GWは分割型がメインか? 相場高うなぎと相場安解凍本マグロ対策、高値入商品への挑戦|「これは押さえたい」鮮魚編・2024年4月

2024.03.21

エバーフレッシュ研究所 堀内幹夫

4月は行事の多い月。人が動き、商売のチャンスが増える月。入学式、新学期、入社式、新社会人、花見、行楽、ゴールデンウィーク(GW)突入、ホームパーティなどの需要が見込める。

気候では、春も後半に差し掛かり後半は初夏型に。売り込み商品が変わるので注意が必要。養殖マダイ、アサリ、ニシン、サヨリ、ヤリイカから、生カツオ、アジ、サラダ、生食サラダ、うなぎなどへと変わっていく。

①マダイ、カツオたたき、タコ、海そう、貝類(アサリ、他)

②旬魚(生カツオ、アジ、サワラ、アカガレイ、サヨリ、ヤリイカ)

③サラダセット、生食(ボイル品)、うなぎ、焼き魚、行楽商品など

月の終盤はGWへ突入する。昨年、2023年のGWは19年並に人の動きが活発となり、バーベキュー商材が大きく伸長した。営業数値(売上高)的にはGW期間(4/27~5/6)同日比(鮮魚部門計)で都心型店舗は前年割れが多かったが、郊外型店舗は前年に対して2桁に近い伸びを示した。

昨年の好調商品は寿司、バーベキュー商材、加熱エビ、塩鮭鱒、うなぎ、イクラ筋子など。不調だった商品は刺身用サク類、生食鮭鱒、むきエビなどだった。

今年のGW対策

今年のGWは、4月27日(土)~29日(月、祝日)の3連休と5月3日(金、祝日)~6日(月)の4連休の分割型。4月27日(土)~5月6日(月)と10連休取得できるパターンも考えられるが、こちらは少数派となるか。
全般的に昨年は後半型。今年は前半と後半に分かれるセパレート型といえる。早く始まって昨年よりも1日早く終わる形。

バーベキュー対策は「焼きガニ」提案! インストアカットを含め提案強化!!

バーベキュー関連は、GW期間中を通して売場展開。手巻き、ちらし寿司など寿司を中心としたパーティ提案は、GW後半「子どもの日」を中心に展開。

今年のバーベキューメニューにはズワイガニ、タラバガニ、ゴールデンキングクラブ、アブラガニなどの「焼きガニ」提案を行いたい。プライスは1パック2980円~1980円。他には、いつもの殻付き牡蠣、片貝ホタテ、活ハマグリ、有頭アカエビ、つぼ抜きイカ、解凍アユの他に、串シリーズの品揃え。

原体を手切り(ぶつ切り)したボイルタラバガニ

トレンド商品

うなぎかば焼き

今年も昨年に続き相場高が予測される。昨年の傾向として、1人1匹ではなく、特大サイズ1匹を数人でシェアする形が増え、ハーフ、3分の1カットうなぎ、スライスうなぎの強化が求められた点が挙げられる。

また、相場が高く1匹当たり売価も高くなり、値頃から外れることから、うなぎの惣菜化による値頃販売、付加価値販売の強化としてうな丼、うな重、うなぎ寿司、う巻き、ひつまぶしセットなどを値頃販売で売る習慣化と商品化技術の習熟が求められた。

こうした商品は定着に時間がかかること、商品化の習熟にも時間を要すことから早めに着手する。

相場安「解凍本マグロ」の拡販

新物解凍本マグロの国内への搬入増に加え、国内在庫過多により一段の相場安が進み、前年比約3割安となっている。

平日は、同じく相場安が続くおかずマグロ(メバチマグロ、キハダマグロ)の売り込み、週末やGWは、解凍本マグロの拡販を本格化させる。

今年の盆商戦で販売メインになる商材だけに、いまから「盆商戦」を意識して味の良さ、鮮度を訴求しておく。品揃え(SKU展開)としてはサク、スライス、切り落とし、つま盛り造りなど。相場高時には厚み1cmのサクなど薄いサクも散見されたが、相場安の今となっては、1.5~2cmは欲しいところ。

また不成型サクについては、積極的にスライスや切り落しに回し、サクは形の良いものだけを販売する。その方が、サクをスライスなど二次加工する際も商品の見栄えが良く、結果として余計なロスを出さなくて済む。

いまや解凍本マグロでもスライス、切り落としが販売主力となっている

新たな高値入商品の発掘

高値入商品とは、具体的にはどれくらいの値入れをいうのか、という質問を良く受ける。決まった定義はないが、個人的には50%以上が基準と考える。たとえば値入率60%となると原価100円ものを250円で売るイメージだ。「そんな商品は本当にあるのか」と言われそうだが、かつてはあった。

9月下旬の生サンマ1匹80円くらいの原価のものを1尾分刺身にして298円で売る、生イカ1パイ120円を刺身にして398円で売るイメージだ(いずれも包材、消耗品を含んで値入率60%前後)。

残念ながら、現在ではサンマもイカも不漁続きで、そんなに値入れは入らない。しかも、アニサキス問題もあり、いったん冷凍にする作業が入り、店舗の刺身化へのモチベーションは下がりっ放しだ。

一方で、最近の高値入商品候補とし、「野菜とのコラボレーション規格」がお勧めとなる。一例を挙げると、「タコぶつ+キュウリ+バジルオイル」「サーモン(もしくはマグロ)角切り+キュウリ+ゴマ+たれ(ポキ丼)」などが該当する。図表に示したとおり、野菜とコラボレーションすることで、単価の低い野菜でのかさ増し効果がある。

原価としてはたれ、包装資材などがさらに加わるが、値頃追求、値入確保の自由度が格段に高まるだけでなく、簡便化、即食化の時代にも対応した商品と考える。

タコ+キュウリ+たれの「タコバジル」
サーモン+各種野菜+モッツァレラチーズ+たれの「サーモンサラダセット」