秋の味覚と9月の行事、「体調・衣料・部屋」の3つの変化に対応|日用品/雑貨・9月の商品と売場

2022.08.10

2023.06.12

トータルプラン 横島宏一

「食欲の秋」「読書の秋」「スポーツの秋」「芸術の秋」「実りの秋」など、秋は活動的になる季節である。夏の暑さから冬の寒さへの過渡期として、快適な温度になり、過ごしやすい時期となるためである。

一方で、「実りの秋」ともいわれるように、果実が収穫され、木々は紅葉し、食欲や自然の美しさを楽しませてくれる。これらの環境の変化が行動につながりニーズとなっている。

しかし、最近では、秋が短く感じるようになってきている。夏の残暑が長期化したり、逆に、急激に気温が下がったりして、冬へと変化してしまうのである。

だからといって、夏物を売り続けても、それほど売れるわけではないし、冬物は導入段階であり、実売には早い。短い秋の売場の中で、タイムリーに商品を提案し、短期間に売場を変化させていくことが重要となる。

本格的な寒さの前に気温が下降しはじめ、暑さに慣れた身体が、涼しく感じるようになる。特に最近では、快適な気温の期間である秋が短くなり、一気に涼しさ、寒さを感じるようになってきた。

涼しくなったと感じ始めると、人は身体に近いものから変化させ始める。下着を厚手にしたり、半袖から長袖にしたり、コートを着るようになる。併せてアクセサリーやバッグ、靴などが秋冬物へと変化していく。次に、直接肌に触れる敷物や寝具、部屋のインテリア、空調へと移っていく。秋から冬への気温の変化に対応するための売場づくりを提案していきたい。

また、9月の行事としてメインテーマとなるのは、「敬老の日」である。その他、お彼岸、行楽、運動会、遠足、写生会などの地域、学校行事などさまざまな行事があるので情報収集のアンテナを張り巡らせ、タイミングよく提案する。

秋の味覚を楽しむ

「秋」といえば、「食欲の秋」「行楽の秋」「読書の秋」「スポーツの秋」など秋を表す言葉は、多くある。夏の猛暑から気温が下がり、人が活動しやすくなったことを表している。「食欲の秋」でいえば、夏ばてなどにより食が細くなった人が、活動的になり、より食欲が旺盛になる。また、秋は、「実りの秋」でもある。米や果実などの収穫の時期でもあり、「味覚の秋」でもある。このような時期には、旬の食材をおいしく楽しむための提案を行いたい。

秋の代表的な魚はサンマ。「サンマを食べる」をテーマに売場をつくりたい。このとき、通常の魚焼き器だけでなく、サンマという細長いサイズを意識したワイドタイプの魚焼き器を提案したい。

また、細長い魚をひっくり返すワイドターナーやトングなど便利な商品や魚焼きグリル用敷石や菜箸を提案する。

スーパーマーケット(SM)では、サンマの横で大根を販売していることが多いので、大根おろし器を展開する。また、盛り付け用としてサンマ用の長角皿を展開する。「調理する」だけでなく、「食べる」までの用品を展開し、材料があれば食卓に出せる品揃えを行いたい。

食欲が旺盛になる秋には新米が並ぶ。秋に収穫される代表的な作物が米である。SMの店頭で「新米」の文字が目に付くようになると、米に対する意識も高まる。米研ぎ器やライスストッカー、米用防虫剤、しゃもじ、ご飯用土鍋などを展開したい。

主な商品

魚焼き網、ロースター、おろし器、サンマ皿、米研ぎボール、ライスストッカー、米用防虫剤、しゃもじ、ご飯用土鍋、魚焼き器、ワイドタイプ魚焼き器、ワイドターナー、トング、魚焼きグリル用敷石、菜箸、大根おろし器、サンマ用長角皿など

体調の変化

コロナ以降、マスクを着けることが定着した。秋は特に急激な温度と湿度の下降により、その気候の急激な変化に体が付いていかないことで風邪をひきやすくなる。「風邪対策」を行う。また、湿度が低下し、髪や肌といった部分にも傷みや乾燥といった症状が起きる。乾燥対策として、スキンケアはこの時期からクリームが売れ始めるので、用途別に分け、パックやマッサージクリームなどの関連商品と共に展開する。

主な商品

マスク、使い切りカイロ、湯たんぽ、水枕、保冷剤、体温計、加湿器、空気清浄機、ヘアブラシ、ドライヤー、シャンプー、コンディショナー、リップクリーム、ハンドクリーム、フェイスパックなど

衣類、部屋の変化

温度が変化すると着る物が変化する。服飾衣類を扱っていない店舗でも、スリッパやサンダル、ソックスなどを扱っている店舗は多い。冬物商品の中でも、早く動き出すのは、これらの商品である。気温の変化とともに動き出すこれらの商品に注意し、冬物商品のスタートにしよう。

また、女性は、ブーツを履き始める時季でもある。靴のメンテナンス商品、消臭剤、シューズキーパー、靴用除湿剤などのフットケア商品の提案を行いたい。

冬物の衣類や布団を出したりするこの時季は、クリーニングに出してあった夏物を収納する時季でもある。押し入れ収納用品や防虫剤、除湿剤など、どこ(押し入れ、クローゼット)に収納するかを考えた提案をしたい。

主な商品

スリッパ、サンダル、ソックス、ストッキング、靴用消臭剤、シューズキーパー、靴用除湿剤、靴クリーム、防虫剤、除湿剤、布団乾燥器、布団圧縮袋、衣類カバー、衣類収納ケースなど

敬老の日

敬老の日は、「多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う日」とされている。この日には、子や孫がパーティをしたり、ギフトを贈ったりして、長寿を祝う。そこに、シルバー世代へのニーズが発生する。

最近のおじいちゃんやおばあちゃんは気持ちも若い。ギフトとして購入する世代は子どもや孫であるから、あまりにも高年齢を意識しすぎるデザインや商品は、好まれないので注意が必要である。

敬老の日に子どもや孫が集まってお祝いしたり、お彼岸に、実家に帰ることを考えて、ホームパーティの提案をしたりすることで、ギフト商品から実用品まで商品の幅が広がる。ホームパーティとしては、庭のバーベキューや手巻き寿司をする提案を行う。

夏にキャンプなどのアウトドアを行った家では、バーベキューセットなどはすでにあるので、木炭や網、トング、串などの消耗品や小物を展開する。手巻き寿司としては、す巻ききや飯台、大皿、小皿などを提案する。紙皿・紙コップなどの消耗品も忘れずに展開する。

主な商品

アロマフラワー、飯わん、湯飲み、急須、箸、グラス、ジョッキ、ビールサーバー、酒器、包丁、キッチンツール、そば打ちセット、枕、財布、ポーチ、バッグ、ハンカチ、手ぬぐい、眼鏡ケース、巾着、カードケース(保険証入れ)、スマホケース、ペットボトルケース、ピルケース、マッサージ機、血圧計、杖、ヘルスメーター、入れ歯洗浄剤、拡大鏡、老眼鏡、万歩計、靴ベラ、紙コップ、紙皿、割り箸、手巻き寿司、着火剤、くし、トング、木炭など

お彼岸

秋のお彼岸は、旧盆から1カ月あまりしかたっていないため、仏具などの購入は多くないが、線香、ろうそく、マッチ、佛多当などの消耗品の買い替えニーズに対応できるように展開する。

気密性の高い住宅事情やアロマなどの香りに対するこだわりなどから線香の種類が最近では増えている。用途としては、墓参用と仏壇用に分かれており、仏壇用は室内ということもあり、煙の少ないものが増えている。

また、香りは、伽羅や白檀のような香木系、桂皮、丁字のような漢方系、桜、バラ、ラベンダーのような花系などがある。火災対策のため、火を使わないLEDの乾電池式線香などもあるので、品揃えには注意が必要だ。

主な商品

線香、ろうそく、マッチ、多目的ライター、野立て、ばけつ、墓石用クリーナー、合金線香皿、手おけセット、しゃく、たわし、竹ほうき、熊手、ちりとり、仏袋、仏包装紙、仏ギフト、玉砂利、切り花など

防災の日に備える

9月1日は防災の日である。ゲリラ豪雨や台風など依然として防災への意識は高い。用意してある防災品の入れ替えや点検を提案したい。

台風、長雨などの気象状況により傘の需要が高くなると共に、夏休み明けの新学期を迎えて学童用傘のニーズも高まる。短期的に傘をボリュームアップして売場展開する。このとき、傘だけでなく、長靴やレインコートやカッパ、防水スプレーなどの関連展開することがポイントである。

主な商品

傘、長靴、レインコート、かっぱ、防水スプレー、懐中電灯、乾電池、家具転倒防止金具、家具固定金具、ラジオ、非常持ち出し袋、防災頭巾、非常用食料、水、ガムテープ、長靴、軍手、バッテリー、スマホ充電器、ばんそうこう、ミネラルウオーター、保存食、ライター、卓上コンロ、ボンベ、ロープ、ひも、ポリタンク、ビニールシート

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