節分後は春の売場に「桃色」売場に変化を付けて需要を喚起|「これは押さえたい」鮮魚編・2024年2月

2024.01.12

エバーフレッシュ研究所 堀内幹夫

春物商材の導入の一番手は、「春摘み(早採り)ワカメ」から・。春摘み(早採りワカメ)など海そう類、続いてボイルヤリイカ、ボイルイカリングなど「湯煮品類」を売場拡大。「冬の売場」に、春物商材が入ることで売場は煩雑になりがちだが、春物商材を積極導入する。

節分(2月3日)は今年は土曜日。毎年のことながら節分は1日勝負の1発勝負。リスクはあるが、計画の精度を上げて挑む。販売メインは「手巻き寿司セット」、サブで「恵方巻セット」。手巻き寿司セットは、棒状(スティック型)だけでなく平切り、切り落としタイプのどちらでも可能、柔軟に対応する。

鮮魚の「恵方巻セット」は割安感を訴求。高単価になりがちの恵方巻の完成品と比べ、鮮魚部門の「素材セット」は割安になること、安価でありながら本格的海鮮恵方巻が楽しめることを訴求する。コトPOPなどの役割が重要になる。新型コロナウイルス前の話だが、有名な成功事例として砂抜きアサリの試食販売がある。ある企業は節分の日当日に1店当たり200~300kgをマネキンによる試食販売をで販売し、完売。売上げは20万~30万円に上った。今年あたりから有人試食販売を本格的に始める企業も増えると予測される。

2月15日(木)の「年金支給日」は、対象者が65歳以上の年輩者が多いだけに鮮魚部門にとっては、またとない販売チャンス。ちょっとぜいたくな刺身、寿司提案と普段使い商品(主力A商品)のメガパック(徳用袋等)を訴求。特に、最近では塩サケ、塩サバ、ホタテ貝柱、うなぎかば焼き等の買い得袋、メガパックが売れている。

また、2月~4月は、マダイの旬と需要増が重なり、養殖マダイが年間でも最大の拡販時季となる。2月は合格祝い、3月は卒業祝い、4月は新入学、新社会人と、人生の節目となる重要な行事が続く。最大の需要期として対策を考えたい。相場的には厳しい状況だが、アイデアに富んだ商品企画で勝負する。

売場展開

節分が終わったら季節は春。春色→桃色商品→湯煮品(ボイル物)を売り込む。アフリカ産蒸しタコ、ボイルヤリイカ、ボイルイカリング、ボイルサラダエビなど春色→桃色の商品を集めて売場展開。蒸しタコは、相場的には苦しい状況だが、味付け販売や値頃販売に徹して売り込みを強化する。

桃色売場❶

中心はアフリカ産蒸しタコ。足、ぶつ切り、スライス(切り落とし)、ぶつ切り+野菜味付け各種。昨シーズンはコンビニでブロッコリー、ジャガ芋、アフリカ産蒸しタコをバジルソース、粉チーズとあえた「タコバジル」が大ヒットした。

スーパーマーケとでも足やタコぶつなどの素材系よりも、味付けの方が動きが良い事例が増えている。今年は、春先からタコバジルなど味付けタコの販売を強化してはどうか。単価の低い野菜とミックスすることでかさ増しできて値頃感も押さえやすい。

桃色売場❷

ボイルヤリイカ、ボイルイカリングと続く売場。用途としては、そのままからし酢みそなどであえる、野菜と炒める、煮付けるなど広い。

ボイルホタルイカの品揃えも考えられるが、初期は解凍物での対応となる。また今年、元日の能登半島地震によって、ホタルイカの漁模様に変化があるかもしれないので注意。

桃色売場❸

殻付きボイルエビ、ボイルサラダエビが次に続く。そして色目(桃色)はいったん途切れるが、生食用ベビーホタテ貝などが続く。

殻付きボイルエビ、ボイルサラダエビ、ベビーホタテ貝は、サラダ、あえ物など生食用途として、そのまま使えるだけでなくみそ汁や炒め物などにも使え、こちらも用途が広い。

桃色売場❹

最後にボイル物ではないが、カニかまぼご各種が続く。この数年、静かに、深く、鮮魚売場に浸透しつつあるのがカニかまぼこ類だ。

色目は赤く、ボイル商品をさらに引き立てる。こちらも生食用途としてサラダ等に使えるだけでなく、鍋物、しゃぶしゃぶなど加熱用途として使え、用途が広いのが特徴。

トレンド商品

春の生珍味&酒の肴(つまみ)特集

既存の生珍味(メーカー商品)とインストア製造の生珍味、およびイカ製品等を組み合せての「生珍味&酒の肴(つまみ)特集」企画。提案の棚割りでは均一のフェーシングになっているが、売れ筋が明確に分かっている場合は、フェーシングのめりはりを付けて展開する。今回の企画は1パック298円規格としたが、売れ筋については小、中、大などのSKU規格の作成、あるいは2パックバンドルなどもお勧めだ。

春の魚卵祭り(塩タラコ、辛子明太子)

塩タラコ、辛子明太子の料理用途は広い。定番のおにぎりなどの他にパスタや鍋、卵焼き、パーティメニューのカナッペなど用途は多様。必要とする量も用途に応じてさまざまだ。

ミニパックから特大パックまでSKUを拡大し、必要な量が買い求められるようにする。ミニ~大パックまではユニットプライシング。1パック当たりの値頃を決めて内容量を調整する。

特大パックは買い得感のある定貫(定額)販売にする。棚割りでは小パック中心に、フェーシングを拡大しているが、売れ数(人気)に応じた修正が必要。そもそも、辛子明太子と塩タラコの比率がこれで良いのかも疑問だ。全国的な傾向として辛子明太子は西日本で強く、塩タラコは東日本で強い傾向だが、最近では辛子明太子が全国的に優勢となりつつある。

「解凍カツオvs.解凍カツオたたき企画」売場展開例

生カツオが出回る前のこの時季、冷凍カツオ、冷凍カツオたたきは廉価で買い求めることのできる貴重なおかずとなる。最近の売れ筋としては、節(サク)ではなくスライス、切り落としが主力となっている。他には野菜といっしょに盛り込んだサラダ風セットやのっけ盛りなども付加価値商品として販売強化する。