相場高のサーモンは価値訴求、カツオはしっかり、養殖ブリも付加価値訴求で|「これは押さえたい」鮮魚編・2023年5月

2023.04.10

エバーフレッシュ研究所 堀内幹夫

昨年は3年ぶりに行動制限のないゴールデンウィーク(GW)商戦。行楽地を中心に人の動きが活発になった。天候の方も、GW前の悪天候予測が一変、全国的にまずまずの天気続き、特に後半は晴天が続いた。

営業数値的にはGW期間(4月29日~5月5日)の同日比の鮮魚部門計で都心85~95%、郊外95~108%といった状況で、企業。店舗によってばらつきが出た。

好調だった商品としては寿司、お造り、うなぎ、珍味など。不調だった商品としては刺身用サク類、活貝(アサリ)、切り身、塩サケマス、魚卵だった。マグロは、好・不調が企業によって分かれる結果となった。

現在のところ、今年のGWは昨年にも増して人出が増えることが予測される。昨年にも増して積極的な展開が必要だ。GW期間を通してバーベキュー、鉄板焼き特集を展開。

家庭単位での「お家バーベキュー」やベランダ、車庫、庭先での小規模な鉄板焼パーティでなく、職場仲間や町内会での大規模など比較的大規模なバーベキュー、鉄板焼パーティも増えそうだ。セット物よりも単品量販型の展開が多くなる。

子どもの日は、「手巻寿司」中心に展開。子どもたちの好きなサーモンを中心に見た目かわいく、カラフルで楽し気な手巻寿司やサーモンの提案強化。相場高の中でも販売主力はサーモン(生サーモン、解凍サーモン)。サーモンの販売強化がポイント。生食→生アトラン、加熱用途→骨取り(無塩)銀サケ、解凍アトランティックサーモンの拡販にチャレンジしたい。

今年の「母の日」は子どもの日を含む週の翌週の5月14日(日)。母の日は、①手巻き、ちらし寿司、②サラダ提案、③花造り提案といった3本柱を中心に展開。商品作りにカーネーションに見立てたサーモンローズを上手に生かし、ムードを盛り上げる。

ノルウェー産生サーモンの再々値上げや、春ちりめん不漁が相場高に追い打ちをかけるが、中には若干の相場下げが期待できる商品もある。先々月からの①アフリカ産蒸しタコ、②チリ産銀サケ、③エビ全般などの相場下げに続いて、④マグロ赤身(キハダ、メバチ)の在庫調整による相場下げ、さらには⑤養殖ブリの在池尾数の増加(前年比130%)により相場安が予測されている。こうした有利商材を上手に活用して売上げ、利益を確保しよう。

「子どもの日」企画

子どもの日は、5月3日から5月7日までの5連休のちょうど中日。手巻寿司を中心とした寿司たね訴求は、子どもの日が最大ピークとなるが、この5連休は連続して売場展開をする。子どもたちの大好きなサーモンを中心に見た目かわいく、カラフルで楽しい演出をする。

生サーモンは度重なる相場高により、売価は昨年同時期と比べても相当高くなっているが、値頃を押さえながらも価値の感じられる商品にするように注意する。サーモンの他に、マグロ切り落とし、マグロたたき、養殖マダイ、寿司エビ、イクラしょうゆ漬け、厚焼き卵などの品揃え。関連商品としては、寿司酢、のり、桜でんぶ、大葉、ブロッコリースプラウトなどを展開。

サーモンたっぷり海鮮手巻寿司セット3、4人前(1680円)

「母の日」企画

今年の「母の日」は、子どもの日と同じ週ではなく翌週となる。母の日の仕掛けとしては子どもたちで作ることのできる(手のかからない)「海鮮カレー」「海鮮丼」などがおなじみだが、一番具現化度が高いのは寿司関連。鮮魚部門の寿司を展開する店舗は握り寿司、惣菜部門のみの店舗は手巻寿司セットやちらし寿司セットの提案。それに加えてサラダ、刺身といった生食用途の提案。今年もカーネーションに見立てたサーモンの花造りを添えた刺身盛り合わせやサラダセットを展開し、売場を華やかにする。

母の日刺身。サーモンでバラをあしらった4種盛り。1パック1480円
サーモンたっぷり海鮮サラダセット(1480円、生サーモン、スモークサーモン、イカ、タイ)

「かつお祭り」企画

GWが明けて、市場も落ち着きを取り戻しているころ。毎年、この時季は生カツオを中心に生魚丸物の流通が活発化する。生カツオの入荷が順調であれば、生カツオを主力に売り込む。

生カツオが入荷不順の場合は、解凍カツオ、解凍カツオたたきの拡販をする。解凍カツオ相場がかつてないほどに高騰しており、売りにくい環境だが、スライス、切り落としなどで値頃販売、もみ盛りなどで付加価値販売する。

トレンド商品

ノルウェー産生サーモン

夏以降は少しずつ相場下落予想もあるが、夏までは水揚げが少なく、高値推移が確定的。生サーモン刺身用サクの店舗での販売売価は異常な高値となっており、100g当たり598円~698円と高値で販売している店舗が多い。普段の販売は厳しいが、「ひな祭り」などイベント時は強く、動きが良い。5月においても子どもの日や母の日は売れることが予測される。高値に惑わされることなく積極的な拡販が必要。

生サーモンサラダセット
生サーモン花造り。1切れ10g×5切れで1輪のバラ

相場下げ予測の養殖ブリ

養殖池の在池尾数は昨年比130%と増えている。夏場の販売の中心となる2年魚はラウンド(原体)サイズ3.0kg~4.0kg。浜値は㎏1100円~1150円程度。刺身用サクの売価は今後の相場傾向としては横ばいか、やや上げの状態だが昨年の同時期と比較すると約2割高となる。

売価的には、売り出し時で100g当たり398円がぎりぎりのところ。通常売価は100g498円。産卵後の夏場のブリは身が弱く変色、変質が速く売りにくいといわれてきた。十数年前辺りから2年魚を「夏ブリ」「若ブリ」といったコンセプトで出荷されるようになり、夏場でも販売強化する企業、店舗が増えてきた。

2年魚であるため、適度な脂はあるもののしつこくなく、食べやすく海鮮サラダなど生食メニューに最適だ。養殖ブリの原料相場は少し下げ傾向とはいえ、依然としてまだ高値域にある。生寿司やサラダ系商品は付加価値も高く、相場高騰、原料コストのアップ分を吸収しやすい企画なので、積極的に拡販。夏場のドレッシングとしては、ワサビじょうゆや塩レモンなどがお勧め。料理サンプルとして写真の「養殖ブリ」と「かんきつ系(写真は缶詰のハッサク)」とのコラボレーションもお勧め。子どもたちに大ウケすること間違いなし。

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