ことら送金とは?使い方や使えるアプリ、利用メリットなどを解説

2022.11.10

クレジットカード・スマホ決済サービスをはじめとして、日本のキャッシュレス化は着実に進みつつある。そのキャッシュレスサービスの1つとして、メガバンクも推進しているのが、個人間送金サービスの「ことら送金」だ。

本記事では、ことら送金の概要から利用するメリット・デメリット、使えるアプリ・金融機関、使い方まで解説していく。

ことら送金とは?

出所:ことら送金

ことら送金とは、アプリを利用して個人口座間で送金処理を行えるサービスである。相手の銀行口座番号を指定して送金できるのはもちろん、携帯電話番号もしくはメールアドレスを指定するだけでお金のやり取りを行うことも可能。家族・友達・自身の別口座などへ、キャッシュレスで手軽に送金したいときにおすすめできるサービスだ。

ことら送金自体はアプリではなく、所定のマネーアプリ上で実装されるサービスである。例えば、日本電子決済推進機構が提供するスマホ決済サービスBank Pay(バンクペイ)上にことら送金は実装されているが、Bank Payでは三菱UFJ銀行・みずほ銀行・三井住友銀行といった金融機関を登録でき、送金処理を行える。

2022年10月11日より提供が開始されたことら送金は、メガバンク・地方銀行含めて現在20行で利用可能。本インフラにより、2億以上の銀行口座がつながることになる。

世界的に見ると、日本のキャッシュレス化は遅れを取っているが、経済産業省が2022年6月に発表した資料によると、2021年のキャッシュレス決済比率は32.5%と初の3割超えとなった。店頭における決済に留まらず、個人間のお金のやり取りに関してもキャッシュレス化は促進されており、その手段の1つとして、ことら送金は大きな注目を集めている。

ことら送金のメリット・デメリット

ことら送金には、日常生活に取り入れる豊富なメリットが存在するが、反対に気を付けたい点もある。メリット・デメリットの両方を押さえ、利用を検討してみてほしい。

口座番号を伝えずにお金のやり取りを行える

出所:ことら送金

通常、相手の金融機関口座に送金する場合、金融機関名・支店名・預金種目・口座番号・口座名義が必要となる。しかし、口座間の送金は手間がかかるだけでなく、個人情報の漏洩を懸念する人も多いだろう。

その点、ことら送金では、携帯電話番号・メールアドレスのいずれかを指定するだけで送金可能。対応アプリ上で受取口座と携帯電話番号を紐づけておくことで、送金処理を行える。電子マネーではなく現金を口座で受け取れる、かつ金融機関情報を相手に伝えずに済む点が大きなメリットだ。

異なるアプリ間で送金処理を行える

出所:ことら送金

キャッシュレスで個人間送金を行えるアプリとしては、ことら送金以外にもさまざまなサービスが存在する。例えば、PayPay・d払い・LINE Payといったスマホ決済サービスにも、個人間送金機能は搭載されている。

しかし、同じアプリを所有している人同士でしか送金できないのが基本。その一方で、ことら送金は現在8種類のアプリ上で実装されているが、異なるアプリ同士であっても送金を行えるのが魅力だ。

メッセージを一緒に送れる

出所:ことら送金

ことら送金では、お金を送る際にメッセージを添付することができる。相手に送金理由や感謝の気持ちを伝えたいときにも最適

別にLINEなどでメッセージを送る必要がなく、面倒な手間を省けるのもメリットと言えるだろう。

送金手数料が安い

出所:ことら送金

ことら送金では、お金を送るときに送金手数料が発生する。送金手数料は一律ではなく、各アプリ事業者により決定される仕組みだが、サービス開始時からことら送金に対応する20行に関しては、送金手数料を無料としている。

銀行口座への振込手数料より安価に設定されているのも、ことら送金のメリットの1つ。

銀行は手数料収入が減るものの、同時に顧客が現金を利用する機会も減るため、窓口業務やATMに係る現金管理費の削減につながる。将来的には、他のスマホ決済サービスにも対応していく方針だ。

ただし、PayPayやd払いといったスマホ決済サービスは、手数料が発生しないものも多いので、利用するアプリ次第ではことら送金のほうが手数料が高くなる点に注意したい。

取引1件あたりの上限金額は10万円

ことら送金は、手軽に少額送金を行いたいニーズに応えた個人向けのサービスであり、取引1件あたりの上限金額は10万円で設定されている。高額の送金では利用できない点に注意が必要。

ことら送金を活用できる場面としては、下記のような例が挙げられる。

  • 給与支払い口座から、別の生活費・ローン支払い口座へ振替したいとき
  • 友達や同僚との飲み会料金を割り勘したいとき
  • プレゼントを共同購入したいとき
  • 遠く離れた家族・夫婦間でお金を送りたいとき
  • 細かい現金を持っていないとき
  • ATMに行かないと現金がないとき

個人間でお金のやり取りが多い人は、ことら送金の利用を検討してみてほしい。

即座に相手の口座へ入金される

ことら送金で相手に送られるお金は、即日で入金される。銀行振込よりスピーディーにお金のやり取りを終えられるので、送り手・受け手とも安心してサービスを利用できるだろう。

ことら送金が使えるアプリ・対応金融機関

2022年10月20日時点における、ことら送金を使用できるアプリ、および各アプリが対応する金融機関としては下記の通り。

使えるアプリ対応金融機関
Wallet+熊本銀行、佐賀銀行、十八親和銀行、福岡銀行
こいPay広島銀行
J-Coin Pay山陰合同銀行、みずほ銀行
はまPay横浜銀行
Bank Pay足利銀行、関西みらい銀行、埼玉りそな銀行、十六銀行、常陽銀行、南都銀行、百五銀行、みずほ銀行、三井住友銀行、三菱UFJ銀行、みなと銀行、山梨中央銀行、りそな銀行
YOKA!Pay(熊本銀行)熊本銀行
YOKA!Pay(十八親和銀行)十八親和銀行
YOKA!Pay(福岡銀行)福岡銀行

メガバンクを含め、現在は20行の金融機関でことら送金を利用できる。また、今後は地方銀行・ネット銀行を加え、下記金融機関が利用可能となる予定。

出所:ことら送金

ことら送金の提供元であることら株式会社は、来年夏までに全国の50行以上でサービスの導入を目指す。

現状、ことら送金を使えるアプリ、および対応金融機関は決して多いとは言えず、サービス自体を利用できない人もいるはず。今後どこまで対応サービスが拡大されていくか、注目したい。

ことら送金の使い方

ことら送金でお金を送る方法はアプリによって異なる。ここでは、三菱UFJ銀行・みずほ銀行・三井住友銀行の3大メガバンクにも対応するBank Payのアプリに関して、初期設定方法から送金方法まで解説していく。

Bank Payアプリのインストール方法

まず、iPhoneのApp StoreもしくはAndroidのGoogle Playから、Bank Payのアプリをダウンロードする。

アプリを起動すると、Bank Payの機能概要が表示されるので、『つぎへ > ご利用をはじめる』と画面を進めていく。Bank Payはことら送金機能以外に、チャージ不要で口座から直接スマホ決済を行える、金融機関が提供する安心安全のサービスであるなど魅力的な部分も多い。気になる人は、サービスの機能概要もチェックしてみよう。

次に、Bank Payの利用規約を確認する。一番下まで画面をスクロールし、『利用規約に同意して新規利用登録』をタップ。

続く画面では、利用者情報の登録を行っていく。

メールアドレス・携帯電話番号の認証画面が表示されるので、案内通り認証コードを受信し、入力を進めていく。

Bank Payのホーム画面が表示されれば、アプリのインストールは完了となる。

Bank Payの初期設定方法

アプリのインストール完了後は本人確認が必要となるので、Bank Payアプリ上の『口座登録 > 申請する』と画面を進めていく。

出所:Bank Pay

Bank Payでは、本人確認書類の撮影・顔写真の撮影・まばたきチェック・本人情報の入力をもって、本人確認が実施される。アプリ上の本人確認の流れおよび利用規約を確認した後、『上記に同意して本人確認を始める』をタップする。

本人確認書類としては、運転免許証・マイナンバーカード・運転経歴証明書を利用可能。アプリ上でカメラが起動するので、枠内に本人確認書類を収め、撮影および結果を確認する。

出所:Bank Pay

同様の手順で、斜めからの写真と裏面を撮影する。

出所:Bank Pay

次に、顔写真の撮影とまばたきチェックを実施する。アプリ上に表示されるカメラで、案内通りに撮影を進めていく。

出所:Bank Pay

続く画面では、本人確認書類から自動で読み取られた個人情報が表示される。内容を確認し、入力内容に誤りがあれば、適宜修正を行う。

個人情報に問題がない場合は、本人確認申請を実施。本人確認審査が行われるので、メールもしくはアプリ上で結果が届くのを待とう。

出所:Bank Pay

続けて口座情報の登録を行っていく。まず、アプリ上の『口座登録』をタップし、金融機関の選択および各金融機関のBank Pay取引規定を確認する。

出所:Bank Pay

次に、支店の選択・口座情報の入力・ネット口座振替の受付を行う。

出所:Bank Pay

最後に、メールアドレスを使用した追加認証、決済用パスワードの登録、および生体認証設定を実施すれば、口座登録は完了となる。

出所:Bank Pay

Bank Payアプリの初期設定方法は以上だ。

Bank Payを利用した送金方法

アプリのインストールおよび初期設定が完了すれば、Bank Pay上のことら送金でお金を送ることが可能となる。送金方法だが、まずアプリホーム画面の『ことら送金・残高照会』をタップする。

出所:Bank Pay

送金方法の指定画面へ遷移するので、『携帯電話番号送金』もしくは『メールアドレス送金』を選択。

出所:Bank Pay

携帯電話番号送金』を選んだ場合は、相手の携帯電話番号を画面に入力して検索。この際、相手が受取設定を行っている必要がある。

出所:Bank Pay

銀行名や名義など送金先情報が表示されるので、内容を確認した後、『金額/メッセージ入力』をタップ。

出所:Bank Pay

送金金額と任意でメッセージを入力し、『確認』をタップする。

出所:Bank Pay

送金先・送金金額・メッセージ内容が表示されるので、内容に問題がないことを確認し、『注意事項を確認した』にチェックを入れる。そして、決済用パスワードの入力もしくは生体認証を実施し、『送金する』をタップする。

出所:Bank Pay

入金完了の画面が表示されれば、送金処理は終了となる。

出所:Bank Pay

Bank Payを利用した送金方法は以上だ。

ことら送金のまとめ

個人間の送金サービスは数多く存在するが、ことら送金は金融機関口座間で直接やり取りを行えるのが1つのポイント。銀行振込より手数料を抑えられるだけでなく、相手の携帯電話番号もしくはメールアドレスだけで送金可能なため、プライバシー面でも利用者はメリットを享受できる。

リリースされたばかりのサービスなので、対応するアプリ・金融機関は少々少ないが、メガバンクも今後のサービス拡充に注目している。家族や友達、同僚と手軽にお金をやり取りできることら送金を、この機会にぜひ利用してみてほしい。

お役立ち資料データ

  • 2024年上半期 注目店スタディ

    2024年上半期も注目新店がたくさん出ました。今回はその中から厳選した6店舗を独自の視点でピックアップしました。今回もいつものとおり、企業戦略、出店背景、商品政策(マーチャンダイジング)までを拾いながら記事にまとめました。豊富な写真と共にご覧いただければ幸いです。 注目企業の最新マーチャンダイジングの他、売場づくり、店舗運営など、いまのスーパーマーケットのトレンドも知ることができる一冊となっています。企業研究、店舗研究、商品研究の他、実際に店舗を訪問するときの参考資料としてご活用いただければ幸いです。 <掲載店舗一覧> ・ライフ/ソコラ所沢店 ・ヤオコー/武蔵浦和店 ・サミットストア/ららテラ…

  • 2023年 下半期 注目店スタディ

    2023年下半期注目のスーパーマーケット7店舗を独自の視点でピックアップし、企業戦略を踏まえた上で、出店の狙い、経緯、個別の商品政策(マーチャンダイジング)まで注目点を網羅。豊富な写真と共に詳しく解説しています。 注目企業における最新のマーチャンダイジングの取り組みや、厳しい経営環境と向き合うスーパーマーケットのトレンドを知ることができ、企業研究、店舗研究、商品研究などにご活用いただけるほか、店舗を訪問するときの参考資料としてもお勧めです。 <掲載店舗一覧> ・オーケー/銀座店 ・ヨークベニマル/仙台上杉店 ・ベイシア/Foods Park 津田沼ビート店 ・ヤオコー/松戸上本郷店 ・カスミ/…

  • 2023年 上半期 注目店スタディ

    2023年上半期注目のスーパーマーケット5店舗を独自の視点でピックアップし、企業戦略を踏まえた上で、出店の狙い、経緯、個別の商品政策(マーチャンダイジング)まで注目点を網羅。豊富な写真と共に詳しく解説しています。 注目企業における最新のマーチャンダイジングの取り組みや、厳しい経営環境と向き合うスーパーマーケットのトレンドを知ることができ、企業研究、店舗研究、商品研究などにご活用いただけるほか、店舗を訪問するときの参考資料としてもお勧めです。 <掲載店舗一覧> ・ ヤオコー/トナリエ宇都宮店 ・ サミットストア/川口青木店 ・ 原信/紫竹山店 ・ ライフセントラルスクエア/ららぽーと門真店 ・ …