伝統食から、あるいは新しい発想の「ハイブリッド」に注目|「これは押さえたい」日配編・2023年11月

2023.10.13

城取フードサービス研究所代表 城取博幸

11月の主なイベント、行事は、1日(水)「寿司の日」「紅茶の日」、3日「文化の日(金)」「高野豆腐の日」、8日(水)、「立冬」「とんかつの日」、10日(金)「アメリカンフライドポテトの日」、12日(日)「豆腐の日」、15日(水)「七五三」、16日(木)「ボジョレーヌーボー解禁」、21日(火)「フライドチキンの日」、22日(水)「小雪」「ショートケーキの日」、23日(木)「勤労感謝の日」「赤飯の日」「乳酸菌の日」、24日(金)「和食の日」、25日(土)「プリンの日」、26日(日)「鉄分の日」、29日(水)「肉の日」。

寿司の日、高野豆腐の日、アメリカンフライドポテトの日、豆腐の日、フライドチキンの日、ショートケーキの日、赤飯の日、乳酸菌の日」「プリンの日」「鉄分の日」は3日ほど前から該当食品売場にボードやPOPをつけて「記念日」を訴求する。

七五三のホームパーティはお祝いであるため、「赤い食品(エビ茶わん蒸し、カニ茶わん蒸し、カニかまぼこ、紅白なます、赤カブ漬け、赤飯、紅白すあま、イチゴ飲料、イチゴのショートケーキ)」を定番コーナーでPOPを付けて訴求する。

売上げ5%アップは物価上昇分と考え、今年の努力目標は前年比110%以上。直近のデータを見る限り、日配部門の売上は好調だ。好調なカテゴリーは価格訴求に加え、「松竹梅の品揃え」を行い「平均単価アップ」を図りたい。「松」商品は地方の名産品を集めるとよい。

食料品は好調だが冬にかけて水道光熱費、灯油、ガソリン代の値上げ(現在は補助金あるが長くは続かない)が行われる。人件費も上昇するため、売上げ、荒利益は、110%以上は確保しなければならない。

総務省の「家計調査」より2022年11月に需要が増え、前年も上回ったゴールデンカテゴリは生うどん、そば(111.31%)、揚げかまぼこ(103.48%)、魚介つくだ煮(121.88%)、昆布つくだ煮(107.34%)、こんにゃく(100.57%)、大根漬け(104.44%)、白菜漬け(104.08%)、マーガリン(103.85%)、ケーキ(106.24%)チーズ(108.92%)、他の洋生菓子(110.23%)、他の主食的食品(106.80%)。

11月の需要は変わらないが前年を上回ったカテゴリーはパン(107.70%)、食パン(106.30%)、他のパン(108.34%)、餃子(101.23%)、果実、野菜飲料(103.66%)。

11月に需要は減ったが前年を上回ったカテゴリーは中華麺(102.28%)、ちくわ(105.88%)、かまぼこ(100.00%)、牛乳(106.41%)、ヨーグルト(104.51%)、卵(104.12%)、豆腐(105.42%)、揚げ、がんも(100.76%)、納豆(101.44%)、梅干し(103.88%)、他の漬物(106.60%)、他の和生菓子(100.28%)、プリン(115.00%)、アイスクリーム(113.40%)、調理パン(105.49%)、コーヒー飲料(103.46%)、乳酸菌飲料(124.78%)、冷凍調理食品(108.02%)、乳飲料(111.94%)。11月に前年を下回ったカテゴリーはバター(94.44%)、ゼリー(97.98%)、シューマイ(90.63%)。

11月のゴールデンカテゴリーのパン、生うどん、そば、揚げかまぼこ、つくだ煮類、漬け物、ケーキ、ケーキ材料などが好調。好調なカテゴリーは売場、SKUの拡大を行う。「松竹梅」の品揃えを行い、平均単価をアップさせることも必要。勢いのあるカテゴリーは大陳を行い躊躇せず積極的に販売する。

特にカテゴリーの生うどん、そば、魚介つくだ煮、他の洋生菓子、プリン、アイスクリーム、乳酸菌飲料、乳飲料は2桁成長であった。うどん、そばは生うどん、生そばの品揃えの拡大。デザート、飲料などの甘いものは依然好調。「乳酸菌飲料」は124.78%の伸び。該当商品はフェースを広げて十分な在庫を持ち、品切れ防止に努めたい。中には季節指数が低いにもかかわらず2桁成長したカテゴリーもあるため見逃さないようにしたい。

昨年11月は値上げ効果でおおむね売上げは好調であったが、バター、ゼリー、シューマイの3アイテムだけが前年を下回った。バターは、ケーキ用の無塩バター、料理用としてチーズと一緒に提案。ゼリーはホイップクリームと合わせたデザートを訴求。シューマイは販促頻度を高める。

揚げかまぼこ

揚げかまぼこは需要が伸び、13カ月連続で前年をクリアしているゴールデンカテゴリー。ただし、伸び率は鈍化。おでん、鍋、煮物需要で12月にピークを迎えるため売り逃しがないようにしたい。

売場づくり

涼味コーナーを縮小して焼きちくわ、さつま揚げのフェースを拡大する。好調なカテゴリーだけに、地方名産の練り製品で売場、アイテムの拡大を図る。

高級魚のノドグロ、フグを使った山口県萩市の揚げかまぼこ。なかなか食べられないが揚げかまぼこであれば、軽く炙ったり、おでんのたねとなる。「松竹梅」の「松」として品揃えしたい。真空パックであるため日持ちもする

油揚げ、がんも

油揚げは昨年10月から連続で前年をクリアしている。12月まで需要が伸びる。豆腐の売上げも好調だ。「プラントベース」はどうやら伝統食品に目が振り向けられているようだ。

売場づくり

レギュラー品の他に一口サイズの厚揚げ、がんもに加え、ジャンボサイズ、盛り合わせも品揃えする。好調なカテゴリーだけに、新潟の「栃尾揚げ」、福井の「座布団揚げ」、宮城の「三角揚げ」も品揃えしたい。

こんにゃく

こんにゃくも昨年10月から需要が伸びている。12月までがピークであるため売り逃しがないようにしたい。手間を省くこんにゃく、白滝を提案する。

売場づくり

需要が高いだけに、こんにゃく2枚入り、白滝大袋、カット済こんにゃく、味付けこんにゃく、鍋用玉こんにゃく、葛切りも品揃えしたい。今年はそのままおでんや鍋に入れられる「味付けこんにゃく」に注力

大根漬け

大根漬けや白菜漬けは10月までは不振であったが、11月から急に需要が拡大。漬物をつけるシーズンであるが、漬かるまでは市販の漬物が売れる傾向があるため注力して販売する。

売場づくり

浅漬け大根、ユズ大根、しょうゆ漬け、みそ漬け、べったら漬け、糖絞り大根、「いぶりがっこ」など地方の「たくあん漬け」も販売したい。

チーズ

乳製品の中ではバターの不振が続いているが、チーズは昨年10月から需要が伸びている。「ボジョレーヌーボー解禁」を機会にワインのつまみや料理用として需要が伸ばしたい。アソートチーズやシュレッドチーズは積極的に販売する

売場づくり

シュレッドチーズは需要が高まるため500g、1kgの大袋をケース最下段で販売。冷凍でも保存できるためPOPなどで訴求する。おつまみチーズはカット済アソートパック(トレー入り)を品揃えする。

ケーキ

冬はケーキの需要が高まる。スーパーマーケットのケーキの品揃えは大人向けだけでなく子ども向けのケーキの品揃えも強化したい。クリスマスケーキの予約も積極的に行う。

売場づくり

冬のケーキである「モンブラン」「アップルパイ」、クリスマスケーキの「シュトーレン」「パネトーネ」などの品揃えを増やしたい。スポンジケーキ、ホイップクリームも大量陳列を行う。

野菜、フルーツ飲料

冬は野菜飲料やフルーツ飲料の需要は落ちるものの、昨年は11月から1月までは前年を上回った。健康飲料として野菜飲料、野菜&フルーツ飲料に注力して販売したい。

売場づくり

200㎖タイプの箱売りも忘れずに行う。

乳飲料

乳飲料も冬に需要が落ちるが、昨年9月から11カ月連続で前年をクリアしている。1ℓタイプのカフェオレ、カップタイプが主流であるため売り逃しがないようにしたい。

売場づくり

有名カフェのカップ飲料が発売されているが、「○○カフェ」などカフェ単体の販促企画もおもしろい。スプレーホイップクリームを関連販売するとよい。

トレンド商品

デラックス鍋焼きうどん

「鍋焼うどんシーズン到来!」。チルド売場でも鍋焼きうどんは売られるが、価格訴求品として使われる場合が多い。写真は冷凍の鍋焼きうどん。かなり具だくさんである。チルドで販売しづらいが冷凍では品揃えできる。売れるシーズンであるためエンドでの販売やフェースを広げて「デラックス鍋焼うどん」を販売する。

バター風スプレッド

乳などを主成分とする食品。原材料はバター、ナタネ油、ナチュラルチーズ、発酵乳、塩。

動物性のバターと植物油脂をミックスしホイップした「ハイブリッド食品」だ。忙しい朝、トーストの上のバターは溶けづらいが、このスプレッドは柔らかく、バターの風味もする。ケース最下段で販売するとよい。

ランプフィッシュキャビア

本物のキャビアは1瓶1万円以上するが、ランプフィッシュキャビアは2000円前後で販売されている。「ランプフィッシュはカサゴ科の「ダンゴウオ」の卵。サラダや寿司、カナッペ、冷製オードブルのトッピングに使えば豪華な料理に変身する。瓶入りで日持ちがするためクリスマスまで大量陳列できる。

あんぱん饅頭

ユニークな名前のパン? まんじゅう? 粒あんが入り外皮は厚めでパンのような、まんじゅうのような焼き菓子。「あんぱん」の好きな人、「まんじゅう」の好きな人の両方を狙った商品だ。全く新しい商品を開発するのも必要だが、伝統食品を組み合わせて「ハイブリッド」の新しい商品を開発する方が失敗がないように思う。常温保存可能なので大量陳列も可能。