かまぼこは最大売上げ、品揃えを広げて売り込む、ロングライフ商品にも注目|「これは押さえたい」日配編・2022年12月

2022.12.14

城取フードサービス研究所代表 城取博幸

12月はクリスマスまで大きな行事がないため平日の売上げアップが重要。日配部門は、冬の味覚の訴求。ホットメニューの訴求。歳暮、クリスマスケーキ、おせち料理の予約も終盤を迎える。クリスマス、年末年始は大きな売上げであるため、際物商品の試食、味の確認を含め早くから売場展開を行う。

昨年の家計消費のデータで、12月に需要が伸び、前年も上回った「ゴールデンカテゴリー」は揚げかまぼこ(110.58%)、ちくわ(101.32%)、白菜漬け(104.26%)、昆布つくだ煮(105.83%)、和生菓子(109.36%)、ケーキ(103.89%)、洋生菓子(109.07%)、他の主食的食品(106.98%)。12月に需要が減ったが、前年を上回ったカテゴリーは卵(104.04%)、梅干し(105.1%)、ゼリー(111.24%)、アイスクリーム(101.57%)、調理パン(107.42%)、冷凍調理品(102.52%)、乳酸菌飲料(112.3%)、乳飲料(100.0%)、他の飲料(106.25%)。

12月に需要は変わらないが前年を下回ったカテゴリーはパン(97.6%)、食パン(97.18%)、他のパン(97.79%)、バター(97.3%)。12月の需要は高いが、前年を下回ったカテゴリーは生うどん、そば(89.54%)、かまぼこ(98.56%)、魚介佃煮(91.43%)、揚げ、がんも(96.34%)、こんにゃく(92.06%)、マーガリン(94.55%)。

12月に需要が減り、前年も下回ったカテゴリーは中華麺(93.31%)、牛乳(94.20%)、ヨーグルト(96.12%)、チーズ(95.3%)、豆腐(95.31%)、納豆(96.94%)、大根漬け(98.9%)、他の漬物(91.33%)、プリン(95.89%)、コーヒー飲料(98.3%)、野菜、果実飲料(95.4%)、ギョーザ(95.88%)、シューマイ(96.77%)。

特に魚介練り製品と甘味類が好調であった。一方、牛乳と乳製品が不振であったため今年は注力して販売したい。12月から需要が伸び、さらに前年を上回った「ゴールデンカテゴリー」は積極的に販売し売り逃しがないようにしたい。

かまぼこ

かまぼこは一年で最大の売上げを作る月。昨年は全体が不調の中、前年(110.58%)を2桁クリアした。今年もさらなる売上げアップを狙い高級品から低価格品までの品揃えをする。

売場づくり

今年は単価アップと点数アップを追う。原材料の値上げから一品単価は上がる。点数を稼ぐためには生食用の高級かまぼこの他に、料理用の低単価商品の品揃えも行う。定番で置かれている商品は「年末だから」とカットしない。毎年、年末の売場づくりが早まっているため消費期限を見ながら売場づくりを行う。

揚げ、がんも

揚げ、がんもは、昨年気温が高かったせいか前年を下回ったものの需要は年間最大である。揚げ、がんもは比較的安価な商品であるため、節約ムードが高まるクリスマス前まで販売に力を入れたい。またプラントベースブームもあるため大豆加工品を訴求したい。

売場づくり

今年の重点アイテムは「味付け商品」。「味付けいなり」「味付け厚揚げ」「味付けがんも」「味付け信田巻き」など温めればそのまま食べられる商品を売り込みたい。冷蔵平ケースで「味付けシリーズ」のタイトルでまとめて販売したい。

こんにゃく

こんにゃくも昨年を下回ったものの年間最大の売上げだ。おでん、鍋、煮物と幅広く使われているが、新しい提案を行わないと売上げアップは難しい。鍋に「葛切り」や「春雨」を提案したり、「赤こんにゃく(赤)」「ユズこんにゃく(黄)」「青のりこんにゃく(緑)」などカラフルなこんにゃくの販売を強化する

売場づくり

こんにゃく、しらたきは常温保存可能であるため2カ所、3カ所陳列を行う。カラフルこんにゃくは涼味売場にまとめて陳列する。さっとゆでてキューブカットし、ワカメと酢みそであえればおしゃれなあえ物になる。料理サンプルを展示するとよい。

白菜漬け

白菜漬けは昨年、需要も伸び、前年(104.26%)もクリアした「ゴールカテゴリー」だ。家庭で白菜を漬ける機会も減っているため今年も売上げアップが期待できる。

容量の多いもの、魚介類(サケ、ホタテ)、海そう(昆布)、かんきつ類(ユズ、レモン)を組み合わせたもの、古漬け白菜も積極的に販売する。

売場づくり

ケース最下段と2段目はカップ入りの商品を陳列する。高額ではあるが松前白菜や魚介類を使った「ポッサム白菜キムチ」も品揃えしたい。白菜キムチは甘口のものが多いが、乳酸発酵した酸っぱめのものも料理用として品揃えしたい。

バター

昨年12月、バターは需要が高かったが前年を下回った。コロナの影響で人の交流が少なく洋食材料が落ち込んだとも考えられる。今年は昨年より人の交流が増えるとみられるため、洋食も期待ができそうだ。料理の最後にバター(フィニシング)を加えればこく、香りが深まることも訴求する。

売場づくり

クリスマスには「無塩バター」、トーストやサンドイッチ、料理用に「有塩バター」は常識だが、今年はバターの他にナッツと組み合わせた「ピスタチオクリーム」や、スコーンには欠かせない「クロテッドクリーム」などバターとは一味違う商品も販売したい。

チーズ

12月のチーズ需要は高いが昨年は前年を下回った。数量は増えたが平均単価が下がり、結果として支出金額が落ちてしまうという結果に終わった。気温の高さと、人が動かなかったことで洋食需要が減り、バターやチーズなどの乳製品の需要に影響したと考えられる。今年はチーズをたっぷり使ったメニューを提案し売上げアップを図る。

売場づくり

チーズはクリスマスの需要が高まるため「ワイン&チーズ」の訴求を行う。「子ども用チーズアソート」もあってもいい。またチーズ、サラミ、クラッカーの盛り合わせも販売したい。今年はアソート類のアイテムを広げ、ケース最下段で販売したい。

他の和生菓子

和菓子は需要も高く、昨年も前年をクリアした「ゴールデンカテゴリー」だ。ここのところ和洋生菓子の売上げが好調だ。定番の串だんご、大福、まんじゅう、ようかんなどは品切れに注意する。「全国お取り寄せ銘菓」の販売も行う。

売場づくり

年始の「上生菓子」に注力。毛せんを敷いた平台で大陳を行う。ロングライフ商品もあるので、販売期限の短いものとうまく組み合わせて販売したい。また、ふるさと銘菓は手土産用の和菓子詰め合わせも目立つ場所で販売したい。

他の主食的食品

昨年好調であったスナック類は残念なことに12月だけ前年を下回った。今月はピザやグラタンだけに頼らず、「ホットケーキ」「フレンチトースト」「ベルギーワッフル」「アメリカンドッグ」「スコーン」「お好み焼き」「たこ焼き」「ホットク」などの「粉物」の販売に力を入れる。

売場づくり

ピザコーナーの隣りに「粉物スナック」の売場を3尺縦割りで新設する。関連販売でメープルシロップ、蜂蜜、ホイップクリーム、ホイップバター、ジャム、お好み焼きソースなどを陳列する。

トレンド商品

ロングライフ豆腐、牛乳

ハードディスカウントストアのリドルをフランスで見たとき、チルドの牛乳売場はなく、常温保存のロングライフ牛乳を豆乳やオーツミルクと同じ売場で大陳して販売していたのに驚いた。

日本は「牛乳余り」が問題になっている。日本はチルド牛乳だけだが需要を増やす意味でロングライフ牛乳の販売にも力を入れたい。料理用やペット用で訴求したいロングライフ豆腐もこんにゃくと一緒に常温で売られる時代が来るかもしれない。

チーズ、サラミ、クラッカーセット

扱い部門が乳製品、加工肉、ドライ食品と縦割りになっているからだろう。これからは部門の壁を取り払った商品開発を行うことが必要だ。

欧米でよく売られているプロセスチーズ、スライスサラミ、クラッカーのセット(写真はサラミとクラッカーのセット)。日本では「チーズ&サラミ」はあるがクラッカーがセットになったものは見かけない。