寿司売上げを年間ナンバーワンにした「恵方巻」対策と伸び続けるスナック、カツレツ|「これは押さえたい」惣菜編・2024年2月
2024.01.18
城取フードサービス研究所代表 城取博幸
2月の行事、記念日は、2日(金)「夫婦の日」、3日(土)「節分」、3日(土)「乳酸菌の日」、6日(火)「抹茶の日」、11日(日)「建国記念日」、11日(日)「麺の日」、12日(月)「パンの日」、14日(水)「バレンタインデー」、15日(木)「菓子の日」、19日(月)「シュークリームの日」、22日(木)「ショートケーキの日」、23日(金)「天皇誕生日」、28日(水)「ビスケットの日」、29日(木)「肉の日」。
2月の大きなイベントは「節分」と「バレンタインデー」。さらに「建国記念日(日)」と「天皇誕生日(金)」は3連休。2月は3連休が2回ある。さらに今年はうるう年でもあるため前年比110%に挑戦したい。
節分の「恵方巻」は販売計画、製造計画を綿密に立て「深追い」をしない。連休中、気温が下がった場合、外出を控え自宅で過ごす時間が増えるため、家庭で料理をする機会も増える。惣菜や加工食品を使って家庭で一手間かけた「アレンジメニュー」や「オリジナルメニュー」をサンプルを作り提案したい。お客は惣菜売場の商品を料理の参考にしていることもある。
23年2月の家計調査は、食料品計は107.1%の伸び、外食、給食を除く食費は102.0%と微増。外食、給食は146.8%と大幅な伸びであった。
惣菜部門は売上げが伸びているが、人手不足から新しいカテゴリーがなかなか育たないため、今年は鍋、スープ、調理麺、中華、エスニック料理、スイーツなどチルドのアウトパック商品の開発が必要になる。
2月に需要が伸び、前年を上回ったゴールデンカテゴリーは寿司(103.58%)、サラダ(103.91%)、2月に需要の変化はあまりないが、前年を上回ったカテゴリーは調理食品(103.38%)、おにぎり(116.71%)、コロッケ(108.75%)、カツレツ(105.42%)、天ぷら、フライ(106.82%)、シューマイ(113.51%)。
2月に需要が落ちたが、前年を上回ったカテゴリーは弁当(100.23%)、調理パン(106.72%)、他の主食的調理品(104.95%)、やきとり(104.27%)、2月に前年を下回ったカテゴリーはうなぎかば焼き(67.29%)、ギョーザ(90.75%)、ハンバーグ(93.08%)、惣菜材料セット(94.01%)。
需要が伸び前年をクリアした「ゴールデンカテゴリー」は寿司(103.58%)、サラダ(103.91%)。寿司は節分の恵方巻の構成比が高い。予約販売を強化してなるべく廃棄ロスを少なくしたい。
「販売終了予定時間」「限定販売」などのPOPを前もって売場に貼りだすのも一案。最近の問題として「製造能力を超えた製造は事故が起こりやすい」ことが挙げられる。「普段売られている巻き寿司がない!」といった苦情もあるため、定番商品も必ず品揃えしておきたい。
サラダも需要が伸び前年をクリアしたゴールデンカテゴリーだ。春のサラダ需要に向けて積極的に販売する。サラダのドレッシングは温かい「バーニャカウダ」など2種類のドレッシングを提案したい。
前年を上回ったのは調理食品(103.38%)、おにぎり(116.71%)、コロッケ(108.75%)、カツレツ(105.42%)、天ぷら、フライ(106.82%)、シューマイ(113.51%)、弁当(100.23%)、調理パン(106.72%)、他の主食的調理品(104.95%)、焼き鳥(104.27%)。
おにぎり、調理パン、スナック類は相変わらず好調。「ホット麺+おにぎり」「ホットスープ+調理パン」を提案したい。スナックはピザ、グラタン、パスタ、シチューパイ、中華まんを訴求。受験生の「夜食」としてホットスナックを提案。「ケの日」のコロッケ、フライも忘れずに訴求する。
苦戦したのは、うなぎかば焼き(67.29%)、ギョーザ(90.75%)、ハンバーグ(93.08%)、惣菜材料セット(94.01%)。ミンチ肉を使ったギョーザ、ハンバーグが苦戦した。ギョーザは焼きギョーザだけでなく、調理方法を変えて水ギョーザ、スープギョーザ、揚げギョーザを訴求する。
ハンバーグ、ミートボールはデミグラスソースやトマトソースで煮込んだ「煮込みハンバーグ」「煮込みミートボール」を訴求する。冬の調理法は「焼き」よりも「煮込み」料理が好まれる。
寿司
2月の最大のイベントは節分の「恵方巻」だ。昨年2月の消費支出は12月を超えて年間ナンバーワンであった。前年比も103.58%であったゴールデンカテゴリー。節分明けは寿司の売上げが落ち込むためその対策も考えておきたい。
売場づくり
節分にはおいしい恵方巻を販売したい。評判の良い巻き寿司には予約が殺到する。当日売りよりも予約を優先して販売したい。作り過ぎには注意。
外食寿司
昨年2月の外食の寿司は128%伸びたものの消費支出は年間最低であった。スーパーマーケットの寿司は恵方巻の比率が高いため、12月支出を超えて年間最大であるという対照的な結果であった。節分需要が過ぎた時季にはいなり寿司、ちらし寿司、押し寿司など「伝統寿司」に力を入れて販売する。
他の主食的調理品(スナック)
他の主食的調理食品は次の表にある13カ連続で前年をクリア。2月は3連休が2回あるため家庭消費が高まるため売り逃しがないようにする。
売場づくり
洋風スナックのピザ、パスタ、グラタン、ドリア。和風スナックのお好み焼き、たこ焼き、焼きそば、中華まんなどのホットスナックコーナーを新設。なるべくでき立てを提供したい。
カツレツ
カツレツも次の表にある13カ月は連続で前年をクリア。昨年比は105.42%の伸びであった。寒い時季には煮カツ、卵とじ、あんかけにしてでき立てを提供したい。
売場づくり
豚カツ、ヒレカツ、チキンカツは「丼」でもよく売れるが、「卵とじ」や「おろし煮」でも販売したい。
シューマイ
シューマイは年間最低の消費支出であるが、昨年は113.51%と2桁の伸びであった。寒い時季であるため「温かさ」や「湯気」の演出ができればさらに需要は伸びるカテゴリーだ。
売場づくり
シューマイ、小籠包、豚まん(肉まん)のばら販売を企画する。大きなセイロとホットプレートを準備し、売場に陳列し、好きな数だけトレーに取ってレジで精算する。
サラダ
サラダは2月の営業日数が少ないにもかかわらず、昨年1月の消費支出を上回った。前年も103.60%クリアしたゴールデンカテゴリー。3月の需要高に向けて積極的に販売したい。
売場づくり
冬のサラダは蒸し野菜や焼き野菜を販売したい。温かい「バーニャカウダ」などドレッシングも提案したい。
トレンド商品
いなり、さば寿司、ちらし寿司
「温かうどん+五目いなり、ちらし寿司、サバの押寿司」を提案。節分明けの寿司の売上げアップに温かいうどんやそばと一緒に食べる寿司を提案する。寒さから「にぎり寿司」の需要が落ちるため、「伝統寿司」に力を入れて販売する。
麻婆豆腐丼
麻婆豆腐丼が売れている。ご飯にピリ辛の麻婆豆腐をかけた丼は食欲をそそる。電子レンジで温めればアツアツの丼が楽しめる。ひき肉の代わりに大豆ミートなどを使った「プラントベース麻婆豆腐丼」もおもしろい。麻婆豆腐丼の他に「中華丼」や「あんかけ焼きそば」も同時に販売したい。
鶏ムネ肉フライドチキン
鶏モモ肉のフライドチキンは多いが、ムネ肉のフライドチキンは少ない。ムネ正肉にフライドチキン粉をまぶし、卵バッターにくぐらせて2度揚げすればボリュームたっぷりの「かぶりつきフライドチキン」ができる。ムネ肉のサイズもいろいろあるのでユニットプライスで販売する。
アジフライ
魚介フライは「ハレの日のエビフライ」、あるいは「ケの日のアジフライ」「白身魚フライ」。アジフライは魚フライの中では売上げナンバーワンアイテム。アジフライは大型の物からミニサイズのものまであるが、ケの日はミニサイズを販売したい。
ワカサギ南蛮漬け
冬の旬の淡水魚はワカサギ。天ぷら、唐揚げ、南蛮漬けを品揃えする。できればインストア製造したものを販売したいが、できない場合はアウトパック商品を冷蔵ケースで販売する。