土用には菓子でも一工夫、トレンドの冷凍スイーツは注力ポイント|「これは押さえたい」菓子・スイーツ編・2024年4月

2024.02.28

トルティーノ代表 中村 徹

2023年4月は桜のシーズンということもあり、海外からの訪日客が181万人とコロナ前の約90%程度まで戻ってきた。国、地域別では韓国、台湾、アメリカ、香港で中国はまだ渡航を解禁しておらず7万人ほどであった。全国的に桜の開花がかなり早かったので、函館でも4月14日開花と異常な早さとなった。

曜日回りは土曜日5回、日曜日5回と週末の多い曜日回りであったが、昭和の日(29日)が土曜日のため、特に大きな連休とはならなかった。今年は土曜4回、日曜4回と昨年より週末の少ない曜日回りとなる。

今年は昭和の日を挟んで3連休となり、ゴールデンウィークの前半がスタートする。このような曜日回りの差から週末型店舗では1%程度のマイナス要素となるだろう。

昨年4月は3月に続き非常に暖かい月であった。月平均気温は北・東日本でかなり高く、月平均気温平年差は、北日本で+2.1℃と1946年の統計開始以降で4月として1位タイの高温であった。東京では中旬に25℃を超える夏日を記録する日もあった。

今年の菓子関係の催事カレンダーを見てみると、毎月の催事日である6日(土)ロールケーキの日、15日(月)菓子の日、19日(金)シュークリームの日、22日(月)ショートケーキの日など菓子関係の日が存在し、この他、春土用、入園、入学、入社など新生活祝いや花見などイベント関連の日が存在する。

今年も2月に東京23区でも積雪があったが、暖冬傾向は続き、春も気温が高い傾向が続くであろう。昨年ほどではないかもしれないが、気温は高めに推移し、降水量は平年並みの予想である。 

総務省家計調査の「<品目分類>1世帯当たり年間の品目別支出金額,購入数量及び平均価格」を見てみると、品目別令和4(22)年年間の月別支出金額が掲載されている。菓子類の4月を見てみると、年間平均金額に対し高いものはまんじゅう101.7%、他の和生菓子102.0%くらいしかなく、この他は月平均を下回っている。

これらの商品群のトレンドを見るために「令和4年年間消費金額/平成12(00)年年間消費金額」を計算してみると、まんじゅう42.3%、他の和生菓子98.9%となっている。

これらを考えてみると4月は菓子類の強い催事日があまりなく、季節的には売る商品に苦労する月となる。また昨年と比べて曜日回りもあまりよくないので、ポイントを絞り切らず広く浅く売上げを取る策を考えた方がよいかもしれない。

従って、前半の花見や新生活、中盤の春土用、終盤のゴールデンウィーク突入で販促訴求していく流れとなる。

花見の和菓子

日本気象株式会社の2月8日発表の24年第3回桜の開花・満開予想によると、開花が一番早いのは福岡で3月21日、満開が3月31日ごろとなっている。ここから開花前線は段々北上し、満開予想では大阪4月1日ごろ、名古屋3月30日ごろ、東京3月29日ごろ、仙台4月10日ごろ、青森4月23日ごろ、札幌5月5日ごろとなっている。4月初旬は太平洋側の多くの地域で花見が真っ盛りとなる。

昨年各地の花見の名所は、コロナ禍ほどではないが飲酒の規制や立ち止まりの禁止など若干の規制が残っていた。今年はこういった規制がほぼなくなりコロナ前に戻ると予想される。

花見の和菓子といえば桜餅であるが、もともとは関西の道明寺粉を使った「道明寺桜餅」と関東の小麦粉と白玉粉を使った「長命寺桜餅」に分かれる。どちらも桜色の生地と塩漬けの緑の桜の葉で巻かれている。

単品で訴求する場合は各地方に合った桜餅を提案すればよいが、最近では関東でも道明寺桜餅が主流になりつつあるので、何が地元で桜餅と認識されているかよく調べて提案すると良い。

また、花見の仕出し弁当などと一緒に提案したいのは春の上生菓子である。満開の桜の下で少し豪華な弁当を食べた後に、デザートとして上生菓子を食べるのはとても風情がある。こういった風情を提案できると顧客からの信頼も厚くなる。花見ポイントの近くの店ではぜひ、提案したいものである。

一方で新生活のお祝いとしては、本格的にやる場合は専門店などのデコレーションケーキに流れると思うが、簡単な祝い菓子としてはアソートタイプのケーキ類が提案しやすい。4個程度のチーズケーキやタルトなどのアソートタイプは提案しやすくお客も手に取りやすい。地元の学校などの入学式はよく調べてお祝いメニューを提案したい。

花見和菓子イメージ

土用の菓子

4月16日(火)は春土用となる。土用は年に4回あり、立春、立夏、立秋、立冬の前18日間程度を言い、それぞれ冬土用、春土用、夏土用、冬土用という。うなぎを食べる夏土用が有名であるが、春土用にも食べると良いと言われるものがある。

夏土用の丑の日と同じく、春土用には「戌(いぬ)の日」が設定されている。また夏土用は「う」の付くものがよいとされうなぎを食するが、春土用には「い」の付くものを食すると良いと言われている。

「い」以外にも色では白いものが良いとされる。菓子ではないがイカの刺身などは最適である。菓子では旬の終わりの時季であるがイチゴ関連の菓子が最適であろう。商品があれば22日(月)ショートケーキの日を目指してイチゴショートを提案するとおもしろい。

ちなみに今年の春土用の戌の日は4月16日と28日になる。和菓子は土用餅を定番として土用期間の間訴求したい。

イチゴケーキイメージ

抹茶デザート

4月27日(土)からゴールデンウィークが始まる。今年のゴールデンウィークは29日(昭和の日)を含む前半3連休と5月3日憲法記念日からの後半4連休に分かれる。間の平日3日間休暇を取れば最大10連休となる。ゴールデンウィークのような際の期間は同曜日の過去の実績を参考にするのであるが、直近の同曜日である19年は令和元年にあたり、5月1日即位日で祝日、前後2日が休日というイレギュラーな曜日回りであったので参考程度にしか実績は使えないであろう。

5月1日は八十八夜である。新茶のおいしい時季であるが、菓子では抹茶デザートを訴求したい。近年抹茶デザートは人気があり定番化されているので、抹茶プリン、抹茶ロールケーキ、抹茶タルト、抹茶のチーズケーキなど抹茶シリーズを集合展開したい。和菓子も集めても良いと思う。抹茶と新茶で旬のデザートタイムを提案するのだ。

抹茶ケーキイメージ

売場展開

4月は月を通して春本番から少し初夏の気候となる。旬のフルーツとしては末期のイチゴ、出始めのメロン、マンゴーなどさまざまあるが、特にイチゴは12月などと比べると価格がかなり安くなってくる。こういった時季に、春土用でも同じであるが今年最後の「イチゴ祭り」などの提案を実施すると現実的である。

またメロンのカットフルーツとプレーンヨーグルト、メロンショートケーキ、ロールケーキなどで「フルーツ祭り」などを提案すると旬の先取り感が出る。

トレンド的商品

冷凍スイーツ

冷凍食品が近年ずっと好調である。麺や米飯などは当たり前で、握り寿司などまでも冷凍食品になっている。スイーツも例外ではなく、冷凍スイーツがどんどん拡大している。

もともとチーズケーキやチョコレートケーキ、ミルクレープといった冷凍に合う商品は冷凍で存在しており、海外にも輸出されていたが、最近では通販サイトなどで有名店の冷凍スイーツが数多く販売されている。スーパーマーケットでも冷凍食品と共に冷凍スイーツに力を入れてはどうだろうか。