8日までの「ハレ」とその後の「ケ」を捉えた商品展開、需要伸びた揚げ物に一工夫を|「これは押さえたい」惣菜編・2024年1月

2023.12.21

2023.12.22

城取フードサービス研究所代表 城取博幸

1月の行事、記念日は、元旦(1日、月)、書き初め、初夢(2日、火)、仕事始め(4日、木)、チーズケーキの日(5日、金)、七草(7日、日)、成人の日(8日、月)、鏡開き(11日、木)、麺の日(11日、木)、パンの日(12日、金)、いちごの日(15日、月)、シュークリームの日(19日、金)、ショートケーキの日(22日、月)、カレーの日(22日、月)、肉の日(29日、月)。

行事、記念日が月初に集中するためハレの日の寿司、オードブルは売り逃しがないようにする。「七草がゆ」はチルドの調理済み商品を訴求。「七草おにぎり」もおもしろい。11日は「麺の日」。1月は中華麺、うどん、そばが売れるため、チルド調理麺は日替わりで年明けうどん、そば、中華麺を訴求する。

年末年始の冷蔵庫在庫がなくなる他、節約ムードの高まりも想定されるため中旬からは「398円弁当」「398円助六寿司」「おにぎり」「コロッケ」「メンチカツ」など「ケの日」メニューに注力して販売する。

23年1月の家計調査は、食料品計106.82%の伸び。外食、給食を除く食費は101.20%と微増。外食、給食は145.75%と大幅な伸びであった。

スーパーマーケットでも惣菜部門は売上げが伸びているが、人手不足から新しいカテゴリーがなかなか育たないため、今年は「中華、エスニック料理」「スイーツ」などチルドのアウトパック商品の開発が必要になる。

1月に需要が伸び、前年を上回ったゴールデンカテゴリーはコロッケ(107.41%)、カツレツ(102.25%)、シューマイ(106.02%)、1月に需要の変化はあまりないが、前年を上回ったカテゴリーはおにぎり(113.21%)。

1月に需要が落ちたが、前年を上回ったカテゴリーは調理食品(105.34%)、弁当(105.31%)、調理パン(106.42%)、他の主食的調理品(109.07%)、サラダ(103.60%)、天ぷら、フライ(107.92%)、焼き鳥(120.69%)、1月に前年を下回ったカテゴリーは寿司(96.60%)、うなぎかば焼き(85.58%)、ギョーザ(96.00%)、ハンバーグ(99.19%)、惣菜材料セット(87.30%)。

需要が伸び前年をクリアした「ゴールデンカテゴリー」 はコロッケ(107.41%)、カツレツ(102.25%)、シューマイ(106.02%)。依然として揚げ物が好調。年末、年始はハレの日メニュー、1月中旬からはケの日メニューを訴求する。コロッケとメンチカツ、シューマイなどの中華点心を訴求したい。

前年を上回ったカテゴリーは調理食品(105.34%)、弁当(105.31%)、調理パン(106.42%)、他の主食的調理品(109.07%)、サラダ(103.60%)、天ぷら、フライ(107.92%)、焼き鳥(120.69%)。米飯類はおおむね好調であった。特に焼き鳥は2桁伸びた。人が集まる年始が販売のチャンス。売上げが低い月であるためインストア製造の焼き鳥に人員を割り振りたい。

苦戦したカテゴリーは寿司(96.60%)、うなぎかば焼き(85.58%)、ギョーザ(96.00%)、ハンバーグ(99.19%)、惣菜材料セット(87.30%)。

寿司は前年を割ってしまった。年始の「プレミアム寿司」、それ以降は低価格の「にぎり寿司」や「助六寿司」「ちらし寿司」を販売するなど「ケの日の寿司」を訴求する。2月の恵方巻きに備えて巻き寿司の販売強化も図りたい。

12月30日(土)から1月8日(成人の日)まで休日を取れば10連休となる。年末年始のハレの日が続くためエビ、カニなど上質メニューの訴求。わが家のオリジナルオードブルも提案したい。

9日からは普段の食生活に戻る。年末年始の出費から月末までケの日が続く。弁当作りも復活するため弁当食材も販売する。限られた収入の中であるため、ケの日に対応した商品の提案も必要。

弁当

弁当は12月に比べて需要は落ちたものの、前年比105.31%の伸びであった。三が日までは寿司を訴求し、明けからは弁当、丼の販売に力を入れる。

売場づくり

「ハレの日弁当」と「ケの日の弁当」。ハレの日の弁当は牛焼肉や豚焼肉を使った780円弁当。ケの日の弁当は398円の上載せ弁当、丼を訴求する。

焼きサバ弁当。弁当製造の生産性向上対策。幅1m奥行き0.5mの作業台には幕の内タイプのトレーは12パック並ぶが、写真のハーフサイズのトレーは24パック並べることができる。おかずの種類も少ないため時間当たりの生産性は後者の方が高い。インストア398円弁当はこのスタイルの弁当を製造するのが正解

おにぎり

おにぎりは1月に需要が落ちるものの、昨年は113.21%の2桁の伸びであった。13カ月連続で前値をクリアしている優良カテゴリー。おにぎりもパンと同じように「リッチ(豪華)なおにぎり」と「リーン(素朴)なおにぎり」がある。

売場づくり

1月中旬から節約ムードが高まると予想されるため、焼きおにぎり、塩むすび、炊き込みご飯おにぎりなど具なしの「リーンなおにぎり」の販売を強化する。

リーンなおにぎり。みそ焼きおにぎり、シソおにぎり、炊き込みごはんおにぎり、ワカメおにぎり、あおさおにぎりなど中の具材なしの安価なおにぎりの訴求。地方にはノスタルジーを感じるおにぎりがあるため、伝統継承を含めて訴求する

他の主食的食品(スナック)

他の主食的食品(スナック)も13カ月連続で前年をクリアしている優良カテゴリー。冬はチーズ、バターなどの乳製品や小麦粉を使ったメニューを提案する。

売場づくり

炭水化物、乳製品を使ったグラタン、ドリア、ピザ、スパゲティなどで「冬の暖かメニュー」コーナーを新設する。

マカロニグラタン&ナポリタン。チルド商品であるが電子レンジで温めるだけの洋食のホットメニューセット。398円と値ごろだ。最近は盛り合わせ商品が増えているため、単品メニュー加えて品揃えしたい。調理パン、サンドイッチ、ハンバーガーとスープの組み合わせもおもしろい

コロッケ

コロッケは12月よりも需要が伸び、前年もクリアしているゴールデンカテゴリーだ。昨年1月は107.41%に伸びた。コロッケはケの日の代表的なメニューだけに、平日には積極的に販売したい。

売場づくり

ばら販売、袋入り、トレー入りの販売。低価格の商品は3~5個入りを販売したい。週末には低価格品だけでなく、冬のコロッケであるカニクリームコロッケ、エビクリームコロッケも販売したい。

オムライス&カニクリームコロッケ。洋食屋さんの人気メニュー。カニクリームコロッケだけではメインディシュにならないが、オムライスやパスタと組みわせることで洋食プレートになるため商品化したい

カツレツ

カツレツは需要が増え、前年もクリアしているゴールデンカテゴリー。豚カツ、ヒレカツ、チキンカツ、串カツ、メンチカツは1月が販売のチャンスだ。

売場づくり

今月は特にメンチカツに注力して販売したい。いつもの牛豚合いびきメンチに加えて地域特産の「山メンチカツ」「海メンチカツ」も販売したい。

山メンチカツ。写真は馬肉のミンチ肉を使った「馬肉メンチカツ」。馬肉の産地で食べられているメンチカツ。馬肉メンチカツで限らず、ジビエの「鹿メンチカツ」「猪メンチカツ」「熊メンチカツ」の販売もおもしろい
海メンチカツ。イカメンチは、イカゲソなどをミンチにキャベツ、玉ネギ、ニンジンに卵、小麦粉、片栗粉をつないで揚げた青森県の名物料理。写真はイカメンチにパン粉をつけて揚げたもの

トレンド商品

チルドラーメン+おにぎり

1月は中華麺、うどん、そばがよく食べられる月。チルドのホット調理麺は年明けうどん、そば、年明けラーメンの最大の販売チャンス。さらに麺類とおにぎりの組み合わせをPOP、写真などで提案したい。どちらも需要が増えているため、人気者同士を組み合わせる。おにぎりは具なしのシンプルなものでよい。

巻き寿司

2月の節分の恵方巻きを意識して、1月後半から今年扱う恵方巻きの顔見せ販売を行い、味を確かめてもらう。食べやすいようカットしたものを販売する。カット済み3分の2サイズ6カン(9カンカット)、ハーフ4カン(8カンカット)を品揃えする。9カンカットの作り方は、まず1カン分を先に切り、残りを8カンをいつものようにカットすれば9カンにカットできる。

揚げ出し豆腐

豆腐や油揚げ、厚揚げ、がんもの売上げが好調である事から、惣菜売場も大豆加工品料理の販売にも力を入れたい。定番メニューであるが、だしの効いた揚げ出し豆腐を販売する。さらに、豆腐料理コーナーを新設して味付け厚揚げ、味付けがんも、肉豆腐、麻婆豆腐、豆腐ハンバーグ、豆腐つくねなどを品揃えしたい。

ホタテフライ

ホタテの在庫が多くなっているため、今年はホタテフライに力を入れて販売する。旬の味覚としてカキフライと一緒に販売するのもよい。「北海道、東北フェア」を企画してホタテのかき揚げ、焼きホタテやホタテご飯、ホタテ珍味といっしょに販売するのも良い。

伝統プラントベース煮物

写真は日本の伝統食材であるこんにゃく、乾燥シイタケに、豆腐加工品のがんもどきと高野豆腐を加えて煮たもの。シイタケと高野豆腐は乾物を戻したもので、うま味や栄養が詰まっている。プラントベース食品に話題が集まっているが、日本は古くからプラントベースの伝統料理があることを訴求する。