年末「際」に向けて相場安予測のカニを戦略的に仕掛ける|「これは押さえたい」鮮魚編・2023年10月

2023.09.08

エバーフレッシュ研究所 堀内幹夫

本格的に秋物が出そろう時季。生サンマの入荷が安定するのは10月か。生牡蠣も出荷が始まる。天然ブリの身質も良質化する時季。さらに主力商品の相場環境も変化しつつある。

年末商戦に向けて相場安、あるいは相場の上げ止まりが予測される商品が増えてきた。年末「際」商品であるボイルタラバガニ、ズワイガニ、ケガニも3割程度の相場安が予測されている。年末商戦を見据えて、いまからどのように売りを作っていくのか販売政策が重要となる。

相場安の中では無策のまま安易に販売していると単価ダウン、売上げダウンにつながることもある。10月、11月は年末商戦成功のための重要な時季となる。

盆商戦の動きをみても新型コロナの影響が薄まり、コロナ前の状態に復活する可能性が大きい。特に秋のバーベキュー、鉄板焼き商材の提案強化。北海道以外は、年間でバーベキュー、鉄板焼きに最も適した時季。今年のバーベキュー、鉄板焼き提案の総仕上げとして提案のレベルアップを図る。

今年は10月7日(土)~9日(月、祝日)が3連休。10月10日(火)は「まぐろの日」であり、10月7日(土)~10(火)まで仕掛ける。週末はメバチマグロ、キハダマグロだけでなく、年末商戦を意識し、解凍本マグロも加え、販売を強化する。

10月21日(土)の土用入。22日(日)は秋の土用の丑。週末はうなぎかば焼きの拡販。相場高の中、苦戦が予測されるが、中国産を中心に仕掛ける。1匹1000円を超えないハーフやスライス(カット)うなぎの販売を強化し、売上確保。

10月31日(火)のハロウィーン。企業によって温度差があるが、年々、ハロウィーンに関心を持つ家庭が増えつつある。28日(土)、29日(日)の週末中心に仕掛ける。販売、提案の中心は「サーモン」。刺身用サクだけでなく、サーモン尽くしセットやサーモンたっぷり刺身盛り合わせ、寿司盛り合わせ、サーモンサラダセットなどサーモンにかかわる商品の販売を強化する。

「鍋物セット」「鍋物材料」の展開をスタートする店舗が増えるが、本格的展開は11月から。導入時はつみれ、すり身、貝類の拡販。セット物は野菜なしセットが主流となる。

マグロ切り落とし特集

期間は10月7日(土)~10日(火)。10日(火)は「まぐろの日」。おかずマグロのキハダマグロ、メバチマグロは相場も落ち着いて売りやすい状況が続く。ここに来て輸入(養殖、解凍)本マグロも相場安となりつつあり、年末商戦に向けて朗報だ。

おかずまぐろのキハダマグロ、メバチマグロだけでなく解凍本マグロも久しぶりに売り込みをかけたい。今回、切り落としをテーマにしたのは、料理をするのに手間がかからない上に刺身、マグロ丼、マグロユッケ、手巻き寿司など用途が広いことにある。さまざまなメニュー、用途を訴求、提案しながら、売りにつなげる。解凍本マグロ、メバチ、ビンチョウマグロの切り落としをセットにした「マグロ切り落とし3種盛りセット」などもお勧めだ。

3連休! バーベキュー、鉄板焼き特集

期間は10月7日(土)~9日(月、祝日)。紅葉の時季、気温は高くも低くもなく、河原や海辺で行うバーベキューパーティは最高だ。生秋サケなど秋の旬魚も投入して秋の味覚を楽しみたい。

バーベキュー商材は冷凍魚が多く、冷凍ケースでの販売の方がお客にとって保存の面でも賞味期限の面でも安心で便利。ロスを気にせず大量陳列ができるので店舗の方でも展開が容易だ。

今回は、冷凍ケースでのばら販売を中心に提案してみた。一部、活サザエ、生アユ、生秋サケなど生系商品は冷蔵ケースで販売するか、下氷を敷いた平台展開などでの販売がお勧めだ。

鍋物シーズン到来! 「鍋物特集」

展開時季は10月下旬以降。10月も下旬になるとほとんどの地区で朝晩の気温が10℃を下回り、ホットメニューが食べたくなる。そろそろ鍋コーナーの立ち上げ時季だが、本格的な鍋シーズンには少し早く、やり過ぎはロスを招く。サケ類、タラ類の鍋用切り身は必須。

手間はかかるが、できれば骨取り、鍋用小切れで訴求したい。鍋セットが本格的に動き出すには、まだ少しかかると思われるので、セット物の陳列量などには十分、注意する。

サーモンが主役! ハロウィーンパーティ!!

期間は10月28日(土)~31日(火)。今年もハロウィーンがやってくる。今やバレンタイン商戦をしのぐマーケットといわれるハロウィーン。何もしないのはもったいない限り。どうしてもなじめないのであれば「サーモン祭り」として展開してはどうか。子どもが主役の祭りだけに子どもが好みがちのサーモンを前面に打ち出し、売場をオレンジ一色に染める。幸いにもチリ産サーモンは相場安となることが予測されているので量販にもチャレンジしたい。

サク、スライス、切り落としだけでなく、サーモンたっぷり手巻き寿司セット、サーモン尽くしセット、サーモンサラダセットなどで売場を賑やかに演出しよう。

トレンド商品

にわかに活気付く「カニ類」

今年の6月ごろ、普段は取れないオオズワイガニが北海道日高沿岸で大豊漁となりニュースを賑わせた。この話題性もあってスーパーマーケット企業では、カニを扱う店舗が増え、扱うカニの種類も増えつつある。

米国がロシアからの輸入禁止措置を取ったことによって、日本への搬入が増えたロシア産ベニズワイガニなどを盆商戦に売り込んだ企業、店舗もみられるようになってきた。

ズワイガニ、タラバガニが今年は安いとはいえ、平常の商売の中では高単価で売りにくい。年末際にはズワイガニ、タラバガニが販売の中心になるものの、年末商戦までの平常においては、割安なアブラガニ、ゴールデンキングクラブ、ベニズワイガニなどの販売にチャレンジしてはどうか。

少し気が早いが、年末のカニ商戦の話をすれば、今年は米国内の高値による需要減退、ウクライナ戦争の影響で、米国がロシアからの輸入禁止措置を取ったことによって日本への搬入が増えた。ズワイガニ、タラバガニ共に相場が下がっている。昨年比3、4割程度の相場安となっている。ケガニも同程度安くなる見込みだ。

今年のカニの販売施策としては、普段の日は割安なアブラガニ、ゴールデンキングクラブ、ベニズワイガニなどの露出を高め、カニへの関心度を高めながら、年末際のズワイガニ、タラバガニにどうつなげるかが重要と考える。

ロシア産紅ズワイガニを量販する売場展開例

生牡蠣(生牡蠣むき身、殻付牡蠣)

スーパーマーケットの牡蠣提案は長い間、むき牡蠣中心、海水パック中心の展開が続いた。しかし、この1、2年、少し流れが変わりつつある。1つは殻付牡蠣のバーベキュー提案やレンジ提案が増えたこと。さらに無水牡蠣、水切り牡蠣が増えたことで売上げトレンドが変わりつつある。

写真は昨年の売場展開例。今年もむき牡蠣の海水パックだけでなく殻付牡蠣や水切り牡蠣などの強化、そして牡蠣の酒蒸し、アヒージョ、あぶりなど料理メニューにおいてもさまざまな料理用途を提案強化したい。

売場展開

一昨年までと違い、水切り牡蠣を中心に据えた牡蠣売場展開。週末などを中心に殻付牡蠣を提案する。殻付牡蠣のポイントは調理方法(扱い方)と食べ方提案が重要になるということ。