クリスマスは洋風をしつこく、年末はバンドル、ロングライフ、プレミアム|「これは押さえたい」鮮魚編・2022年12月
2022.12.07
エバーフレッシュ研究所代表 堀内幹夫
昨年は12月中旬までの不振(特に週末の不振)の影響が大きかった。今年は中旬まで販売強化し、売上確保を狙う。
「歳末商品お試し特集」を展開し、クリスマス、年末商品、歳末際商品を早めにプレゼンテーション、認知を図る。特に味付けカズノコ、荒巻サケ(塩秋サケ)・酢タコ、無頭エビ、干しスルメイカ、ホタテ貝柱などの「お試し買い」を誘う。
カニ、刺身、寿司などの予約販売の周知徹底を図り、売上げアップを狙う。特にタラバガニは超相場高の中、売れ残るリスクあり。予約販売で割安訴求し消化を図る。
12月24日のクリスマスイブは土曜日。今年は12月24日、25日の2日間に集中することが予測される。昨年のクリスマス商戦は25日(土)が好調だった。今年は24日(土)、25日(日)の2日間に集中すると予測。要注意なのは25日(日)。クリスマス当日だが今年最後の日曜日でもあり、年末商材を少しでも多く売り込みたい日。カニ、エビ類やカズノコ、酢ダコなど日持ちする歳末商品の売り込みを図る。
昨年の年末商戦は首都圏店舗を除いて概ね好調。前年比をクリアできた企業、店舗が多かった。
今年の盆商戦から推測すると、年末の帰省客は昨年より相当程度、増えることが予測される。今年の31日は土曜日でもあり売上増を予測。ただ、最近の消費行動として年末際に集中する傾向があり、28日(水)、29日(木)は苦戦が予測される。普段のおかず強化と同時に歳末商品のめりはりの効いた日替わり販促やタイムバーゲンなど価格強化で弾みを付ける。
目次
12月20日「ブリの日」
養殖ブリは相場高で売りにくい環境にあるが、天然ブリの漁獲は順調であり、神経抜きの出荷など出荷形態にも広がりがみられる。
年末前でもあり、天然ブリだけでなく養殖ブリも加え、「養殖ブリVS天然ブリ」企画を展開する。
売場展開図
トレンド商品
クリスマス商戦
売り込み商品は、①洋風メニュー 、②鮮魚の寿司と家庭で作る手巻き寿司、③生アトランティックサーモン。
①の洋風メニューは、パエリア、ブイヤベース、アヒージョなどの提案。多くの企業でクリスマスチラシに洋風メニューの掲載が増えているが動きとしてはいま一つ。
しかし、今後の伸びしろは大きく、期待できるだけに粘り強く続けたい。冷凍ケースで展開の冷凍ミールキットやグラタン類など洋風メニュー商品にもチャンスあり。
②の寿司については、この数年の盆や年末の「ハレ」は、負けなしが続く。「鮮魚の寿司」も「お家で作る手巻寿司」も動きが良い。鮮魚の寿司については展開する店、展開しない店があるが、いずれにしても「寿司」関連の強化は必須だ。
③の生アトランティックサーモンは昨年の同時季、相場高にもかかわらず主力商品の中では唯一売上げを伸ばした。ただし、今年に入ってからは2度にわたる相場高と昨年実績の大きさから考えて、今回は苦戦が予測される。
刺身用サクやスライスだけでなく、サーモンたっぷり寿司だねセットやサラダセットなど派生商品も強化し、前年実績との差を少しでも縮めたい。
年末商戦
年末商戦で強化すべき商品群は、①バンドル企画、②ロングライフ商品、③プレミアム商品だ。
①のバンドル企画は盆商戦でも好調であった。特に刺身、寿司合同のバンドル企画は好評であり、1パック1980円、2パック3800円など仕掛けてはどうか。
②のロングライフ商品は、この数年で急に伸びてきたカテゴリーであり、大きく分けて真空包装商品、冷凍商品がある。真空包装商品の一例として「うなぎかば焼き」がある。真空包装化することでD+4の商品がD+28に延びれば売る側だけでなく買う側にとっても、ストックさえしておけば好きなときに使えるメリットがある。
刺身用商材の真空包装商品もお勧め。養殖マダイ、養殖ヒラメ、養殖ブリなどの真空包装商品であれば、年内に購入した商品が年明けの3、4日でも余裕で楽しめるメリットがある。
③のプレミアム商品としては、フグ刺し、フグちりや「氷見」「佐渡」などのブランドブリなどいろいろある。初年度から多くを狙い過ぎてロスを出すよりも、安全な量から始め、実績が付けば少しずつ増やす形で展開してはどうか。
最近の年末商戦では「鮮魚の寿司」が大人気であり、ただでさえ人手不足の中、寿司製造と刺身製造の2つを同時にこなさなければならない店舗は負担が大きくなる。
そこで提案したいのは「つまなし刺身」の導入だ。これまでもつまなし刺身について検討した企業、店舗も多いと考えるが、見栄え、価値感がいま一つ、そして何よりも年間で最も売上げの大きい年末商戦で失敗したくない…という事情もあって定着しなかった。
今年も事情は同じだが、いきなり販売メインにするのでなく、品揃えの一つとして採用し、実績がつけば徐々に増やしていってはどうか。