ひな祭り、新生活の春の売場と同時にまだまだ続く寒さも忘れずに|「これは押さえたい」グロサリー編・2024年3月

2024.01.26

フロントオフィス企画代表 近藤 智

2024年の食品値上げ動向、消費者物価指数の上昇、物価高はいつまで続くのか。帝国データバンクの昨年11月30日時点での調査では、今年1月から4月までに値上げ予定の食品は1596品目。昨年同期は6785品目だったので76.4%減となる。

消費者物価指数について、生鮮食品を含めた582品目の総務省の調査データによると、年間15回以上購入する食料やガソリンなどの「頻繁に購入するもの」の44品目の上昇率が9月は9.1%、10月は8.3%、11月は6.4%と下がってはいるが生鮮食品を含めた全体の上昇率の2.8%を大きく上回っている。高頻度購入商品群の価格上昇は家計の圧迫感に直結することを認識しておきたい。

2月26日(月)から3月3日(日)の第1週。桜前線、春一番など春のニュースが飛び交うころになる。この時季恒例だが、異動転勤の家庭は引っ越しの荷造りグッズの需要が増える。食に関しては三寒四温でちらし寿司、鍋物など春と冬のメニューが混在する季節であるため、臨機応変の売場づくりがポイント。

3月4日(月)から3月10日(日)の第2週。まだ新型コロナウイルスやインフルエンザが心配で、多くの人がマスクをしている中、特に花粉症の人にとっては外出そのものが苦痛となるころである。黄砂やPM2.5対策で目薬を常備している人が散見されるころでもある。うがい用にも重宝するペットボトル入り緑茶類や喉あめなどの需要が増えるころでタイミングよく商品訴求したい。

3月11日(月)から3月17日(日)の第3週。陽光がまぶしくなるころ。「暑さ寒さも彼岸まで」といわれる春分の日を次の週に控え、生活モードが大きく変わる節目の時季となる。食品では桜餅、ぼた餅、柏餅など彩り豊かな和菓子の需要が急上昇し、食卓が明るくカラフルになる。ピンク色を基調としたうきうき感のある春の売場づくりに努めたい。

3月18日(月)から3月24日(日)の第4週。新入学、異動転勤の人がいる家庭は新生活の準備が完了するころ。小中学校など春休みに入り、昨年と違いピクニックなどの外出や職場の花見などでアルコール飲料、菓子類、サンドイッチや弁当、オードブルの盛り合わせなどの需要が一気に大きくなる。予約の販売態勢の強化がポイントとなる。

3月25日(月)から3月31日(日)の第5週。桜前線が一気に北上する。POPなど売場のイメージカラーを桜色で統一して、春のうきうき感の演出がポイントとなる。

進級、新入学、異動転勤など、新生活スタートをハレ食材で演出することを提案。併せて手土産の菓子類の品揃えやホームパーティ用の予約販売の事前準備の徹底がポイントとなる。

加工食品

健やかな成長を願ってひな祭りパーティ!

わが子の、わが孫の成長と健康に感謝しつつ、これからの健やかな成長を願って3月3日は桃の節句、「ひな祭り」の日。老若男女共に人気のちらし寿司で食卓をカラフルに、かつ華やかなホームパーティを提案しよう。

また、この時季は卒園、卒業、進級などの祝いごとも続く。うきうき感を演出するため売場づくりはピンク色を基調としたい。

例えば、桜の枝付き造花などを飾り付ける。さらに、エンド最上段には「ひな飾り」を備え付け、注目度、関心度を高めたい。

重点商品

食材として、ちらし寿司のもと、吸い物、吸い物用小玉麩(手まり麩)、寿司酢、錦糸卵、タイでんぶ、かんぴょう、乾燥シイタケ、刻みのり、和風パスタ類、赤飯のもと、ミカン缶詰、サクランボ缶詰、菱餅など。

飲料として、白酒、甘酒、炭酸飲料、カルピス、各種ジュース類など。関連販売として、道明寺粉で作る本格和菓子の桜餅、一般菓子としてひなあられ、桜餅なども同時訴求。  

お待たせ! 春野菜メニュー満喫フェア!

待ちに待った春野菜がオンパレードになるころ。ベジタリアンのみならず、旬の野菜を使ったメニューレシピを提案訴求したい。ポイントは食べ方、楽しみ方の提案POPのある売場づくり。

例えば、新玉ネギ、新メークインジャガ芋、アスパラガス、トマト、スナップエンドウなどを使ったサラダメニューがある。炒め物メニューとして春ピーマン、早生キャベツを提案。

その他、あえ物にホウレンソウ、彩りにグリンピース、デザートにイチゴの博多あまおう、デコポン、甘夏、グレープフルーツなどがある。

重点商品

サラダメニューでは玉ネギドレッシング、深煎りゴマドレッシング、すりおろしオニオンドレッシング、フレンチドレッシング、イタリアンドレッシング、中華ドレッシング、ゴマ油&ガーリックドレッシングはじめ、健康志向商品として低カロリーのマヨネーズ、ノンオイルドレッシングなど。

炒め物メニューでは、健康志向ということでコレステロールゼロのキャノラー油。関連商品としてアマニ油、エゴマ油など。デザートのフルーツ用にフロストシュガーなどを展開。

春の旬の味を楽しもう! 和食フェア!

部門は違うが、いままで臭いで敬遠されてきた商品の中でも納豆などは最近、急激に人気が出てきた。海外からの訪日客の目的の1つに、和食を堪能することが挙げられることが多くなっている。ますます、欧米を中心に日本食や日本の食材が見直されている。

そこで、日本国内で日本食材、日本食を見直すべく、カテゴリーごとにテーマを決め、和食の食材を拡販したい。具体的には発酵食品類、農産、海産乾物類、米類、お茶類を品揃え訴求したい。和食メニューレシピと共に提案することがポイント。 

重点商品

発酵食品ではみそ、しょうゆ、甘酒がある。みそは地元のローカルブランド商品と全国に流通しているナショナルブランドに分かれる。さらに、米、麦、豆などの材料別、塩分濃度などの健康志向別、パックや袋、チューブ入りなどの容器別など、用途に応じて分類して訴求したい。

しょうゆは濃い口、薄口などの用途別に分かれる。甘酒は「飲む点滴」ともいわれるぐらい、伝統的な健康志向の飲料である。

農産乾物では高野豆腐、麩、くず粉、大豆、小豆など。海産乾物ではヒジキ、のり、寒天、昆布、ワカメなど。米類ではブランド米はじめ、玄米、米ぬか、大麦など。お茶類では煎茶はじめ玉露茶や抹茶、昆布茶などを展開。

がんばれ新生活! スタートダッシュフェア!

新入学や新社会人として単身生活がスタートする本人、また、その人たちの親などに訴求したい。訴求ポイントは栄養のバランスと規則正しい食事で生活のリズムをつかむこと。新たに単身生活に入った人は偏った外食や欠食になりやすいといわれている。ポイントは簡単便利で重宝する自活応援をテーマに売場づくりを提案すること。

重点商品

単身生活の必須アイテムとしてパックご飯、無洗米、各種レトルト食品、カップスープ類、フリーズドライのみそ汁類、サバ缶などの魚缶、蜂蜜、野菜ジュース類、スティック式コーヒーなど。その他、常備しておくと重宝なカップ麵類やインスタント麺類、レトルト合わせ調味類などを訴求展開。

菓子

ひな祭り! ホームパーティに春の菓子!

ひな祭りのメインの菓子は「ひなあられ」だが、ホームパーティを盛り上げるために一般駄菓子も品揃え訴求したい。春の色である桜色を基調とした売場をつくり、訴求力を高める。具体的にはパッケージ、袋がピンク色系、赤色系の商品でまとめて品揃え訴求。

重点商品

ひなあられは必須で、定番売場の中のピンク色系、赤色系のパッケージの商品群をピックアップして選別して陳列訴求したい。カテゴリーはスナック、クッキー、ビスケット、チョコレート、キャンディ、こんにゃくゼリー、各種ポケット菓子、グミなど。

おばあちゃんの知恵! 寒さ撃退伝統菓子!

昔からショウガは体を温めてくれるといわれている。そこで、まだ冷え込むこの時季、ショウガを材料にした菓子を提案したい。売場づくりのポイントは幅広い品揃えで品目をなるべく多く展開して、まとめ買いを提案し、買上点数を上げることである。

重点商品

ショウガせんべい、ショウガおこし、ショウガ黒糖、ショウガクッキー、ショウガかりんとう、ショウガけんぴ、ショウガ喉あめ、ショウガ砂糖漬け、ショウガドライ薄切り、ジンジャーチョコレートなど展開。

春のお彼岸の楽しみ! 伝統の和菓子フェア!

要冷蔵商品ではなく常温の菓子部門としても提案訴求したい。売場づくりのポイントの1つは売場の基調色。桜色、ウグイス色の敷布を使いエンドではなく、平台にて展開訴求したい。また、もう1つのポイントは茶器や一輪挿しなども添えて和の演出をする点。

重点商品

桜餅、ぼた餅、よもぎ餅、草餅、柏餅、どら焼き、カステラ、ようかん、破れまんじゅう、やどりぎ、栗ぼうろなど。

がんばれ新生活! しっかり・ちゃんと朝食!

売場づくりのポイントは栄養、規則正しい生活の提案をシリアル商品中心に訴求すること。また、牛乳や野菜ジュースなど、POPで他部門との関連訴求を強調すること。

重点商品

カルビーの機能性表示食品「食後の血糖値の上昇が気になる方へ」、ベイクドオーツなど。日本ケロッグの素材まるごとグラノラシリーズ。日清シスコのごろグラシリーズ。大塚製薬カロリーメイトシリーズなど。