節分の鬼まんじゅう、バレンタインのブラック・モノクロ菓子に注目|「これは押さえたい」菓子・スイーツ編・2024年2月

2023.12.25

2023.12.26

トルティーノ代表 中村 徹

2023年の2月10日政府は新型コロナ対策のマスク着用について、「3月13日から屋内外を問わず個人の判断に委ねる方針を決めた」と発表した。ということはそれまで特に屋内や電車の中ではマスクの着用を推奨されており、マスク着用が当たり前の生活が続いていた。

曜日回りは土曜日4回、日曜日4回と通常の曜日周りであったが、建国記念日が土曜日のため2月11日~2月12日は通常の連休の週末になり、23日の天皇誕生日は木曜日と連休には絡まなかった。24年は土曜4回、日曜4回と昨年同様の曜日周りであるが、建国記念日が日曜日にあたり、振替休日を含む10日~12日が3連休、天皇誕生日が金曜日にあたり、23日~25日も3連休と連休の多い月となる。こういった影響で月間では3%程度は増収要因となる。

2月も前半から中盤は冬本番で気温も下がり寒さも厳しいが、後半になるとやや春めいた日もあり春を感じてくる月となる。23年東京では月間を通してそれほど強い寒気は入らず全体を通して暖かめの2月であった。それでも上旬から中旬は最低気温がマイナスになる日もあり、真冬らしい寒い朝もあった。後半は最高気温が10℃を超える日が多くなり、暖かい日は20℃近くになる日もあった。

菓子関係の催事カレンダーを見てみると、毎月の催事日である6日(火)ロールケーキの日、15日(木)菓子の日、19日(月)シュークリームの日、22日(木)ショートケーキの日など菓子関係の日が存在し、この他、節分2月3日(土)、建国記念日2月11日(日、祝)、バレンタインデー2月14日(水)、天皇誕生日2月23日(金、祝)などお祝いやイベント関連の日が存在する。

エルニーニョ現象は少なくとも24年4月ごろまでは続くと予想されており、暖冬傾向は2月も続くであろう。3カ月予報でも2月は気温が平年に比べ高めに推移する予想である。降水量は今のところ平年並みかやや多いとの予想である。

総務省家計調査の「<品目分類>1世帯当たり年間の品目別支出金額,購入数量及び平均価格」を見てみると、品目別令和4年年間の月別支出金額が掲載されている。

菓子類の2月を見てみると、年間平均金額に対し高いものがあまり無い。どうしても日数が短い影響も出てくる。その中でもキャンディーが103.8%、チョコレートが220.7%、チョコレート菓子が111.2%と高い。これらの商品群のトレンドを見るために「令和4年年間消費金額/平成12年年間消費金額」を計算してみるとキャンディーが105.4%、チョコレートが174.7%、チョコレート菓子が263.9%(平成17年比)となっている。これらを考えてみるとバレンタインデーに向けて早めの仕掛けをしつつチョコ系の菓子で売上げを取ることが必要になる。また3日の節分の和菓子や3月のひな祭りに向けての和菓子、洋菓子の展開が重要になってくる。

鬼まんじゅう

2月3日(土)は節分になる。節分とはもともと季節の切れ目のことをいい、「立春、立夏、立秋、立冬」の前日のことをいう。従って年に4回節分はあるはずであるが、室町時代辺りから立春の前日のみを節分というようになったようである。

昔から季節の変わり目には天災や病、飢饉などが起こり、これらを邪気としてはらようになったとされる。このような行事が鬼をはらう節分の行事になっていった。平成に入ってからは節分には恵方巻として恵方を向きながら巻き寿司を食べる文化が根付いてきた。歴史的には浅いが節分の一大イベントに成長している。

菓子にも鬼まんじゅうという節分にぴったりの和菓子がある。鬼まんじゅうのルーツは名古屋市を中心とした愛知県北部という説が多い。元々江戸時代から存在はしていたが、第二次世界大戦中や終戦後の食糧不足のときにいかにサツマ芋をおいしく食べるかということで現在のような形になり、地域も広まっていったようである。基本的にはサツマ芋と小麦粉と砂糖をベースとした菓子なので家庭でも作られることが多かった。

鬼まんじゅうには「鬼除けまんじゅうの日」というのが制定され、基本的には節分の日が記念日に当たる。節分の日に鬼の金棒のように表面がゴツゴツしている鬼まんじゅうを食べて鬼が現れる夜までに厄除けをしてもらおうというのがこの記念日となっている。ルーツは愛知中心であるが、その製法の簡単さから関東や他の地域でも普段から販売されているので節分に大々的に仕掛けるのもおもしろいのではないだろうか。

鬼まんじゅう

チョコレートケーキ

2月14日(水)はバレンタインデーとなる。チョコレートやチョコレート菓子は1月から売場展開し、2月は最拡大時季になっているであろう。一方で15日の菓子の日までチョコレートを使った洋菓子も訴求したい。チョコレートケーキとひと口に言っても種類はかなり多く、一例を挙げると生菓子ではオペラ、エクレア、フォンダン・オ・ショコラ、ザッハ・トルテなどがあり、焼き菓子、半生菓子ではブラウニー、ガトー・オ・ショコラ、マカロンなどがある。

こういったチョコレートを種類は絞って構わないが、集合展開したい。特に最近ではチョコレート自体もギフト要素ももちろんあるが、自分へのごほうびという需要も増えており、おいしいチョコケーキを訴求することでバレンタインデーを彩ることができる。

チョコケーキイメージ

ひな祭り

2月4日の立春を過ぎるとひな人形を飾り出す。ひな祭りの由来などは3月に譲るとして、ひな人形を飾り出すと必然的にお供えの菓子が必要になる。従って、立春前後からひなあられや、ひし餅、てまり飴などを展開していく必要がある。

ひなあられは赤(ピンク)、白、緑などに色付けされたあられで、それぞれの色に魔除けなどの意味合いがある。関東ではポン菓子に砂糖をかけたもの、関西では小粒のおかきに塩で味付けしたものが主になっている。菱餅は、赤(ピンク)、白、緑の3色が層になった菱形の餅で、これもそれぞれの色に厄ばらいなどの意味がある。てまりあめはもともと京都の「京あめ」の一種で、ひな祭り用の菓子として広く販売されている。この他、地域によってはコンペイトウやらくがんなど華やかな色の菓子が飾られる。ひな祭りの準備としてこういった菓子を集合展開したい。

ひな祭り菓子イメージ

売場づくり

2月の売場展開のテーマは本格的な冬の時季から春の訪れである。旬の果物としてはハウス物のイチゴ、ミカンを代表としたかんきつ類などがある。特にイチゴは2月には価格も量も安定的に供給されるので、各メーカーもイチゴ商品を数多く発売してくる。

こういったイチゴ商品を集合させた売場づくりが必要である。イチゴそのものや、イチゴ大福などの和菓子、イチゴショートケーキタイプの洋生菓子、ストロベリーヨーグルトなどのチルドデザート類を集合展開して「イチゴ祭り」などを実施したい。

トレンド商品

ブラック・モノクロ菓子

一部ハロウィーンなどでも発売されたりしたが、24年のバレンタインにも出てきそうなのはブラックスイーツやモノクロスイーツと呼ばれるものである。ハロウィーンには大手カフェチェーン「スターバックス」でブラックキャラメルソースとホイップクリームを使った飲料が発売された他、不二家でも黒いケーキが期間限定で販売された。この他ブラックフライデー絡みなどでも黒い菓子が発売されるなど、黒やモノクロの菓子が流行ってきている。色とりどりのカラフル系とは真逆のモノクロ系に注意が必要である。