主力品目の他、突出した伸びのタケノコ、キウイフルーツの押さえが必要|「これは押さえたい」青果編・2024年4月

2024.03.04

2024.03.18

創風土パートナー 代田 実

4月は家計消費金額上位のトマト、イチゴに加え、初夏に向けて消費が伸びるアスパラガス、バナナなど主力品目の他、金額的には小さいものの、前月比突出した伸び率を示すタケノコが押さえるべき品目として挙げられる。

特にトマト、キュウリなど果菜類と、4月が年間最大の出荷量となる旬商材のタケノコ、ニュージーランド産の新シーズンが始まり急激に売上が伸びるキウイフルーツの押さえは重要だ。

これらの品目は商品状況に合わせた売場展開計画を組み、取りこぼしなく売上げを作りたい。そのためにも毎年微妙に出回り時季や出荷ピークを事前に情報収集し、それに合わせた売場計画を組んでいきたいものだ。

2023年4月の家計支出金額上位品目と前月比伸び率

出所:総務省家計調査2023年4月全国二人以上の世帯の支出金額
※10位以下は前月比伸び率の大きい品目のみを掲載

旬を迎える「冬春トマト」

夏野菜のイメージが強いトマトだが、周年出回るトマトには大きく分けて2つの作型がある。そのうちおおむね7月~11月に出回り、夏場に旬を迎えるものが「夏秋トマト」で、もう1つ12月~6月に出回る「冬春トマト」の旬となるのがこの4月~5月だ。

12月から出荷が始まる「冬春トマト」は、気温も低く日照の弱い冬場は収穫量も少なく、味もいま1つだ。それが4月~5月にかけ気温も上がると同時に日照も強くなることで、急速に生産量が増加して価格も下がる。まさにこの時季は冬春トマトの旬であり、売り込み時季であるといえる。

また、この時季は朝晩はまだ冷え込むことで1日の寒暖差が大きく、糖度が高くおいしいトマトが出回る時季でもあるので、入荷商品の味を確かめた上で「おいしいトマト」をPOPなどで訴求して販売していきたい。

また、売り方の工夫で単価アップを図ることも重要だ。味が良ければ消費量も増え、リピート購入に結び付くのはいうまでもない。そこで、いつもとは売り方に変化を付けて写真のような盛り売りを行い、おいしいトマトをたくさん食べてもらう販売戦略が有効だ。

多少、手間はかかるものの、トレーパックに緑の木の葉シートを敷くなどの工夫をし、比較的原価の安いばら物を仕入れることで売価を抑えると同時に、利益確保もできるのでチャレンジしてほしい。

まだまだ売れる「イチゴ」

家計支出金額は、年間最大の支出金額となる3月に比べると2割ほど落ちるものの、全品目中第2位の支出金額を維持するイチゴは年間で見ると3月に次いで4月の支出金額が2番目に大きく、まだまだ売れる時季であることが分かる。

例年4月は3番果のピークが来るが、その時季は産地の天候により前後するので市場入荷状況を見ながら、売りやすい価格のタイミングでは売場をしっかり拡大して売上げを取りこぼさないようにしたい。

一方で、気温が上昇するため、品質管理の重要性が増す。昨年4月も中旬以降、全国的に気温が上昇、品質が不安定となり販売商品の鮮度低下ロスも出て、売場縮小する店も多かった。

そんなときほど、商品品質管理を徹底して要冷販売、当日売り切りなどを徹底することで販売数を維持していきたい。

昨今では、中小粒果の売り込みが増えている。例年4月は後半に向かい価格の安い中小粒果が入荷増するので、それに合わせて2~4パック売りを強化し、販売単価を維持していきたい。

アスパラガス、ニンニク

家計調査の分類上は「他の葉茎菜」「他の根菜」に含まれ、目立たないものの、夏場にかけて国産が旬となるアスパラガス、周年出回る青森産に加えて、香川など他産地の新物が出回り始めるニンニクなど、料理メニューでも相性の良い食材を組み合わせて売り込むのもおもしろい。

特にアスパラガスは、ニンニクの他にもトマトやパプリカ、ブロッコリー、レタスなどのサラダ材料やマッシュルームなどのキノコ類などを組み合わせてメニュー提案しやすい食材が多い。売場前面で他品目との組み合わせ+メニュー提案をテーマに売場展開するとよい。

キウイフルーツ

家計支出が前月比2倍以上に急伸するのが、キウイフルーツとなる。これは国産が終了し、ニュージーランド産の新物が入荷、シーズンインするためだ。

特に今年は、昨シーズンのニュージーランド産の切り上りが早かったことに加え、国産も残量が少なく価格が高かったことから、ニュージーランド産の新物に期待したいところだ。

例年ニュージーランド産キウイフルーツはゼスプリ社からさまざまな品種、販売規格の提案があるので、自店に合った商品企画の組み合わせを見つけてほしい。

導入期にやっておきたいのは、自店に合った商品構成の仮説・検証だ。グリーン、サンゴールド、ルビーレッド、オーガニックなど品種が多い上に、ばらの各サイズ、袋、パック詰めと、ゼスプリのキウイフルーツの販売規格は多種多様だ。

その中から自店に最も合う商品構成を導入期に仮説・検証しておきたい。まずは自店で売れそうなSKUをできる限り品揃えし、売れ数予測に応じたスペース配分を行い、売場展開を実施。その結果をPOSデータで検証し、売れているSKUは拡大し、売れ数が伸びないSKUは縮小、またはカットしていく。

こうして自店の売場スペース、商品管理力に合わせたSKUに品揃えを絞り、最も効率的な商売を目指すことが望ましい。

短期決戦のタケノコ

例年4月に最も家計支出金額が大きくなるタケノコだが、近年は気候温暖化の影響もあって年々前進化する傾向が強い。いずれにしても短い出回り期間の中で、出始めるとあっという間にピークを迎え、気が付くと終了しているのがタケノコの商売だ。

そのため、同じ商圏の店舗間で売場展開のタイミングや方法の違いで販売実績に大きな差が出やすいのもタケノコの商売の特徴でもある。そのタケノコの販売実績を残すために確実に押さえたいのが「情報戦」「売場展開」の2つだ。

情報戦

4月になったら市場や産地の情報をできる限り収集し、産地ごと出回り始めのタイミングとピークを押さえ、それに合わせた販売計画を組むことが重要だ。

それに加えて対顧客「情報戦」も忘れてはならない。タケノコや青梅など、出回り期間が限られる商品は、売る側だけでなくお客側も、「今度買おうと思っているうち終了してしまう」ことがよくある品目だ。

産地情報を得たらすぐにPOPなどで「今年のタケノコ産地便り」を発信し、いつからいつくらいまで取り扱い、いつごろがピークで買い時かを告知すると良い。さらにこの情報に合わせた売場展開を行えば、お客はきっとその店でタケノコを購入してくれるはずだ。

売場展開

タケノコの売場展開の基本は、①目立つ場所でコーナー展開、②関連商品をしっかり併売する。この2つだ。

短期決戦となるタケノコの商売では、できる限り目立つ場所でコーナー展開を実施し、そこではいっしょに炊き込むことが多いフキや、調理の際、あく抜きに使う米ぬかやタカノツメをしっかり併売すること。

そして、何より重要なのは、鮮度を重視した売り切りの実施だ。タケノコは孟宗竹など竹の新芽(生長点)を食するため、収穫から時間がたつごと成長作用により身が固くなり、えぐみが生まれて食味が低下する。

それを防ぐ意味でも、できる限り早めに売り切ると同時に、買ったお客にも早めに調理してもらうように伝えることが大切だ。