和菓子の日を生かし、父の日につなぐ、小麦粉高騰で米粉に注目|「これは押さえたい」菓子・スイーツ編・2023年6月

2023.04.24

トルティーノ代表 中村 徹

昨年2022年の6月新型コロナウイルス感染者数はさらに減少し、停止していた海外からの観光客受け入れが団体ツアーに限って解禁された。また円相場が東京市場で一時1ドル=135円台前半に急落し、およそ24年ぶりの安値を付け、その後の円安基調の始まりとなった。この影響で輸入価格が高騰し、食品やエネルギー関連の値上げの要因の1つとなった。

曜日回りは土曜日4回、日曜日4回と通常の曜日回りで、今年も同様であるが、水曜減の金曜増となるので0.5%程度の増収要因となるであろう。

6月は梅雨の時季であるが、昨年は関東甲信越で6月6日頃梅雨入りし、速報値では6月27日に関東甲信と東海、九州南部で、梅雨明けしたとみられると発表された。梅雨期間としては観測史上最も短い14日間であった(のちに梅雨明け時季は「特定できず」と訂正)。また6月25日に群馬県伊勢崎市で40.2度を観測し、6月の全国観測史上初めて40℃台を記録するなど早くも夏本番の暑さが到来していた。

6月は月を通して梅雨で雨が降りがちであるが晴れれば初夏もしくは真夏の暑さとなる。マスクも自然と外れ、より日常に近い生活に戻っていくであろう。菓子関係の催事カレンダーを見てみると、毎月の催事日である6日(火)手巻きロールの日、15日(木)菓子の日、19日(月)シュークリームの日、22日(木)ショートケーキの日など菓子関係の日が多く存在する。曜日回りからいうと月曜日に当たるシュークリームの日は週末から絡めて売り込むチャンスになる。

6月は梅雨のジメジメとした時季となる。今年の3カ月予報では6月は東日本、西日本の太平洋側では天気は曇りや雨の日が多く気温は平年並みか高い予想がされている。降水量はほぼ平年並みの予想となっている。

23年の春は異常な高温で桜の開花も異常な早さであった。これを考えると6月も昨年同様かなり気温が上がる日が出てくるのではないだろうか。人の動きは4月時点で新型コロナウイルス第8波はほぼ終息し、5月8日には2類相当からインフルエンザと同じ5類へ変更される予定なので、昨年に比べれば対面などの復活で人流はさらに増加するであろう。また、引き続き円安傾向と防疫策緩和に伴って海外からの旅行客も増加するであろう。

総務省家計調査の「<品目分類>1世帯当たり年間の品目別支出金額,購入数量及び平均価格」を見てみると、品目別令和3年年間の月別支出金額が掲載されている。菓子類の6月を見てみると、年間平均金額に対し夏型の菓子が本格的に動き出している。例えばようかんが59.1%、ゼリーが148.7%、プリンが105.3%、アイスクリーム・シャーベットも128.8%と伸びている。これらの商品群のトレンドを見るために「令和3年年間消費金額/平成12年年間消費金額」を計算してみると、他のようかんが88.8%、ゼリーが98.7%、プリンが106.1%、アイスクリーム・シャーベットが133.5%となっている。

これらを考えてみると伸びが落ち込んでいないゼリーや伸びているプリンなどを仕掛け、催事の和菓子をしっかり押さえておくことが必要となる。

6月の和洋生菓子系は16日和菓子の日、18日の父の日といった催事をしっかり押さえつつ、この他の小さな催事のポイントもしっかり押さえていくかということが必要になると思う。

和菓子の日

6月16日の和菓子の日の由来は平安時代までさかのぼる。西暦848年(嘉祥元年)6月16日に厄除けなどを願って16個の菓子や餅を神前に供える「嘉祥の儀式」が行われ、これを起源とした「嘉祥菓子」の習慣が江戸時代まで続いた。明治には廃れてしまったこの日を全国和菓子協会が「和菓子の日」として制定して和菓子の文化の普及と後世まで伝えていく日とした。

もともと嘉祥菓子は16個の菓子や餅であるが、数が多すぎて食べるのも大変ということで、江戸時代には1と6を足して7個の菓子「七嘉祥」とし、現在は嘉祥菓子というと7個の菓子で構成されることが多いようである。歴史と共に色々と変化してきた嘉祥菓子であるが、現在ではほとんどスーパーマーケットでは販売すらしていない廃れた催事日であるが、こういった日にスポットライトを当て続け和菓子の拡大に努める必要がある。土用のうなぎも恵方巻ももともとはそんな大した由来などなかったが販促として集中することで定着していったものである。

現代ではまず和菓子の日ということを定着することから始める必要があるが、時季が梅雨真っ盛りということもあり、指数の高い水ようかんタイプやわらび餅、水まんじゅうなどを訴求したい。由来などは後からついてくるので「6月16日は和菓子の日」と大々的に訴求し、なるべく面をとってベーシックなもので良いので展開していきたい。

和菓子の日イメージ

父の日

6月の第三日曜日6月18日は父の日である。父の日には「お父さんが好きなスイーツ」としてチーズケーキ、モンブラン、あんみつ、プリンアラモード、ロールケーキなどさまざまな個食スイーツを訴求したい。コンビニスイーツ系の品揃えをきっちり行い、選びやすい展開が必要となる。

父の日は父親の年代にもよるが一般的にはトレンドの先端を行く商品よりもベーシックな商品を選択するべきであろう。その中でも少し高級感の出るものを品揃えしたい。早い会社ではこの時季はボーナスシーズンに入ってくるので少し良いものの需要も高まることが予想される。

ゼリー

6月に指数が大きく上がってくるのはゼリーになる。先に述べた通り年間平均比148.7%と高くなる。5月比でも122.6%と高くなる。これから7月をピークに8月まで指数が高い月が続くのでしっかり訴求する必要がある。

ゼリーの主力はレトルトタイプではフルーツタイプとなる。売れ筋はミカン、白桃、黄桃、マンゴーなどである。これらをしっかり品揃えするとともに売場面積をしっかり取って訴求したい。

コンビニデザート系のゼリーはソーダ味やメロン味など菓子系のものも多いので季節感に合った品揃えにしたい。またプリンの指数もやや高いが、今年は高病原性インフルエンザの影響が残り鶏卵不足が続くと予想される。鶏卵を使った本格的なプリンは品不足が予想されるので卵不使用プリンでいかにカバーするかが重要である。

ゼリーイメージ

売場展開

6月の売場展開のテーマは梅雨と本格的な夏へと向かっていく時季である。旬の果物としてはメロン、アメリカンチェリーやビワ、スイカが旬となる。特にスイカはこの時季から急激に市場に出回るのでカットフルーツとスイーツなどで関連販売を実施したい。また毎月同じであるが、旬のフルーツと洋菓子や和菓子、ゼリーやフルーツヨーグルトの関連販売は継続したい。旬の時季である「メロン祭り」などは農産カットフルーツ、カップデザートなどで実施したい。

トレンド商品

米粉

6月20日に小麦粉の業務用価格が値上げされる予定である。大手ニップンの値上げ幅は、パンなどに使われる強力系小麦粉が25kg当たり税別で235円、中力・薄力系は140円。国産小麦100%の小麦粉も30円引き上げられる。輸入小麦粉価格はロシアのウクライナ侵攻後高騰しており、今回の政府売り渡し価格の値上げも昨年対比105.8%程度になる。

ここで脚光を浴び始めているのが「米粉」である。まだ小麦粉よりは高い水準であるが、小麦粉のグルテンアレルギーがある人や低GI食品を求める人に好まれているが、一般にも食感もモチモチして独特なところなどが受け入れられて米粉のロールケーキなど新しい分野になりつつあるので要注目だ。また使い方によってはサクサク食感もできるのでクッキーやカヌレといったスイーツにも使用できるので幅広い使用法が期待できる。