1年の初めに改めて防災用品を見直す|「これは押さえたい」日用品/雑貨編・2024年1月

2023.12.15

1月の定番の商品・売場についてはこちらの月別対策をご覧ください。

トータルプラン 横島宏一

今月のピックアップカテゴリー「防災用品」

「地震、雷、火事、親父」。昔の怖いものを並べたことわざである。現代では、親父の権威は強調されなくなり、地震、台風、洪水、異常気象といったところではないだろうか。

日本は、もともと「地震大国」ともいわれ、自然災害の多い国である。1995年1月17日に起きた阪神・淡路大震災と2011年3月11日の東日本大震災によって、防災に対する意識は高まり、防災用品コーナーは、年間を通した定番売場となっている。

また、最近では異常気象が続き、台風や豪雨、河川の氾濫などの被害が出たことも記憶に新しい。自然災害の発生件数と被害は、増加している。そして、それは、特定の地域で起こることではなく、どこの地域でも、誰にでも起こり得ることなのである。

自分たちの身を守るのはもちろん、防災用品を通して、お客の安全を守ることも小売業の使命ではないだろうか。

防災用品の種類

防災用品は、大きく分けると次のような種類がある。

①避難用品、避難生活用品…被災時に避難する時に持ち出すものとその後、避難生活をするときに必要なものがあり、避難生活は3日程度の準備が必要といわれている。

②災害ごとの準備用品…地震や家事、水害、雪害など、それぞれの災害ごとに必要なもの。

避難用品、避難生活用品は、共通のものが多いが、幼児、子ども、女性、高齢者など個別に必要なものもある。また、暑さや寒さ、雨などの気象によっての必需品もあるので注意したい。

避難用品、避難生活用品

災害が起こり、避難時に持ち出すものを避難用品、被災後に数日間を生活するためのものが避難生活用品である。避難生活のためには、3日程度を想定して食料や飲料を準備するとよいといわれている。

避難用品、避難生活用品は、どの災害にも共通で、防災用品の核となるものである。そのため、防災用品の中心は、これらの避難用品である。阪神・淡路大震災や東日本大震災以降防災の意識が高まり、多くの人はこれらの基本的な用品を備えるようになった。

しかし、避難生活用品には、備蓄品と呼ばれる食料や飲料があり、これらには、賞味期限があるため、随時交換や買い替えが必要になる。

交換すべき商品は、食料だけでなく、乾電池なども使用推奨期限があり、一般的に5~10年である。カセットボンベは、約7年と言われている。そこで、「避難用品の見直し」の提案を実施。

この避難用品の提案をすべきタイミングとしては、阪神・淡路大震災の起きた1月や東日本大震災の起きた3月、防災の日の9月、そして、地域で起きた災害の月などが効果的と考えられる。過去の災害を思い出して、今後の備えにつなげるためである。

防災用品は、新しい商品が発売されており、便利な商品もあるので、新商品の提案も行いたい。最近では、防災用ポータブル電源が人気である。ソーラーパネルなどによる充電方式もある。電源の確保は、スマートフォンが普及した現在では、情報収集や連絡手段として欠かせなくなってきている。モバイルバッテリーも欠かせないアイテムだ。

火事災害

火事は、冬のイメージが強いが、最も多く発生するのは3月である。12月より徐々に発生件数は増えていくので、12月から3月の「春の火災予防運動」にかけての提案を行いたい。

06年6月1日に新築住宅への設置が義務化となり、11年以降には既存住宅への設置も義務化された一般用住宅の火災報知器。すでに10年以上たち、乾電池式火災報知器の乾電池の使用推奨期限を過ぎている場合がある。交換の提案も行いたい。

地震災害

地震対策用品としては、家具を固定したり、窓ガラスの飛散を防止したりするシートなどになる。提案のタイミングとしては、避難用品と同じく、阪神・淡路大震災の起きた1月や東日本大震災の起きた3月、防災の日の9月と地域で起きた地震の時期に提案する。

豪雨災害、水害

最近多いのが、ゲリラ豪雨、台風などによる河川の氾濫や一時的な豪雨による浸水である。夏から秋、台風の発生しなくなるころまで対策が必要である。

商品としては、水の侵入を防ぐ土のうや止水板、水をかき出すデッキブラシや水切りワイパー、長靴やレインウウエア、ブルーシートなどである。

最近では、土のう袋ではなく、水のう袋も発売されている。土のう袋は、土が必要だが、水のう袋は、水で浸水を防ぐ土のう袋の代わりとなる。

降雪災害

雪による災害は、普段あまり降らない地域に降ったときに被害が大きくなる。特に、交通や停電なども考えられるので、避難用品の提案も欠かせない。

雪対策としては、スノースコップを中心に、カー用品、水栓の凍結防止用品、防寒グッズなどが考えられる。

テレビなどで凍った道での転倒が話題になるが、最近では、靴や長靴の上から装着できるゴム製のスパイクなども販売されている。

近年、アウトドアブームによって、アウトドアコーナーの展開も多くなっている。アウトドア用品は、災害時にも避難用品として使えるグッズが多くあり、「災害時にも使えます」といった情報提供をしている売場も多い。防災用品売場にあるものだけが防災用品ではない。定番位置などにも展開して、防災用品としての意識を高めたい。

防災用品は常時展開されるようになってきたが、同じ売場でいい訳ではない。避難用品をベースに、季節や時期によって災害対策を提案して、売場をリフレッシュすることも大切である。また、便利な新しい商品も発売されているので、便利で良い商品は提案することが小売業の使命でもある。