正月、受験の2大対応しつつ、人流の回復と生活防衛意識の高まりを認識|「これは押さえたい」グロサリー編・2024年1月

2023.12.01

フロントオフィス企画代表 近藤 智

2024年1月は、昨年と大きな違いが2つある。1つは23年5月に新型コロナウイルス感染症の法的位置づけが2類から5類になったこと。もう1つはインバウンド需要が回復して、旅行や買物行動が活発化し、活気を取り戻しつつあることがある。

しかし、食料品の相次ぐ値上げと実質賃金の伸び悩みなどで家計の支出額は減少傾向であることを再認識しておきたい。具体的には23年9月以降、原材料価格の高騰などで消費者物価指数が8%以上も大幅に上昇している。

加工食品のカテゴリーとしては菓子類、油脂・調味料、飲料、穀類の価格が高騰した。中でも、輸入原材料やエネルギー関連費用の高騰でカレールウが26.3%、マヨネーズが23.1%の上昇となった。このような未曾有の値上げ状況下、24年の年頭に当たり、2つのことを認識しておきたい。

1つは昨年8月の実収入は前年同月比6.3%の減少になったこと。実質の減少は11カ月連続で消費者は「生活防衛意識」がさらに高まっている。もう1つは小売業界でプライベートブランド(PB)商品はじめ低価格商品の訴求で価格競争がさらに強まると思われることだ。

1日(月、祝)から8日(月、祝)までの変則第1週。8日が「成人の日」で変則期間になるが、昨年よりも明るくしたい1年の始まり。売場演出として縁起の良い赤、緑、金、銀を基本色にしたい。活気を出すためにも初売りでは縁起物の開運福袋を訴求。寒さが厳しくなるので温かメニューを訴求提案したい。

9日(火)から14日(日)までの第2週は、体調管理に特に注意したい時季。大学入試の受験生のいる家庭では本格的な受験シーズン突入モード。本人だけでなく家族もコロナ、インフルエンザはじめ、風邪予防に細心の注意をする時季。一般家庭用にも鍋物やスープなどのホットメニューを訴求展開したい。

15日(月)から21日(日)までの第3週は、寒さが増してきて乾燥する時季であるため、この時季は昔から蜂蜜でのどを守っていたことを提案したい。また、携帯しておくと便利であるため飴なども訴求したい。さらに、保湿クリーム、リップクリーム、肌着など衣食住全体で寒さ対策の提案を実施。

22日(月)から31日(水)までの変則第5週。販売態勢の強化が今年のポイント。具体的には節分を前に「恵方巻」の予約販売やバレンタイン態勢の確認をする。地方によっては花粉の飛散現象もみられ、過敏な人にとっては花粉症の症状が出始めるころ。機能性の高いマスク、のど飴など早めの予防態勢の提案を強化する。

グロサリー

迎春のくつろぎに伝統の日本茶!!

年間の日本茶の売れ行きは5月の新茶の時季と年末年始の販促で決まるので機会ロスをなくしたい。ペットボトルの茶飲料展開とは別に、色、味、香りが楽しめる伝統飲料としての日本茶を新春第1弾として訴求。

アプローチとして正月の家庭のだんらん用、お客のもてなし用、さらには受験生用の風邪予防策としても訴求。また、用途として煮出してうがい用にも使える低価格商品、徳用袋の品揃えもしたい。

重点商品

福岡県八女の玉露茶はじめ、迎春ということで「金粉入り緑茶」を訴求したい。機能性を追求したティーパッグ式の煎茶やほうじ茶などで若い人向きにも訴求。

簡単便利でおいしい温か「粉もん夜食」!

冬の手作り簡単、温か「粉もん」メニューを受験生の夜食やホームパーティ用として訴求。メニューとしては、お好み焼き、大阪焼き、もんじゃ焼き、モダン焼きと呼ばれているお好み焼き類、たこ焼き、明石焼きと呼ばれているたこ焼き類、その他にイカ焼きや韓国チヂミがある。

また、子どもに人気のホットケーキ関連販売の売場づくりを。さらに、広義での粉もんとして焼きそば類もあることからカップ麺も関連として展開したい。

重点商品

日清製粉の新商品の3種だしのお好み焼粉はじめ粉類だけでなく、関連の青のり、桜エビ、カツオ節などの食材はじめ、ヘラ、竹串などの日用雑貨も併売したい。カップ麺として、日清食品の新商品のカップヌードル謎肉まみれ、東洋水産の新商品の緑の天ぷらうどんなど。

がんばれ受験生! 身も心もホットに!

受験生にとっては心身ともに温まるメニューでこの時季を乗り越えたい。飽きがこないように、和風、洋風、中華風、韓国風、エスニック風の「5風」で訴求。和風は鍋物中心となるが鶏肉とシイタケのおかゆなど。洋風ではクリームシチュー、ビーフシチューなど。中華風では体を温めてくれるトウガラシを使った四川麻婆豆腐のもとなど。韓国風ではキムチ関連食品がある。エスニックではトムヤンクンの温かスープなどを訴求。

重点商品

レトルト調味料やシチューのもとなどをメイン訴求。トウガラシを使った麻婆豆腐のもと、キムチのもと、トムヤンクンスープのもとなど。関連販売として「おかゆのもと」も。

気軽に香り豊かなコーヒーブレイクを!

職場や家庭での「ホッと」なコーヒータイムを訴求したい。既に挽いてあるレギュラーコーヒーを中心に、インスタントタイプも併売して、客単価アップ策につなげる。

し好性の高い商品の販売原則は、①目立たせること、②新商品を選択肢に設定すること、③POPで香りや味の商品特徴を訴求することである。生活シーンに応じてカップ式で手軽に飲めるなど機能性へのこだわりも訴求したい。

重点商品

ネスレではゴールドブレンド香り華やぐ、スターバックスハウスブレンドなど。AGFでは新商品のブレンディ毎日の腸活コーヒーや「ちょっと贅沢な珈琲店」シリーズなど。さまざまな生活シーンに対応したスティックカフェオレタイプ、ドリップパックスペシャルブレンド、ボトルコーヒーなど。

菓子

どこか懐かしい味! 人気の故郷菓子!

品揃えのポイントとして、都会に戻る正月の帰省客に照準を合わせ、日常的に定番として品揃えしている菓子はじめ、年始だけの品揃え商品も訴求することがある。普段は口にしないもの、珍しいものをアピールする。地場商品として「こだわり銘菓」、しかも比較的低価格の買いやすい商品を訴求して、懐かしさやうんちくなどで親子や職場での会話が弾む旨をさりげなくアピール。

重点商品

うなぎパイ、鳩サブレ、一六タルト、かるかん、ようかん、黒棒、黒糖かりんとう、もみじ饅頭、八つ橋、吉備だんご、飛騨駄菓子、南部煎餅、カステラ、丸ぼうろ、芋けんぴ、生姜せんべいなど地方にはおいしいものが数多くある。

受験勉強お疲れさま! 受験生応援セール!

大学入学共通テストが1月13日、14日だが、正月明けからこの日までロング展開。桜餅、桜エビ入りせんべいなど、合格の「桜咲く」にあやかった「縁起もの」を、ユーモアを交えたPOPで訴求する。

また、バラエティ性を訴求するためにチョコレート、スナック、和菓子、せんべいなどカテゴリーを広げ、選ぶ楽しさを訴求。さらに、気分転換だけでなくのど飴など風邪予防など健康面からも応援したい。

重点商品

この時季定番となったネスレでは「キットカット大人の甘さ」シリーズやカカオ72%など。亀田製菓では合格してハッピーになれるように「ハッピーターン」シリーズ、チロルでは合格にご縁があるように「ごえんがあるよ」など。岩塚製菓ではバンザイ山椒、桜えびかきもちなどを訴求したい。

一念発起のシェイプアップにプロテイン!

正月のごちそう尽くしで、ダイエットが気になりだす人、一念発起でシェイプアップを目指している人も多いはず。そこで、人気上昇中の手軽に食べやすいプロテインバーを訴求。

品揃えや訴求ポイントとなるキーワードは安価で手軽、おいしさに加え、「食物繊維」「糖質カット」「ミネラル豊富」「ビタミンB群」などの商品特徴をPOPで案内。同時に関連商品として栄養補助食品も展開する。

重点商品

アサヒグループ食品では1本満足バープロテインシリーズやシリアルシリーズ、森永製菓ではinバープロテインシリーズ、UHA味覚糖のSIXPACKプロテインバーなどシリーズで展開。

寒さと乾燥への予防策! のど飴フェア!

北風と乾燥に悩まされるこの時季、バッグの中や家庭、オフィスの机の引き出しに必須となるのが「のど飴」。ノンシュガー系、素材系、健康訴求系、スティックタイプなど豊富に品揃えして選択の幅を広げる。

さらに、ビタミンCをはじめショウガ、蜂蜜、梅、ユズ、ミント、黒糖、ユーカリエキス、お茶カテキンなどを含む人気のキャンディをボリューム展開。

のどの潤いを保ち風邪予防に役立つ機能や、気分展開にも重宝することなど、POPで案内して買上率を高めたい。

重点商品

扇雀飴本舗のはちみつ100%のキャンデー、緑茶のど飴、ノンシュガー梅干し習慣キャンデー、森永製菓のinのど飴りんご味、糖質90%オフのど飴、黄金糖のカロリー40%オフのシュガーレスのど飴、ノーベル製菓のVC-3000のど飴シリーズ、カンロ飴の健康梅のど飴たたかうマヌカハニーなどを訴求。