パン、飲料、和洋生菓子、スナックなど春休み需要はしっかり押さえ、23年急増したちくわにも注目|「これは押さえたい」日配編・2024年3月

2024.02.13

城取フードサービス研究所代表 城取博幸

3月の行事、記念日は、1日(金)「釜めしの日」、3日(日)「ひな祭り」「くるみパンの日」「みたらし団子の日」、6日(水)「手巻きロールケーキの日」、7日(木)「花粉症記念日」「生パスタの日」、8日(金)「国際女性(婦人デー)」「ホールケーキの日」、9日(土)「ケーキの日」、10日(日)「ミントの日」「ゼロミートの日」、12日(火)「豆腐の日」、13日(水)「水産デー」「焼きそばの日」、14日(木)「ホワイトデー」、15日(金)「オリーブの日」、17日(日)「いなりの日」、19日(火)「シュークリームの日」、20日(水)「春分の日」「さつま揚げの日」、22日(金)「ショートケーキの日」、23日(土)「乳酸菌の日」、25日(月)「プリンの日」、29日(金)「肉の日」。

3月の最大イベントは3日の「ひな祭り」。ちらし寿司材料、ひなケーキだけでなく、くるみパンやみたらしだんごも提案したい。注目は10日(日)の「ゼロミートの日」。月に1度くらいは肉も魚も食べない日があってもいい。「プラントベース食品」を集めて平ケースで展開してもおもしろい。14日「ホワイトデー」はケーキ材料、スイーツ、焼き菓子を訴求。20日「春分の日」は天ぷら、あえ物材料を訴求。

2023年3月の家計調査は、食料品計105.95%の伸び、外食、給食を除く食費は101.73%の微増。外食、給食は131.90%と大幅な伸びであった。

3月は季節の変わり目であるためウェザーマーチャンダイジングを強化。子どもの春休みもあるため、ランチ需要の売り逃しがないようにしたい。「キッズメニュー」の販売強化が必要だ。

総務省「家計調査」で23年3月に需要が増え、前年も上回ったゴールデンカテゴリーは、パン(102.78%)、食パン(101.21%)、他のパン(103.51%)、中華麺(100.00%)、ちくわ(110.96%)、かまぼこ(108.92%)、牛乳(100.73%)、卵(125.26%)、豆腐(106.12%)、揚げ、がんも(106.30%)、納豆(100.82%)、大根漬け(106.12%)、白菜漬け(109.62%)、他の漬物(104.80%)、昆布つくだ煮(104.82%)、他の和生菓子(101.73%)、他の洋生菓子(104.37%)、ケーキ(105.26%)、プリン(105.19%)、アイスクリーム(105.39%)、冷凍調理食品(101.20%)、調理パン(106.50%)、シューマイ(108.89%)、他の主食的食品(102.37%%)、コーヒー飲料(116.87%)、果実、野菜飲料(100.88%)乳酸菌飲料(123.70%)、乳飲料(117.95%)。

23年3月、需要はあまり変わらないが前年を上回ったカテゴリーは、生うどん、そば(102.15%)、揚げかまぼこ(102.08%)、梅干し(100.00%)、チーズ(102.73%)。

23年3月に需要が伸びたが前年を下回ったのは、魚介つくだ煮(80.00%)、ヨーグルト(94.41%)、マーガリン(96.55%)、ゼリー(92.86%)、ギョーザ(97.71%)。

3月に前年を下回ったカテゴリーは、バター(96.40%)、こんにゃく(93.33%)。

23年3月の日配の販売状況はおおむね好調であった。和日配は「ひな祭り」「春の彼岸」材料、洋日配はパン、飲料、和洋生菓子、スナックなど春休み需要に合わせた売場展開を行う。

23年に2桁伸びたカテゴリーは、ちくわ(110.96%)、卵(125.26%)、コーヒー飲料(116.87%)、乳酸菌飲料(123.70%)、乳飲料(117.95%)であったため、積極的に販売し、さらなる売上げアップを図る。

需要は伸びたが前年を下回ったカテゴリーは、魚介つくだ煮(80.00%)、ヨーグルト(94.41%)、マーガリン(96.55%)、ゼリー(92.86%)、ギョーザ(97.71%)。需要が伸びているにもかかわらず、前年を割ってしまったのは残念。販促を強化して前年をクリアしたい。

前年を下回ったカテゴリーは、バター(96.40%)、こんにゃく(93.33%)。バター、こんにゃくとも春に向けて需要はダウントレンドだが、パンが伸びているだけにバターの販売の強化を図りたい。こんにゃくは春の木の芽みそを使った田楽を提案したい。

3月は季節の変わり目。冬物商品は「なごり」、春物商品は「走り」だ。「なごり商品」はアイテムを絞り込み売れ筋を残す。「走り商品」は、逆にアイテムを拡大すると共に売場を拡大する。「バター」は「なごり」、「マーガリン」は「走り」だ。

中華麺

中華麺は夏に向かい需要が高まるが、昨年2月、3月の消費支出は残念ながら前年を下回ってしまった。ウェザーマーチャンダイジングを強化し今年はクリアしたい。

売場づくり

天気、気温に合わせた「温」と「冷」の販売。麺つゆを温と冷をそろえれば2温度帯の味が楽しめることも提案。こうした「ハイブリッドの食べ方」の提案もおもしろい。

豆干絲(トーカンスー)。帯状にした干した豆腐を「生うどん」のようにカットしたもの。中国では麺類、炒め物、あえ物の具として使われる。新メニュー、新食感として提案してはどうか
豆干絲(トーカンスー)入り中華麺。海外の中華レストランのメニュー。細タイプの中華麺と太めの豆干絲がミックスされた中華麺。2種類の食感が楽しめる

ちくわ

ちくわは23年10月に前年を下回ったが、それ以外は好調であった。3月から5月まで需要が伸びるため売り逃しがないようにしたい。

売場づくり

ちくわは「生食」でも「加熱用」でも幅広く使える。気温が低い日は「温」、高い日は「冷」を提案する。

竹ちくわ。徳島地方の竹に刺された焼きちくわ。電子レンジで少し加熱すれば竹からはがれやすい。地方の名産ちくわを集めて「全国ちくわ祭り」を企画してもおもしろい

納豆

納豆は23年3月から10カ月連続前年クリア。3月から急激に需要が高まるゴールデンカテゴリーだ。品揃えがマンネリ化しているため春の新商品を積極的に導入する。

売場づくり

「納豆ご飯」以外のメニュー提案を積極的に行う。

干し納豆。納豆を乾燥させた昔ながらの干し納豆。そのまま酒のつまみ、おやつとして食べる他、しょうゆや水に戻して柔らかくして料理に使うこともできる。納豆の新しい食べ方も提案する。日持ちがするため「防災用品」に加えたい商品だ

冷凍調理品

冷凍食品は13カ月連続で前年クリアし、3月から7月まで需要が高まるゴールデンカテゴリー。子どもの春休み需要を取り込む。

売場づくり

弁当材料縮小し、スナック、米飯、麺類を拡大する。

具だくさんビビンバ。野菜が高騰している中、ご飯が見えないほどたっぷりの野菜がトッピングされているのがありがたい。冷凍食品の完成度は外食レベルまで高まっている

パン

パン類も13カ月連続前年クリア。3月は年間最大の需要高。3月から5月まで需要が高まるため、売り逃しがないようにする。

売場づくり

平台を1台増設して、ハンバーガー、ホットドッグなどの「調理パン」を中心に販促をかける。菓子パンはバンドル販売する。

大きなパン、2色パン。1個100g以上もある大きなパン。好みのパンを2個買うことは少ないため、単価が少し高い「大きなパンコーナー」を作り販売したい。「1個で2度おいしい」2色パンも魅力だ

マーガリン

パンの需要が高まると同時にマーガリンもそれにつれて使用量が増える。しかし、23年は前年を下回ってしまった。12月、3月は最大需要期であるだけに「食パン+マーガリン」をしっかり訴求する。

売場づくり

スプレッド育成を図り、アイテムの拡大、フェースの拡大を図る。

バター

バターは3月から夏にかけて需要が落ちる。料理や焼き菓子の使用機会が減るからだ。それでも3月のバターの消費支出は107円、マーガリンの56円の倍近くある。

植物性スプレッド。ライフコーポレーションの「BIO-RAL」のプライベートブランド商品の「ヴィーガンスプレッド」。オーツミルクを配合した動物性原料不使用の商品。マーガリン、スプレッドは「ヴィーガン」「ベジタリアン」が好む商品。原材料などバターとの違いをはっきり表記する
Nuttelex Original。オーストラリアのサフラワースプレッド。10項目もの「✔」マークが表示されている。これだけ書かれていれば説得力がある

果実、野菜飲料

果実、野菜飲料は23年4月に前年を下回ったが、それ以降は12カ月連続で前年をクリアしている。8月まで需要が伸びるため売り逃しがないようにしたい。

売場づくり

豆乳を含め常温保存可能商品は、サイド陳列などで大量陳列して販売する。パーソナルタイプは箱売り、バンドル販売も行う。

幼児果汁。子どもには安心できるものを与えたい。1ℓタイプの果汁は開封後の日持ちが気になるが、飲み切りタイプは安心して子どもに与えられる。ストローが付いているため衛生的でこぼすことも少ない

乳酸菌飲料

乳酸菌飲料は相変わらず好調だ。13カ月連続で前年をクリアしている。3月はよく動く月であるだけに月初から販促を強化する。

売場づくり

夏に向かいアイテム、売場スペースを拡大する。紙パックの1ℓタイプ、500㎖タイプも販売する。

乳酸菌ポリ飲料。ヤクルトは宅配用「ヤクルト1000」の7本シュリンク包装タイプを発売した。ポリ飲料は1本と箱売りを主体に販売されているが3本シュリンク包装の品揃えも欲しい

トレンド商品

大豆ハンバーグ

3月10日は「ゼロミートの日」。これを機会に代替肉商品を訴求したい。写真の商品は大豆ミートとこんにゃくを原料に使った群馬県下仁田のメーカーが開発した「大豆ハンバーグ」。

焼きシューマイ

3月はシューマイが動く月。シューマイは「蒸す」イメージが強いが、夏に向けて「焼きシューマイ」も提案したい。平たく成形されているため小麦粉を少量まぶしてギョーザと同じように焼けば、ぱりぱり食感の焼きシューマイが楽しめる。

キッズゼリー

子ども用のアルミ入りフルーツゼリー。キャップが付いているため、カップタイプと違い、食べ切る必要がない。キャップが大きいため飲み込む心配もない。ひな祭りや春の行楽に持たせたい一品だ。

冷凍スポンジケーキ、ホイップクリーム

業務スーパーで販売されている冷凍スポンジケーキ、フローズンホイップ、チョコレートシロップ(常温)。スポンジシートは3枚入り。冷凍であるため必要な量だけ使え、むだが出ない。ひし形にカットした「手作りひなケーキ」を提案したい。