ完全に移っていっている。

例えばまんじゅうが103.1%、ケーキが106.6%、プリンが106.9%、他の洋生菓子が102.1%と高い。これらの商品群のトレンドを見るために「令和4年年間消費金額/平成12年年間消費金額」を計算してみると、まんじゅうが42.3%、ケーキが98.2%、プリンが111.3%、他の洋生菓子が209.3%となっている。

これらを考えてみると季節指数の高くトレンド的にも伸びているプリンと他の洋生菓子をいかに売り込んでいかなければならないかが分かる。一方で七五三など催事の菓子もしっかり押さえておくことが必要となる。

七五三

七五三の由来には諸説あるが、平安時代の頃から宮中で行われていた3つの儀式がもとになっているといわれている。現代に比べて医療が未発達で衛生面もよくなかった昔は、子どもの死亡率が高く「7歳までは神のうち(神の子)」として扱われ、7歳になって子どもとして1人前であると認められていた。当然7歳までの死亡率も高かったので3歳、5歳、7歳の節目に成長を神様に感謝し、お祝いをしたことが七五三の由来といわれている。現在では3歳は男の子、女の子両方(髪置きの儀)、5歳は男の子(袴着の儀)、7歳は女の子(帯解の儀)を祝う儀式となっている。

七五三は11月15日が原則であるが、お宮参りや写真撮影などかなり自由な日程で行われている。従って11月は月を通して七五三向けの内祝い菓子を提案するとよい。七五三といえば千歳飴が定番だが、最近ではさまざまな和洋菓子が内祝い用として販売されている。

こういったときには個包装のフィナンシェや、タルト、バウムクーヘン、マカロンなどの焼き菓子系を訴求したい。日持ちもして販売しやすく、食べやすい。

プリン

11月は先に述べたようにプリンの指数が106.9%と平均を超える。10月も平均を超えており、秋はプリンをしっかり押さえておくことが重要である。

10月にも述べたが、11月の気温次第、渡り鳥などの来鳥次第では昨年同様、鳥インフルエンザが流行して大量の鶏の殺処分が起き、鶏卵の需要が逼迫する事態になるかもしれない。洋菓子に鶏卵は必須であるため、鶏卵の情報にはアンテナを高く張って注意しておくことが必要である。

こういう時季ではあるが冬の時期にかけて毎月の定番企画として乳業メーカーなどのチルドプリンやコンビニデザート系のプリンを集合させて「プリン祭り」を定着させたい。期間は3日(金)~5日(日)3連休辺りがぴったりであろう。鶏卵不足に備え牛乳プリンや抹茶プリン、チョコプリンなどさまざまなフレーバーを押さえておくことも重要である。

プリンイメージ

ボジョレヌーボー

11月16日はボジョレヌーボー解禁の日である。一時ほど大きなイベントにはならないが、ワイン愛好家にとっては年中行事として外せない日となる。ボジョレヌーボーはフランス、ブルゴーニュ地方のボジョレ地区で、その年に取れたブドウだけを使って造られる新酒のことをいう。

毎年解禁日が11月の第3木曜日に設定され、今年は11月16日に当たる。ボジョレはいわゆる広域AOC(原産地呼称)で赤、白、ロゼの生産が認められているが、生産量のほとんどをガメイ(ボジョレ地区を原産とする黒ブドウ品種で、正式な名称はガメイ・ノワール・ア・ジュ・ブラン)から造られる赤ワインで占められている。ボジョレ全体の生産量のうち約半分を占めている。

一方でヌーボーは「新酒」という意味であるが、通常ワインは2カ月では飲むことはできないが、ボジョレヌーボーは独特の製法と空輸によってそれが実現されている。

このボジョレヌーボーにはナチュラルチーズを合わせたりするが、菓子ではチーズケーキを提案したい。11月16日午前0時から19日日曜日にかけての週末は「チーズケーキ祭り」と銘打ってコンビニデザート中心にチルドデザートを含めチーズケーキを集合展開したい。

チーズケーキイメージ

売場展開

11月の売場展開のテーマは秋から初冬の時季である。旬の果物としては柿、リンゴ、早生のミカン、栗などがありフルーツがおいしい季節である。旬のフルーツはコンビニデザートなどでしっかり押さえると共に、関連するゼリーやヨーグルト、カットフルーツも関連販売する必要がある。

また、翌12月はもうクリスマス、年末の最大商戦がある。11月のうちに在庫の整理や、ショーケースのメンテナンスを行っておくとよい。

トレンド商品

プラントベーススイーツ

プラントベース(植物性原材料)スイーツが一般的にも浸透していっている。これは原材料で牛乳の代わりにアーモンドミルクを使ったり、バターの代わりにココナッツオイルを使ったりしたスイーツで、もともとベジタリアンやヴィーガンの人、食物アレルギーのある人向けのスイーツであったが、最近では味の改良も進み一般にも受け入れられつつある。またプラントベーススイーツはサステナブルの観点からも時代にマッチしているといえる。まだ焼き菓子系が多いがティラミスなど徐々に生菓子も発売されている。