1人暮らし対応は食関連をベースに|「これは押さえたい」日用品/雑貨編・2024年3月

2024.02.02

3月の定番の商品・売場についてはこちらの月別対策をご覧ください。

トータルプラン 横島宏一

今月のピックアップカテゴリー「新生活用品」

新生活用品は、かつては「入学用品」「引っ越し用品」など、それぞれの部門が単独で提案していた。しかし、「新生活を迎える」という大きなテーマにすることによって、店舗全体としての方向性が明確になり、お客への訴求効果も大きくなった。

インテリア、家電、文具、家庭用品、日用品などの「1人暮らし」「新入学」などのテーマを担うメイン部門は、売場も充実し、提案も行われるようになった。

最近の「新生活用品」が、大きなテーマとなった理由は、入学や就職で発生するニーズ(例えば、入学ならランドセルや机)だけではなく、その周辺や生活の変化、要因によって起こる行動のニーズなどを掘り下げて提案するようになってきたからである。

通勤や通学に必要な自転車、1人暮らしや引っ越し、入学する前の卒業旅行、母親の各種式への出席など、生活の変化となる要因を基に発生する行動に対するニーズを広げたことによって、幅広い商品提案ができ、文具や引っ越し用品などの限定した部門だけのテーマから総合的なテーマになってきているのである。

しかし、テーマが広がった半面、どのテーマを強調するべきなのかを各店舗が検討し、地域や商圏に合わせた売場づくりを行うことが必要だろう。

新生活用品のターゲット

新生活は、何らかの要因で環境に変化が起き、新しい環境で生活をスタートするために、今までの生活ベースでは不足する商品を買い求めなければならなくなり、ニーズが発生する。

その要因は、「入園」「入学」「進学」「就職」「転勤」などである。さらに、それぞれのターゲットの年齢層が、違うことにも注意しなければならない。

例えば、幼稚園への入園や小学校への入学では、入園、入学するのは子どもでも、購入するのは親や祖父母である。大学への進学や就職に伴う1人暮らしは、本人である若い世代の意見が尊重される。

新生活用品の販売動向

新生活用品の売場は、2月ごろから本格化する(ランドセルは、年々早まり、1年前から始める企業もある)。しかし、一様に全ての商品が売れるわけではない。売れる商品をタイミングよく展開するために、行事や行動様式から売場を拡縮して、効率よく展開したい。

入園、入学説明会が始まるのが、2月である。つまり、幼稚園や小学校の準備は、ランドセルや机などの象徴的な商品以外は、2月から始まるのである。このころの受験シーズンが終わると、卒業式や謝恩会など父兄の公式行事に出席することも多くなる。卒業生たちは、次の入学までの休みを卒業旅行や自動車免許取得などで過ごす。

3月には、1人暮らしをするために、引っ越しの準備を始め、引っ越しをする。引っ越し用品が必要であり、大型家電や家具などは、引っ越す前に買う場合も多い。1人暮らしを始める上で最初に必要になるのは、住空間の設備からである。照明器具やカーテン、カーペット、テーブルなどの部屋を構成する商品、冷蔵庫や洗濯機、掃除機、電子レンジなどの生活家電など、比較的大型商品から購入される。

そして、実際、部屋に住みだす4月になれば、さらに必要なものが思い出されるのである。トイレに行けば、トイレカバーやトイレットペーパー、入浴すれば風呂イスやスポンジが必要になる。さらに、これらを掃除しようと思えば、ブラシや洗剤が必要になってくる。これらの商品をいかに売場で思い出させるかが、点数アップにつながる。

「1人暮らし」を考える

新生活用品の中で、生活雑貨部門において最も多くのニーズが発生するのが「1人暮らし」である。

1人暮らしは、1つの生活環境が増えることである。単純に場所や空間が増えるだけでなく、いままで共有してきた、スペースやモノ、作業、行動から独立することである。いままで共有してきた場所(風呂、トイレ、洗面所、キッチンなど)や作業(炊事、洗濯、掃除など)が独立することで増えることになる。

家族で共有していた冷蔵庫、掃除機、洗濯機、電子レンジなどは、新たに必要になる。これにより、住関連商品のニーズが生まれるのである。

1人暮らしにはさまざまなケースがあるが、大きく分けると、①入学による1人暮らし、②就職による1人暮らし、③転勤による1人暮らしである。①と②は、生活者の年齢は、18~22歳くらいであり、③においての年齢はさまざまである。

従って、大学、専門学校などがある商圏の店舗においては、若者層をターゲットとしたカラー、テイストの商品を考慮する必要がある。基本的に、収入が少ない世代であるために、低価格の商品が好まれるが、安くてもセンスで商品が選ばれる。部分的にこだわりを持っている世代であり、それぞれファッションやセンスの感覚を持つ。

③の場合においても、すでに家庭を持つ単身赴任者の場合などは、2つの家を持つことになり、低価格商品を求める傾向にある。そのため、最近の1人暮らしを始めるのに便利な店として、100円均一ショップが利用されている。

1人暮らし商品の特徴

1人暮らしを始める上で最初に必要になるのは、住空間の設備からである。照明器具やカーテン、カーペット、テーブルなどの部屋を構成する商品、冷蔵庫や洗濯機、掃除機、電子レンジなどの生活家電など、比較的大型商品から購入される。

実際、部屋に住みだすと、さらに必要なものが思い出される。トイレに行けば、トイレカバーやトイレットペーパー、入浴すれば風呂椅子やスポンジが必要になる。さらに、これらを掃除しようと思えば、ブラシや洗剤が必要になってくる。これらの商品をいかに売場で思い出してもらえるかを考えること(関連販売や関連陳列)が、点数アップにつながる。

スーパーマーケット(SM)の1人暮らし商品へのアプローチ

部屋や家、生活全般の用品が必要になるため、ホームセンターや家電専門店、100円均一ショップなどでは、1人暮らし商品は大きなテーマとなり、販売につながりやすい。しかし、生活雑貨のスペースが狭いSMなどでは、どのようなアプローチをしたらよいのか。

SMに引っ越し用品を買いに来ようというお客は少ないはずだ。引っ越しの後、毎日の食品を買いに近隣の店舗を回るぐらいだろう。つまり、それは、これから新たな顧客になる人たちである。もちろん、主力である食品が中心であることは間違いない。

そこで、雑貨部門としては、

①キッチン用品をメインに提案する

②一般のお客も使える商品

③便利な商品

④ニッチなテーマを深堀する

⑤短期間でテーマを変化させる

などを心がけて、売場構成を考えていきたい。

1人暮らしのキッチン用品

キッチン用品として提案するのは、調理器具、テーブルウエア、消耗品である。

調理器具においては、通常の家庭が使用するサイズよりも小さめの商品を展開したい。フライパンは通常26㎝が一般的だが、1人では大きすぎる。鍋も片手鍋16㎝くらいのものや雪平鍋、ラーメン鍋などの提案を行いたい。

最近では、深型のフライパンでパスタをゆでるなど、鍋替わりに使う。また、お湯を沸かす、煮る、揚げると1台で何役もこなすマルチポットなどは、あまり調理器具を増やしたくない1人暮らしにはちょうど良い商品である。また、電子レンジ用の便利商品やキッチンばさみなど簡単便利に調理できるグッズを提案する。

テーブルウエアとしては、飯わん、箸、湯飲み、マグカップ、コップなど。

消耗品としては、ラップ、チャック式袋、台所洗剤、スポンジ、排水用ごみ袋、三角コーナー用ごみ袋、地域指定ごみ袋など。

1人暮らしのミニテーマ

1人暮らし用品は、キッチン以外にもさまざまなテーマが考えられる。

「春の掃除用品」として、粘着式クリーナーや浴室用掃除用具、トイレ掃除用具、浴室用洗剤、トイレ洗剤、芳香剤などで、コーナー展開する。

「入浴・リラクゼーションコーナー」では、ユニットバスや狭いスペースの浴室でも使い勝手の良い商品を品揃えする。シャンプーやコンディショナーも必要になる。家族で住んでいるときとは違ってパーソナルユースになるので、トレンドや効果、使い心地を優先した品揃えで選ぶ楽しさが伝わる売場にする。

「オーラルケア」は、3月〜4月にかけての時季が売れるピークとなる。新生活がスタートする時季であるため、虫歯や口臭に気を配ったり、会社や学校で使う歯磨きセットを買い替えたりとさまざまなケースの需要が考えられる。歯周病予防、美白、超音波歯ブラシなど、効果や使い勝手を重視した売場にしたい。

新生活用品は、1人暮らし用品に限らず、新しく入学、進学、就職など、生活環境が変化した人に必要な商品を提案できる。入学祝いや就職祝いなどのギフトの提案があったり、通勤や通学の手段が変わったり、通勤通学時間が長くなることで必要になったり、身だしなみやバッグなど変化によるニーズは多種多様である。

変化する生活におけるニーズを読み取り、特別な商品でなくても、欲しいと思う人に提案する売場であれば、新生活用品なのである。