バーベキューは大型対応、メバチ、キハダのマグロ赤身はやや下げ傾向、切り落としで商品化|「これは押さえたい」鮮魚編・2023年4月

2023.03.10

エバーフレッシュ研究所 堀内幹夫

生活催事、行事が増える。人が動き商売チャンス増える。終盤からはゴールデンウィーク(GW)に突入。春もピークに差し掛かり4月後半には初夏型に。売り込み商品が微妙に変わる。

養殖マダイ、アサリ、ニシン、サヨリ、ヤリイカ、後半には生カツオ、アジ、サラダ、生食サラダ、うなぎへと移行する。マダイ、タコ、海そうは3月から継続して売り込み強化。旬魚では養殖生ギンザケ、アサリ、生カツオ、アジ、サワラ、アカがガレイ、サヨリ、ヤリイカ。サラダ、炙りなど生食系商品ではうなぎ、焼き魚などの需要が増える。

昨年までの「全面的相場高状況」から、若干ばらつきが出始めている。ノルウェー産サーモン、解凍アトランティックサーモンなどを中心に、さらなる相場高が予測される商品が多い中、➀チリ産ギンザケ、➁エビ類、➂タコ類、➃マグロ赤身(メバチ、キハダ)については前年並相場、あるいはやや下げで推移することが予測される。こうした優位性のある商品を丁寧に拾って売上げを作る方策を考える。

4月終盤はGWへ突入。昨年末の帰省客の動きを見る限り、今年の GWは昨年よりも人出が劇的に増えそうだ。昨年までとは違ったGW対策が必要。 昨年まで不振が続いた刺身盛り合わせなどの強化と昨年まで好調であったバーベキュー鉄板焼商品の再強化。家族単位から多人数化へ移行の可能性もある。

今年のGWも長く休める人とそうでない人に二極化するとみられる。長い人は、4月29日(木)から5月7日(日)迄の9連休。そうでない人は4月29日~30の2連休と5月3日~7日の5連休に2分割。今年はGW後半に5連休となる人が多そう。

GW対策

最も多くの人が休めるのは、後半の5月3日(水)~7日(日)の5連休。バーベキュー、鉄板焼きメニューの訴求は、4月29日(土)から5月7日(日)までのロングランの展開。生たねも良いが、冷凍ケースの活用などで長期間の展開に耐えうる商品構成と売場展開も併せて考える。GW全体の流れは図表①の通り。手巻き寿司、ちらし寿司は5月3日(水)から本格化する。

図表① GWの流れ

鉄板焼き売場

今年は、昨年のGWよりも人出が劇的に増えそう。2021年度の家庭単位でのバーベキューから、22年度は、もう少し多人数でのバーベキューパーティが増えた。

今年はさらに拡大され、職場仲間や町内会などでのバーベキューパーティが増える見込み。バーベキューが大型化するとセット物よりも単品での買い求めが増えるとみる。1パック580円、2パック1000円バンドルや1パック980円均一企画などもお勧め。北海道での殻付き牡蠣のように単品大量買いの傾向のある商品は、超メガパックも用意、あるいは多人数用に「別注承り」POPなども用意し、万全の態勢で挑む。

珍しいバーベキューの調理見本例。売場の雰囲気作りのためにバーベキューセットの品揃えが欲しいが、バーベキューセットを作ってもなかなか売れない、ロスになりやすいなどいろいろ問題も多い。冷凍セットの場合は管理(販売)温度帯が違い、陳列場所が違う。そこで写真のような料理サンプルが示せれば、バーベキューの雰囲気作りに一役買うのではないか
串打ち魚(アユ、ニジマス、コダイなど)。バーベキューシーズンを前に、ぜひとも習得しておきたいアユ、ニジマス、コダイなどの串打ち商品。串打つ手間はかかるが、串を打つことで、焼く場面や食べる場面がイメージしやすく、手が出やすくなる。特に野外でのバーべキューなどでは使い勝手が良くお勧め

図表② 生たね、解凍物を中心とした売場展開例

トレンド商品

アフリカ産蒸しタコ、チリ産ギンザケ、エビ全般は、相場的に現状維持、あるいは多少の値下げが予測される中、マグロ赤身(メバチ、キハダ)についても、相場現状維持、あるいは相場安に転じる情報が入り始めてきた。生サーモンを中心に生食用輸入サーモンの大幅値上げの中、マグロ赤身(メバチ、キハダ)のこの状況は朗報だ。

マグロ赤身(メバチ、キハダ)

冷凍メバチ、キハダ搬入減も、相場上げ止まり。大メバチ浜値1kg当たり1060円前後(昨年同1050円前後)、キハダ浜値同890円前後(昨年同900円前後)。在庫過多による在庫調整による値下げだ。

相場が現状維持、あるいは少し下がり傾向とはいえ、高値張り付きが長く続いたマグロ赤身(メバチ、キハダ)。売り込む切り口を見いだすのは、そう簡単ではないが、やはり切り落とし中心になると考える。最近では切り落としやマグロ3種の切り落としセットやマグロたたきも含めたマグロづくしセットなどの展開が増えてきた。ぜひとも、そういった商品の販売強化もしてはどうか。

売場展開例。切り落とし中心の売場展開。値頃としては1パック当たり300円前後と400円前後を中心に展開。週末は500円超えも狙う

うなぎ長焼き

国産うなぎかば焼きは、今後の相場傾向としては横ばいか、やや上げの状態だが昨年の同時季と比較すると約2割高となる。

中国産うなぎかば焼きは、今後の相場動向としては、ジャポニカ種で1~1.5割高、ロストラータ種で昨年並~1割高。原料事情的には今季終盤のシラス漁の不漁から強含み。あとは為替次第で決まる。

状況的には、国産がより苦しい状況。1匹2000円超えが珍しくなくなった昨今だが、現状の価格からさらに売価1~2割アップとなるとさすがに厳しい。土用の丑前や週末を除いては、中国産が販売主力となろう。

中国産の中ではジャポニカが狙い目となる。ロストラータ種よりも脂質が高く、風味が良い上に、かば焼きにした際に長くて「面」が広く見栄えが良い。ロストラータは厚みがあり、ズングリムックリ型で見た目より重い。

4月17日の春の土用入り、25日の春の土用丑の日を境に、7月30日「土用の丑」本番に向けてうなぎ売場の売場展開を点検、充実させる必要がある。

今年の相場状況からすれば、この時季は中国産を販売メインとしたい。ただ、今年の中国産は大型サイズが多い。売価アップ対策および値頃対策としてお勧めであるのが、カットうなぎ。最近では、切れている便利さや値頃感によるのか、カットうなぎの動きが良い。

国産のスライス化による商品化例。上は平切りによるスライス。下はうなぎを縦に2分割してから一口バターサイズにカッティングしたもの。作業の難易度は、後者の方が格段に低く、商品化に差が出ないのでお勧め