前半は新生活のスタート、春野菜の訴求、後半は気温も上がり、ゴールデンウィークに向けた展開|「これは押さえたい」グロサリー編・2024年4月

2024.02.29

フロントオフィス企画代表 近藤 智

今年の4月の暮らしのたたずまいについては、昨年と違うことを再確認しておきたい。

昨年は新型コロナ感染対策の生活モードに入って丸3年が経過した時季であったが、2類から5類に緩和され、今年の春は心理的にも生活行動範囲が広がり、買物を含む外出の頻度が増えると予測される。

しかし、食料品の値上げが相次ぎ、節約志向がさらに強まるとも思われる。内閣府の昨秋の調査によると、「食品の値上げについて何割までならば許容できるか」では「1割まで」が38%、「1割から2割まで」が30%、「許容できない」が24%であった。値上げ対策での複数回答では「価格の安いものに切り替えた」が60%で最も多く、「外食を減らした」が42%、「購入量を減らした」が39%となった。

そこで、高頻度使用、高頻度購入の調味料類、飲料類、カップ麺などは競合店と価格の比較調査をしながら高くないようにして、自社のプライベートブランド商品などの訴求やメニュー提案訴求しながら買上点数が落ちないように工夫したい。

4月1日(月)から7日(日)までの第1週は、進級、新入学、異動転勤など新生活スタートの時季である。販促のポイントはハレ食材の品揃え訴求と予約販売の強化の2つがある。陽光につつまれ、桜前線が一気に北上する時季で、ワクワク、ウキウキするころである。売場づくりでは、春ならではの高揚感を出すために、POPなどイメージカラーを桜色で統一した演出がポイントとなる。

4月8日(月)から14日(日)までの第2週は、食卓ではタケノコ、タラの芽、フキ、新玉ネギ、新ジャガ芋、アスパラガスなどの春野菜を楽しむシーンが増えるころでもある。提案訴求ポイントは春サラダ、春の天ぷらなど春野菜を使った旬の味の打ち出しとなる。食品以外の変わり目として、気温が上昇し、紫外線が強く感じられる時季でUVカット、UVケアに関心が高まるころとなる。

4月15日(月)から21日(日)までの第3週。気温が20℃を超えて汗ばむ日も多くなり、一部の地方では早くも初夏モードへ突入するころとなる。食品以外でも制汗剤の品揃えなどデオドラント系の品揃えも強化したい。

緑茶、炭酸水などのペットボトル飲料のケース売りも含め拡販を徹底したい。また、新茶の予約で家庭用以外に会社などの業務用の需要も取り込みを強化したい。

4月22日(月)から30日(火)までの変則第4週。29日が「昭和の日」で祝日に当たり、ホームパーティ用のハレの日メニューや行楽用ニーズが高まってくる。この時季は新茶の季節でもあり、新茶と伝統和菓子の桜餅、柏餅、カステラ、ようかん、まんじゅう、だんごなど関連販売の強化をして機会ロスに注意したい。また、抹茶やほうじ茶、玄米茶などを使ったクッキーやチョコレートなども関連訴求したい。

加工食品

新生活! 朝食で1日のリズムづくりを!!

4月は新生活スタートの節目。その中で朝は1日のスタートの節目。学生、社会人も新生活がスタートする4月。学生は新入学や進級で、一般社会人は新入社や異動転勤で新年度を迎える。

活力の源泉は睡眠、栄養、軽い運動だが、朝食応援フェアで栄養面のサポート提案をしたい。朝食はややもすると、同じメニューでマンネリ化になりがちだが、和風、洋風をメインにバラエティを訴求する売場展開に努めたい。

具体的には、メニュー提案と飲料系の品揃え提案がある。さらに、値上げ状況下、生活防衛意識の高い消費者には米を炊き、おにぎりにして冷凍し、小出しに食べるという提案や、朝食で生活のリズムを作ることを提案したい。

重点商品

値上げ状況下、節約志向が定着しているため、品揃え訴求だけでなく価格訴求にも注意。和風系では米飯の各種ブランド米、パックご飯、各種ふりかけ類、フリーズドライみそ汁、味付きのり、瓶詰のりのつくだ煮、瓶詰梅干し、瓶詰ナメタケ、洋風ではポタージュスープ類、コンソメスープ類、飲料では各種野菜・果物果汁のペットボトル、レギュラーコーヒーなど展開。

旬を楽しむ第1弾! 春野菜で健康サラダ 

このころは春野菜が前面に打ち出され、旬の野菜を使ったメニューレシピで「おいしく春を楽しむ」というニーズが高まってくる。第1弾として春野菜でサラダを楽しむ企画を青果売場と連動させた売場づくりで訴求したい。

食べ方、楽しみ方の提案POPはもちろん重要だが、緑色をメインにカラフルで鮮やかな売場づくりとすることもポイント。例えば、スナップエンドウ、アスパラガスなどの緑色、トマトの赤色はじめ新玉ネギ、新メークインジャガ芋などを使ったサラダメニューを提案。

また、フルーツサラダとデザートを兼ねて、グレープフルーツ、デコポン、甘夏、博多あまおうなど青果売場と連動して昨年よりも訴求力をアップさせたい。

重点商品

サラダメニューとして玉ネギドレッシング、深煎りゴマドレッシング、すりおろしオニオンドレッシング、フレンチドレッシング、イタリアンドレッシング、中華ドレッシング、ゴマ油&ガーリックドレッシングはじめ、健康を意識した消費者にはノンオイルドレッシング、低カロリーのマヨーネーズなど。フルーツサラダ、デザート用にフロストシュガー、コンデンスミルクも同時展開。

旬を楽しむ第2弾! 春野菜で天ぷら!

第1弾の春野菜のサラダに続き、旬の味を楽しむ第2弾として、「春の天ぷら」を提案。素材の青果の売場と連動した売場づくりがポイントとなる。春野菜ごとの写真付きレシピ提案で買上点数が上がるように工夫をしたい。

具体的には、菜の花、ワラビ、ゼンマイ、タケノコ、フキノトウ、タラの芽、ウド、コゴミ、グリーンアスパラガス、ヨモギ、新玉ネギ、新ゴボウ、新ニンジン、新ジャガ芋、シイタケ、マイタケ、春菊などの他、水産物ではキス、桜エビなど、レシピPOPなどで関連コラボを強調した演出を実施。

重点商品

天ぷら料理はどうしても素材中心となるが、グロサリー部門として、調味料、天ぷら油をメインに油料理の後の飲料系などにも配慮した関連販売を強化。

具体的には、味の素のさらさらキャノーラ油、ヘルシーオメガバランス、ヘルシーグレープシードオイル、米油など。日清オイリオの揚げ物の吸油量を最大20%オフのヘルシーオフなど。てんぷらのつゆではヤマキのちょっと贅沢な匠のだし天つゆ、ヤマサのかつお一番だし天ぷら専科。飲料では油の吸収を抑えるサントリーの黒烏龍茶など。その他として、桜塩、抹茶塩などを関連して展開。

アウトドア派、ウキウキの行楽満喫週間!

新型コロナが昨年5月8日から季節性インフルエンザと同じ5類に引き下げられ、今年は心理的に行楽に出かける人が大幅に増えると思われる。家族や仲間とだけでなく、1人キャンパーとしてアウトドアを楽しむ人も定着した。

そこで、内食用にも、アウトドア用にも重宝する行楽食品を品揃え。ローリングストックとしての活用も提案する。

重点商品

やはり必須アイテムとして缶詰がある。イワシ、サバ、サンマなどの魚缶詰、牛肉、クジラ肉、焼き鳥などのおつまみ缶がある。パックご飯、ふりかけ類の梅カツオ、梅風味ヒジキ、ゴマ油風味ワカメ、塩昆布などがある。飲料としてはスポーツ飲料が必須となる。

菓子

新生活! 朝食で1日のリズムづくりを!!

シリアル商品の品揃えでは、フレッシュマンの朝食をルーテインとして提案して新生活と健康を応援したい。

ポイントは大袋の徳用袋入りや個食対応の小袋入りがある。乳酸菌やビタミン入り、鉄分強化、プロテイン含有など栄養バランスにも配慮。

重点商品

カルビーの「フルグラ」シリーズ、日清シスコの「ごろグラ」シリーズ、日本ケロッグの「オールブラン」シリーズなど。

やっかいな花粉症にお勧めキャンディ!

バッグの中、机の引き出しの中など、携帯と常備を提案。特に製薬会社や漢方薬専門店とのコラボレーション商品などを展開。

重点商品

救心製薬の喉にやさしい金銀花のど飴、春日井製菓ののどにスッキリのど飴、ノーベル製菓の各種VC-3000のど飴、カンロのたたかうマヌカハニー、和漢びわのど飴など。

春のスナック菓子、新商品フェア!

新入学、新入園の子ども関連や地域関連、職場関連などでちょっとした茶話会やホームパーティの開催が増えるころ。人気のスナック菓子の新商品を中心に訴求提案。

重点商品

期間限定だが、カルビーのポテトチップスしあわせバター、贅沢ショコラキャラメル味。山芳製菓の超刺激俺たちの推しのわさビーフ、マルタイラーメン味など。

親子三代に人気のハイチュウがHI-CHEWに!

売場展開:ハイチュウがグローバルブランドとして2月中旬以降順次「HI-CHEW 」になった。1975年に誕生していまではアメリカ、中国、イギリスなど30カ国以上で人気。ご当地商品をゴールデンウィークに合わせて展開。また、自店での売れ数ランクをPOP表示で訴求展開。

重点商品

北海道では夕張メロン味、東北では東北リンゴ、中国・四国では瀬戸内レモン味、九州ではあまおうのイチゴ、沖縄ではパイナップルなど一般用と土産用を品揃え訴求したい。