18日父の日を確実に成功させ、7月の半夏生、土用の丑を視野に準備固める|「これは押さえたい」鮮魚編・2023年6月

2023.05.15

エバーフレッシュ研究所 堀内幹夫

近海物が年間で最も豊富な月であるため、主力商品についてはSKU展開、メニュー訴求をし、量販につなげる。

マアジ、イワシ、生スルメイカ、イサキ、生ギンザケ、新物トキサケ、活サザエ、生アユ、生カツオ、近海マグロ(近海生本マグロ〈メジマグロ含む〉、生キハダマグロ)など。 

初夏型生魚丸物(生カツオ、アジ、スルメイカ、イサキ他)など旬魚を使った単品造りや旬鮮盛りの販売を強化し、利益を確保する。

6月は翌月(7月2日)は半夏生。モーリタニア産冬漁好調との情報もあり、相場的にはいまのところ前年並みか多少の下げ予測。SKU作り(足、スライス、ブツもしくは切り落とし)の拡大と売場のフェーシング確保で売上拡大。今年はタコキムチ、タコポキなどの他、バジルソース、メニューにもチャレンジ。

7月に「土用の丑」を迎える「うなぎかば焼き」にとって重要な月。平日は中国産、週末は国産を中心に拡販。「切れているうなぎ」の動きが良いので積極的にチャレンジする。予約うなぎの準備を始める。遅くとも7月1日からは予約販売の展開スタート。

6月15日(木)は「年金支給日」。年金支給日は、プチぜいたく商品の提案と塩ザケなど超売れ筋商品の買い得メガパック提案の2本立てで展開。

6月18日(日)「父の日」の成功。父の日は、マグロ尽くし、多品種少量刺身、貝盛り合わせや酒のさかな(つまみ)や、うなぎかば焼き提案。

夕方の商売強化。近海魚の刺身化となると夕方が中心になる。人手が不足しがちな夕帯の作業だけに、できるだけ効率の良い商品仕様にする。

うなぎかば焼き

今年の状況と対策としては、国産が高騰、販売苦戦が予想される状況の中、中国産の売り込みが必須。ただし単価ダウンには十分に注意。国産1匹の金額で、中国産がほぼ2匹買える、といった中国産の割安イメージ訴求で2匹、3匹買いを誘う。

付加価値商品(新仔訴求、生からの店内焼きや地うなぎの訴求)。数は少なくても、こだわり商品の導入でプレミアム感の演出と単価アップを狙う。

簡便商品(うなぎ握り、うなぎ太巻き寿司、うな丼、うな重、うなぎわっぱ飯、うな玉丼、ひつまぶしセット)の強化。昨年もうな丼、うな重やひつまぶしセット(ライス付き)やうなぎ寿司、うなぎ太巻セットなどが多くみられた。年々、拡大一途である。手間はかかるが、事前に訓練、準備し本番に備える。

うなぎ寿司とうなぎ太巻きのセットの商品企画例。他にもひつまぶしセットやうな玉丼などを水産部門で展開する企業、店舗が増えている
カットうなぎの商品化例。カットうなぎも年々、増えている。削ぎ切りや平切りによるカットうなぎも多くみられる。ひと昔前は、カットうなぎを提案しても全く売れなかったが、最近は簡便の時代もあってか動きが良い
うなぎの匂い出し。うなぎのたれを染み込ませたコンニャクを使った匂い出し。ホットプレートで温めるとすぐ焦げ臭くなるのを防ぎ、長時間匂い出しが可能になる

アフリカ産蒸しタコ

7月2日(日)は半夏生。相場状況としては、産地(アフリカ・モーリタニアなど)での水揚げ順調、前年比に比べ数量大幅増加。ただ円安による相殺が危惧されたが、為替も少し落ち着き、売りやすい環境になることが予測される。今年の相場環境からすれば、昨年比120~130%以上の売上目標を立て販売計画を作る。

大きいサイズはスライス中心、小さいサイズは切り落とし、ブツ切り中心に拡販する。頭付きなので頭をどう処理するかが値入確保のポイント。基本、頭も食べておいしい部位なので、足と同価値と考えた商品作りをお勧め。

今年のお勧めはバジルソース。アフリカ産蒸しタコの北海道産タコとの食感の違いなどを訴求して売り込む。中華ドレッシングやワサビドレッシングも良いが、中でお勧めはバジルソース。

商品規格。バジルソース(小袋)を添えた商品とバジルをかけた商品。関連でメーカーのバジルソースを売りながらのメニュー提案もお勧めだ

売場展開例

「父の日」企画  

6月18日(日)は父の日。17日(土)・18日(日)の週末は、父親への感謝を込めてごちそうメニューの提案。売り込みのメインは刺身商材や寿司商材となるが、中でも養殖本マグロ中とろは欠かせない。本マグロ中とろを入れた盛り合わせ、本マグロ中とろや本マグロ赤身などを盛り込んだ「マグロ尽くしセット」などの提案。他には養殖マダイ、ヒラメなどの白身商材や生ウニなどを盛り込んだごちそう刺身、そしてアワビ、ホタテ貝柱、トリガイ、アカガイ、ホッキガイ、ツブガイなどを盛り込んだ貝盛り合わせ。刺身、寿司以外ではうなぎか焼ばき、アユの串焼きなどもお勧め。

商品規格。「父の日刺身盛り合わせ(中とろ入り)1パック980円。酒のさかなに最適な少量多品種盛り
「父の日貝盛ろ合わせ1パック980円。貝刺身は手間がかかるが、写真の規格は左上のホッキガイ以外は外部加工商品で商品作りも簡単

トレンド商品

原材料、包材コスト高騰の中での商品価値の点検

食材の原価高騰、包材コスト高騰の中、原価を下げるため、低コストのトレーへのシフト傾向がみられるが、逆効果になってないか。食材の原価高騰により売価が高くなったにもかかわらず、包材コスト削減による見栄えの劣化で商品価値を損なっていることはないか。包材コストをかければ良いというものでもないが、コスト削減ありきのみで進むと間違うこともある。売価に見合った商品価値をどう形成していくかを考えながらのトレー選択になってほしい。

アニサキスの潜む魚種が拡大! アニサキス対策を再確認!!

6月は近海魚や旬魚の出回り時期だが、アニサキスへの注意を強調したい。今年に入ってから4月中旬までの宮城県内ではアニサキスによる食中毒事故が多発しているという報道があった。報道ではアニサキスが潜む魚種が拡大しており、マグロ、アジ、キンメダイ、ヒラメ、イワシ、スズキ、カンパチ、マダイ、ヤリイカ、ブリ、ソイ、サバなどで発生しているという。

東北においては、まだ生カツオが本格的漁獲シーズンでないため、生カツオが含まれてないが、いずれ生カツオもリストに載るであろう。いままで比較的アニサキス事故のなかったマグロやヤリイカまで対象となれば、養殖魚以外のほとんどの魚種が該当するといって良い。残念だが一度冷凍するなど、決められたルールに則って確実に遂行するしかない。アニサキス対策、再度確認して事故のないようにしたい。