季節の変わり目の3月、気温の変化に合わせた商売がポイントに|「これは押さえたい」青果編・2023年3月

2023.02.08

創風土パートナー 代田 実

長い冬が終わり、次第に春めいてくる3月は気温の変化が大きい月でもある。昨年3月は全国的に平年比高めの気温で推移し、特に中旬には関東以西の地域で最高気温が25℃前後まで上がり夏日となったところもあった。

一方で下旬には東京で降雪があるなど寒の戻りもあるなど、気温が目まぐるしく変化し、その都度、売れる商品が変化した。

また、昨年3月は年明け来の低温、干ばつ傾向から大型野菜、ジャガ芋、玉ネギを中心に高値傾向が続いており、青果部門は他の生鮮に比べ好調な売上げで推移した。

こうした状況から、今年の3月の商売を組み立てるに当たっては、昨年の気温変化、品目別相場動向を確認の上、前年実績を読み解き、昨年の販売実績をベースにしつつ、今年の環境(気温、商品状況)に合った売り込み品目の選定を行う必要があるだろう。

ひなまつり

3月3日(金)はひな祭りだ。今年は金曜日ということで曜日回り的にはマーケットチャンスとして盛り上がりに欠けるかもしれないが、春の一大生活催事であるひな祭りマーケットを活用し、青果部門の関連商材を最大限売り込んでいきたい。

ちらし寿司関連商材

ひな祭りに食される「ちらし寿司」の由来には諸説あるが、その中に入れられる縁起の良い食材として青果関連のものも多いので、コーナー展開をすると良いだろう。

レンコンを輪切りにすると現れる穴は「先が見通せる」という縁起が良い食材として、また豆は「健康でまめに働けるように」、タケノコは「タケノコのようにすくすく育つように」という願いを込めてちらし寿司に入れられる。

これらのいわれをPOPなどで訴求しつつ、加工食品部門のちらし寿司のもとなどの関連商品と共に売場展開すると良いだろう。また、ちらし寿司と共に食されるハマグリ関連の食材として、吸い物に入れる三つ葉も同時に展開することで、青果部門としての買上点数アップも狙える。

カットフルーツ

平日のひな祭りということで、仕事帰りに簡単にお祝いをすることができるカットフルーツの需要が増えることが見込まれる。普段から販売しているカットフルーツのアソートに、桃の花の造花を添えたり、ひな祭りのシールを貼り付けたりするだけでも良いし、余裕があれば容器を変えて普段販売していない商品化を行っても良いだろう。

ひな祭り花

青果部門で扱うことの多い切り花でも、桃の花や菜の花を取り混ぜたフラワーアレンジメントの品揃えし、可能であれば他のひな祭り関連商材との併売、コーナー化をすると良いだろう。

イチゴ

総務省家計調査のデータを見ると、ここ数年3月の消費金額が青果部門の中で最も高くなる品目がイチゴで、年によって違うが二人以上の世帯平均で700円台後半から800円台後半の実績が残っている。

これはクリスマスでイチゴが売れるイメージの強い12月の約倍の購入金額であり、年間を通してもイチゴが最も売れるのが3月だ。

これは各産地とも3月が2番果から3番果のピークを迎え、単価も下がり売りやすい398円値頃にはまるようになるためだが、一方で中から小粒果も増えてくるので、こちらは2パック売りやバンドル販売を実施することで買上単価の維持を図りたい。

一方で、売場展開に関しては売上相応の広いスペース、面を取っての販売が必要になるが、この時季は外気温も日に日に上昇し、イチゴの棚持ちも少しずつ低下してくることも頭に置いて売場、商品管理を行うことが重要だ。具体的には、次の3項目がポイントとなる。

3月のイチゴ売場・商品管理のポイント

①分かりやすい売場陳列

最大売上高に見合う広い売場はもちろんだが、多品種、多SKUの陳列を行うことになるので、どれが一番のお薦めのイチゴであるかが分かるような陳列を行う。見た目にはイチゴのパックはどれも同じように見えるので、品種、SKUの境目に出始めのメロンや小玉スイカなどを縦に細長く陳列するのもよいだろう。

②売り切り

売場に一度陳列した商品は品温が上昇し、品質低下速度が早まるのはいうまでもない。そこで売場陳列量に関しては、最大でも当日中に確実に売り切れる数までとし、補充する場合も当日売り切ることを前提に補充数を制限することが重要だ。

③在庫管理

当日入荷商品で、売場に出ないものは確実に温度管理を行い、冷蔵保管を実施する。また、入荷時の品質チェックも確実に行い、鮮度低下の兆候が見られる商品は優先的に売場に出して売り切るようにする。