クリスマスケーキをしっかり押さえ、他の洋生菓子、他の和生菓子、冬至関係で支える|「これは押さえたい」菓子・スイーツ編・2023年12月

2023.10.26

トルティーノ代表 中村 徹

昨年2022年の12月はオホーツク海低気圧が発達し、北日本や東日本、日本海側中心に寒い月であった。特に23日には冬型が強まり強い寒気が流入。朝は石川県、夜は山形県に顕著な大雪に関する情報が発表された。低気圧の影響で西日本は太平洋側も雪。高知は積雪14cmと過去最高の積雪となった。この大雪はクリスマス商戦にも影響を与えた。

曜日回りは土曜日5回、日曜日4回と通常の曜日回りであった。クリスマスイヴは土曜日、30日が金曜日と「仕掛けやすい」曜日回りであった。御用納めが水曜日だったため年末年始の休みは木曜日から火曜日と少し短い印象であった。今年は土曜5回、日曜5回と週末の多い曜日回りであるが、クリスマスイヴが日曜日、大晦日が日曜日ということで売上げには影響ないレベルの曜日回りである。

12月は冬本番の月ということで気温も下がり、寒さも段々厳しくなり防寒が必要な月である。22年東京では月を通じて周期的に天候が変わり、気温も暖かい日は15℃前後まで上がるが、寒い日は10℃に満たない日も多い。最低気温は5℃以下で寒い日は0℃まで下がる。

12月は「師走」ともいわれ何となくせわしない月である。今年は10月時点ではインフルエンザが早くも流行しており、本格的な冬になると大流行する可能性もある。新型コロナウイルスも落ち着いているようではあるが、回りを見ていると感染する人がしばしば見られ、完全な終息には至っていないようである。

菓子関係の催事カレンダーを見てみると、毎月の催事日である6日(水)ロールケーキの日、15日(金)菓子の日、19日(火)シュークリームの日、22日(金)ショートケーキの日など菓子関係の日が存在し、さらに年間最大のピークを迎えるクリスマス(イヴ)が日曜日、年末商戦が金曜日からとなり、曜日回りとしては攻めやすい。

今年の冬は夏のエルニーニョ現象などの影響が残り、暖冬傾向の模様である。3カ月予報でも12月は気温が高めに推移する予想である。降水量は今のところ平年並みとの予想である。

総務省家計調査の「<品目分類>1世帯当たり年間の品目別支出金額,購入数量及び平均価格」を見てみると、品目別令和4年年間の月別支出金額が掲載されている。菓子類の12月を見てみると、年間平均金額に対し冬型の商品へ完全に移っていっている。

例えばまんじゅうが114.1%、他の和生菓子が126.0%、ケーキが220.9%、プリンが104.3%、他の洋生菓子が133.2%と高い。これらの商品群のトレンドを見るために「令和4年年間消費金額/平成12年年間消費金額」を計算してみると、まんじゅうが42.3%、他の和生菓子が98.9%、ケーキが98.2%、プリンが111.3%、他の洋生菓子が209.3%となっている。これらを考えてみると当たり前ではあるがケーキをしっかり押さえ、トレンド的に少し落ちる分を他の洋生菓子でいかにカバーしなければならないかが分かる。一方で年末の他の和生菓子や冬至関連もしっかり押さえておくことが必要となる。

クリスマスケーキ

先にも述べたが今年のクリスマスの曜日回りは23日(土)、24日(日)、25日(月)と完全に23日、24日に集中するであろう。小学校の冬休み期間を全国県庁所在地で見てみると、実質23日から始まる市が多いが東京新宿区のように26日から始まるところも少しあるようだ。いずれにしても25日まで引っ張ることはあまり多くないので、ピンポイントで23日、24日に仕掛けるべきであろう。

今年の予約ケーキを見てみると、一般的なイチゴのデコで4号2000~3000円台、5号3000~4000円台、6号3500~5000円程度と、山崎製パンなどのナショナルブランドは抑え気味であるが、オリジナルはやや高価格になっているようである。

またパテシエ監修デコは4号サイズでも4000円台が多く、例年どおり高価格帯である。毎年一定数の予約があるキャラデコも押さえておく必要がある。今年は男の子が「仮面ライダーガッチャード」か「王様戦隊キングオージャー」で女の子が「ひろがるスカイ!プリキュア」になるようだ。

この他、きかんしゃトーマスやアンパンマンものも動向をよく見ておく必要がある。さらに今年も低糖質デコや卵、乳、小麦を使わないアレルギーフリーのデコも出ている。年々こういったデコが伸びていくと思われるので、取り組みは継続的に行いたい。最後にペット用ケーキもまだまだ市場は小さく、価格も割高であるが、押さえておきたい。特に大型犬の多いエリアでは需要があるところも存在するだろう。

デコレーションケーキイメージ

クリスマスはもう一点アソート物への移行がある。これは予約ものもそうであるがコンビニデザート系の商品でも簡単なアソート物が主流を占めている。不二家や六本木のアマンド、山崎製パンなどからも発売されているが、オリジナルや期間限定店売り商品でも発売される。

山崎製パンのアソートケーキで4000円弱、不二家のアソートケーキも同レベルとやや割高感はあるが、少子化、小家族の時代にはアソートタイプの方が受け入れやすいかもしれない。また新型コロナウイルス禍から明けて友人や仲間とのホームパーティも増えるので、毎週週末には予約ケーキ以外で対応していく必要がある。これに対応して予約以外の当日売りでは各社から個食も含めオリジナルが多く出てくると思われる。こういったお1人さまや小家族、小さなパーティなどの需要をうまく取り入れる必要がある。

12月の売場展開のテーマは初冬の時季である。旬の果物としては10月上旬から市場に出てくるイチゴ、ミカンなどのかんきつ類、洋ナシなどがある。まだイチゴの出荷が始まったばかりなので価格予想は難しいが、今年のイチゴも値下がりする要素はあまりない。クリスマスのデコレーションケーキも高止まりの傾向があるので、高くてもイチゴとスイーツとの関連販売は行いたい。

また、新型コロナウイルス禍で増えた家庭での手作り需要にも応えた売場づくりが必要である。スポンジ台やクレープ皮、生クリーム類、クリームチーズ、フルーツ缶といったケーキ関連商品のコーナー化が必要であろう。

アソートタイプイメージ

和菓子

数字を見てみると他の和生菓子の落ち込みが小さいことが分かる。先に述べた通り令和4年/平成12年で98.9%である。まんじゅうなど他の和菓子類が落ち込んでいる中で、意外と和菓子は食べられているといえる。年末(年始)はこの最大売り込みチャンスとなる。また22日の冬至もユズやカボチャを使った和菓子のピークにもなる。

正月に食べる和菓子としては、おせちに菓子(上生菓子の重)、花びら餅(ぎゅうひに白みそ餡)、干支の干し菓子などさまざまあり、地域によってもしきたりなどが異なるが、やはり正月ぐらいは重でも単品でも良いので、上生菓子を訴求したい。上生菓子とは一言でいえば「日本の長い歴史の中で培われてきた多彩な製菓技法を用いて、四季の移ろい、花鳥風月を表現した菓子」といえる。

従って「これが上生菓子」というものはなく、正月というめでたい時季や、土地柄などを踏まえて作られたお菓子となる。年末の30日、31日くらいはこの上生菓子を大々的に訴求したいものである。

上生菓子イメージ

トレンド商品

進化系チーズケーキ

23年も多くのトレンド商品を掲載してきたが、その中で「進化系」というものを挙げた。12月のトレンド商品としては進化系の中でもベーシックな進化系チーズケーキについて触れておきたい。最近チーズの種類を多岐にわたって使用したチーズケーキが出てきている。

まずゴルゴンゾーラなどの青カビ系を使用したチーズケーキが挙げられる。ゴルゴンゾーラと一口に言っても「ピカンテ(辛いの意)」と「ドルチェ(甘いの意)」があり、チーズケーキに使用されるのはドルチェが多い。

ゴルゴンゾーラチーズケーキ

青カビの独特の風味が大人の味のチーズケーキになる。この他、ウオッシュ系チーズを使用したチーズケーキやシェーブル(ヤギ)チーズを使用した非常に癖のある味のチーズケーキなど多種にわたる。