全般的に消費は低めだが、チョコレートの仕掛けと本格シーズンのイチゴを押さえる|「これは押さえたい」菓子・スイーツ編・2024年1月

2023.11.30

2023.12.01

トルティーノ代表 中村 徹

昨年2023年の1月23日の週は全国的に寒気が入り、日本海側や西日本にかけて大雪の週となった。特に25日は新潟や三重県などで高速道路などが通行不能になり、大幅な通行止めが発生した。新名神高速では四日市ジャンクション、亀山西ジャンクション間の上下線などが未明に通行止めになり、夜が明けても全く流れない状況が続いた。この影響で各地の物流にも影響が出た。

曜日回りは土曜日4回、日曜日5回と通常の曜日回りであったが、元日が日曜日のため12月29日~1月3日と短めの正月休みであった。今年は土曜4回、日曜4回と週末の少ない曜日回りであるが、元日の曜日がずれるだけなので昨年と比べて売上げには影響ないレベルだと考えられる。

1月は冬本番ということで気温も下がり、寒さも厳しくなり防寒が必要な月である。23年は東京では上旬は冬型の気圧配置で晴れが続き気温も低めであった。中旬は高気圧に覆われ最高気温が14℃を超えるなど暖かい日が続いた。しかし、また下旬になると寒気が入り、晴れても最高気温が5℃に満たない日もあるなど気温の高低が大きい月であった。

菓子関係の催事カレンダーを見てみると、毎月の催事日である6日(土)ロールケーキの日、15日(月)菓子の日といちごの日、19日(金)シュークリームの日、22日(月)ショートケーキの日など菓子関係の日が存在し、この他、正月、成人の日1月8日(月、祝)などお祝い関連の日が存在する。また菓子に直接関連はないが大学入学共通テストが1月13日(土)と14日(日)に実施され、関係する家庭では大きなイベントとなる。

今年の冬はまだエルニーニョ現象などの影響が残り、暖冬傾向の模様である。3カ月予報でも1月は気温が高めに推移する予想。降水量はいまのところ平年並みとの予想である。関東地方での暖冬はしばしば南岸低気圧の影響で平野部でも大雪になることがある。今年もこの傾向の年になるであろう。

総務省家計調査の「<品目分類>1世帯当たり年間の品目別支出金額,購入数量及び平均価格」を見てみると、品目別令和4年年間の月別支出金額が掲載されている。

菓子類の1月を見てみると、年間平均金額に対し高いものがほとんどない。その中でもチョコレートが141.5%、チョコレート菓子が107.7%と高い。これらの商品群のトレンドを見るために「令和4年年間消費金額/平成12年年間消費金額」を計算してみるとチョコレートが174.7%、チョコレート菓子が263.9%(平成17年比)となっている。これらを考えてみると2月のバレンタインデーに向けて早めの仕掛けをしつつ、チョコ系の菓子で売上げを取ることが必要になる。年末からは少し落ちるが正月商戦もしっかりあるので、この時季にハレのケーキ、洋生菓子、和菓子をいかに売り込まなければならないかが分かる。一方で成人の日などもしっかり押さえておくことが必要となる。

正月は1年の初めでもあり年間最大のイベントの1つでもある。大みそ日から年越しそばなどを食べて年越しをし、正月はおせち料理や雑煮を食べ、初詣に出かける。こういった日本人の伝統的な生活に合わせた菓子の提案が必要になる。

はなびら餅

和菓子では年末から仕掛ける上、生菓子各種も重要であるが、正月独特の和菓子として「はなびら餅」がある。円形に薄くのばした白いぎゅうひに、ひし形の紅色をしたぎゅうひと白みそ餡、蜜煮にしたゴボウを乗せて2つ折りにした形をしている。茶道の世界では初釜の行事には欠かすことができない茶菓子とされている。一般のスーパーマーケットなどではあまり販売しているのを見かけないが、和菓子専門店での正月には欠かせない商品である。

また、正月にはケーキや他の洋生菓子の需要も高い。かつては総合スーパー(GMS)などでは正月の対面ケーキ販売が定番となっていたが、価格的な問題や商品の中身の問題で最近ではあまり見かけなくなっている。ただ需要自体はあるので、商品と人員態勢、売場さえ整えばまだ実施する価値はあると思う。

はなびら餅イメージ

イチゴ関連の菓子

1月15日は菓子の日といちごの日となる。この前の週末は大学入学共通テストとなりこの週末からケーキや他の洋生菓子、イチゴ関連商品を訴求すると良いであろう。今年も1月からは本格的なイチゴシーズンになるため、ナショナルブランド(NB)商品でも多くのイチゴ商品が発売されることが予想される。

定番のイチゴショートであったり、シャルロット、プリンアラモード、パフェ、あんみつだったりと多くののカップデザートが発売される。和菓子でもイチゴ大福は外せない。こういったイチゴ関連菓子を集合させ、菓子の日といちごの日を盛り上げたい。大学入学共通テストの週末なので、「受験生がんばれ!」と応援を前面に打ち出すのも良いだろう。

イチゴ菓子イメージ

チョコレート

菓子の日以降はチョコレート関連に意識を持っていきたい。特にチョコレートそのものはバレンタインデーの試し買い需要でもう動き出す。チョコレート菓子もトレンドとして大きく伸びている。

本番はもちろん2月であるが、こういった商品の売場拡大は早めに進めておく必要がある。他の洋生菓子関連でもチョコプリンアラモードや生チョコ、ブラウニーなどを拡大し、菓子関連でクリスマスの次ぐ規模のあるバレンタインに向けての前売りを仕掛けたい。

好調なチョコレート菓子関連であるが、足元では原料であるカカオ豆の価格高騰が続いている。理由としては世界的にチョコレート関連菓子が好調で需給バランスが崩れてきている点とエルニーニョ現象による生産地であるコートジボワールとガーナでの天候不良が挙げられる。こういったことからせっかく好調なチョコレートやチョコレート関連菓子も再値上げされる恐れも大きいので情報をよく取っておく必要がある。

チョコレートイメージ

売場展開

1月の売場展開のテーマは「本格的な冬の時季」である。メニューでいえば「おでん」、「鍋」本番の時季である。旬の果物としてはもちろんイチゴ、リンゴ、数は少ないが国産キウイフルーツなどがある。15日のいちごの日に向けて関連販売として家庭での手作り需要にも応えた売場づくりが必要である。イチゴと共にスポンジ台やクレープ皮、生クリーム類、クリームチーズといったケーキ関連商品の集合販売が必要であろう。

トレンド的商品

イチゴの「とちあいか」

1月は本格的にイチゴが市場に出回るシーズンとなるが、長年栃木県でシェアナンバー1だった「とちおとめ」に変わり「とちあいか」が大きくシェアを伸ばしそうである。県も27年産(26年秋~27年春)までに、県全体の生産量に占める新品種「とちあいか」の割合を現在の1割(22年産)から8割へ大幅に増やす戦略を打ち出している。

「とちあいか」の特徴としては糖度が「とちおとめ」と変わらないが酸度が低く甘さを感じやすい点や病害虫に強い点、収穫期が「とちおとめ」より1カ月以上長い点などが挙げられ、生産者にとっても消費者にとっても良いところが多い品種になる。長年「とちおとめ」が主力のイチゴの世界であったが世代交代が進もうとしている。