「鍋」「寒魚」「ブリ」「牡蠣」が4大テーマ、鍋は変化提案、激減の牡蠣需要の盛り上げを|「これは押さえたい」鮮魚編・2024年1月

2023.12.18

エバーフレッシュ研究所 堀内幹夫

正月商戦(元旦~3日)は、刺身盛り合わせ、寿司盛り合わせの勝負の3日間。くれぐれも年末在庫の消化にならないよう鮮度・品質に注意する。年々、正月ムードは短期化しているので正月ハレ商材の深追いは禁物だ。

1月8日(月)は成人の日。成人の日当日よりも前週末6日(土)、7日(日)が狙い目。テーマ「家族で祝う成人の日」。1月13日(土)、14日(日)は大学共通試験日。新型コロナウイルスだけでなく風邪対策としてショウガ鍋、ショウガじょうゆで食べるメニュー提案。今期の冷凍カツオは相場高で苦しい展開だが、のっけ盛やスライス販売で活路を見いだす。

1月18日(木)は冬の土用入り。中国産が販売の中心となるが1匹1000円を超えない商品規格のハーフ、スライスなどの販売強化。

1月20日(土)は大寒。1月6日(土)小寒から節分の前日2月2日(金)までは、「寒」の付く魚の販売強化。寒ブリ(天然、養殖)は年間で最大の拡販期。1月の「ブリ(養殖、天然)」は、年間で最も脂が乗りおいしい時季であり、売上げ、利益を左右する重要な商品。

「鍋物」が最大ピーク。「大寒」と暦が示すように年間で最も寒い時期であり、鍋物の最大需要期。ロングランの展開でも飽きさせないめりはりの効いた売場展開や変わり鍋、洋風鍋にもチャレンジする。

1月下旬には春物商材一番手の春摘みワカメ、湯煮品の拡販。1月後半には春物商材が徐々に登場してくる。生魚丸物では、生ニシン、ヤリイカ、サヨリなどの入荷が増えて来る。旬魚として刺身化も含めて販売強化。

1月は「鍋」「寒魚」「ブリ」「牡蠣」が4大テーマ

洋風鍋(ブイヤベース)

鍋の展開はロングラン。鍋に飽きたら洋風鍋と変わり鍋へと変化提案。洋風鍋はまずはブイヤベースの提案。「ブイヤベースを楽しんだ後は、パエリアで2度、おいしい」の提案。ブイヤベースになじみのない人もいるので、料理サンプルや料理レシピを準備し、「ブイヤベースのもと」など関連販売を実施する。

海鮮しゃぶしゃぶ4種盛りセット

しゃぶしゃぶといえば、タイしゃぶ、ブリしゃぶなどがメジャーであるが、単価が高くなり過ぎる欠点がある。写真は、カニカマを中心として養殖ブリ、ブランチングタコ、生ワカメの4種盛りセット。カニかまぼこはしゃぶしゃぶにするとおいしいとの評価もあり、単価も低く抑えることができて、お勧めだ。

 「天然ブリvs.養殖ブリ」企画

天然ブリは寒さの中で脂が乗って、まさに最盛期。一方で養殖ブリの方も高度な管理の中で品質は安定し、かつ相場安のため、売りやすい環境となっている。

それぞれにおいしい時季ではあるが、刺身用スライスやお造りなどは、養殖ブリの方が変色が遅く有利。逆にブリ大根セットなどは天然の方がうま味が多くお勧め。天然ブリはラウンド(原体)で納品されることが多く、頭、骨などでボリューム感が出せ価値訴求しやすいメリットがある。

「寒魚」は3魚種に絞っての展開

「寒魚」が訴求できる期間は、1月6日から2月2日まで4週間ある。寒魚総出の展開は難易度が高く、魚種が多過ぎると売場がごちゃごちゃし、分かりづらい売場になる。刺身系商品と加熱系商品が一緒に陳列されると見栄えと鮮度感的にマイナスとなりやすい。週末などは総花的な展開だけでなく、3魚種程度に絞り込んでローテーションを組んで展開することをお勧めする。次の展開図は、寒ブリ、寒タラ、寒サバの3魚種に絞った売場展開例。

トレンド商品

今後の相場動向からしばらくは相場安商品が増える局面と考えるが、その状況をどう活用するか。相場安となった分、おしなべて原価にスライドさせ売価を下げるのか、相場が下がり値入高が増えた分、これぞという売り込み商品の売り込み原資として活用し、売場を活性化させるのか。良く考えて1月の商売を組み立てよう。

生牡蠣

2019年の牡蠣の消費支出は、00年以降で最も消費支出が大きかった01年と比べても47.9%の水準にまで落ち込んでいる。生牡蠣の消費浮上のヒントは牡蠣小屋やオイスターバーにある。新型コロナウイルス以前には、オイスターバーや牡蠣小屋で殻付き牡蠣の消費が高まった。オイスターバーや牡蠣小屋の予約用のチラシをみると、生牡蠣の網焼き、牡蠣フライ、牡蠣の酒蒸し、牡蠣のバターソテー・牡蠣の炙りなど多くの牡蠣料理を提案している。この数年、スーパーマーケットでも定番の海水パックだけでなく殻付き牡蠣や無水牡蠣などが出回り、電子レンジやオーブンを使ったメニュー提案も増えている。最需要期の1月、さらに販売を強化したい。

殻付き牡蠣のメガパック販売