決済サービスSquare(スクエア)とは?利用メリットや手数料などを導入事例を交えて紹介

2022.11.15

出所:squareup.com

事業者向けのキャッシュレス決済サービスの「Square(スクエア)」をご存じだろうか。店舗でカード決済を導入する場合、通常は各カードブランドの加盟店に個別に申し込む必要があり、入金サイクルなど管理も煩雑になりやすい。しかしSquareのようなキャッシュレス決済サービスを導入することで、カードブランドと店舗の間にSquareが入り、店舗側は窓口を一つに絞ることができる。

「Square」はキャッシュレス決済だけでなく、請求書や売り上げデータ、在庫管理などさまざまなサービス機能がある。本記事では、「Square」のメリットや手数料、料金体系、実際に導入している店舗の事例を紹介していく。キャッシュレス決済サービスの導入を考えている方は参考にしてほしい。

Square (スクエア)とは?

「Square(スクエア)」は、事業者向けのキャッシュレス決済サービスのこと。実店舗、オンラインショップのどちらでも利用ができる。2009年にアメリカのミズーリ州セントルイスで創設された会社、「Square, Inc.」が提供をスタートした。日本では東京にオフィスがある。

Squareの特徴は、クレジットカード決済や電子マネー決済、ネットショップの開設、請求書、在庫管理などの業務を、Squareのアカウント一つで行えることだ。一つ一つ違うサービスを使うことなく、一括で管理できるという魅力がある。

店舗で使う場合は、Squareに対応している決済端末とSquareのPOSレジアプリを導入すると利用ができる。また、振込手数料や月額使用料は無料で、掛かる手数料は決済ごとに発生する決済手数料のみとなっている。

Square (スクエア)のメリット

Squareのメリットを4つ紹介しよう。

オンライン・実店舗の管理と運営を一か所で行える

通常であればPOSレジはこの会社、在庫管理はこのアプリ、など業務ごとに違ったサービスを利用する。しかしSquareでは、実店舗やオンラインショップを運営する上で必要な作業をアカウント一つだけでできてしまう。例えばPOSレジ、在庫管理、請求書発行、ブラウザ決済、ECサイト決済、データ分析、スタッフ管理、顧客管理など。オンラインで販売した商品、実店舗で販売した商品の売上をまとめて管理もできる。

必要な機能を組み合わせられる

様々なサービスを提供するSquareだが、お店の規模や従業員数、業態などによって必要な機能を取捨選択できる。キャッシュレス決済だけを使用しても、合わせてクラウド請求書を使用しても、必要に応じて組み合わせながら利用できる。

最短翌営業日に売上を入金

実店舗・ECサイトの両方で、売上は最短翌営業日の入金となる。入金依頼をする必要はなく、振込手数料などの手数料も無料。

固定費不要

登録手数料、振込手数料、月額利用料、払い戻し手数料、明細作成費、PCI対策費などは掛からない。手数料は決済手数料のみ。

Square(スクエア)の決済端末

店舗で使用するSquareの決済端末には3種類ある。

・Squareリーダー

コンパクトでシンプルな決済端末。持っているスマートフォンやタブレットと接続するだけでキャッシュレス決済として利用ができる。クレジットカード、Apple Pay、交通系IC、電子マネー、PayPayに対応している。

・Squareターミナル

キャッシュレス決済のさまざまな機能が備わった端末。クレジットカード、デビットカード、電子マネー、PayPayなどに対応しているだけでなく、暗証番号の入力やレシートの発行も可能だ。

・Squareスタンド

お持ちのiPadをSquareスタンドに装着して使用する。スタッフ用の決済画面で商品を追加後に、お客様専用のディスプレイに切り替わる。スタンドを回転させてお客様に提示して支払いをしてもらう端末だ。

Square (スクエア)の手数料・料金体系

Squareの料金体系のポイント

分かりやすい料金体系は特徴の一つでもある。ポイントは次の4つだ。

・加盟店で決済手数料が変わることはない

個人店、法人などで手数料が変わることはなく、どの加盟店でも手数料の率は同じ。

・決済手数料は利用する機能、カードブランドの種類で変わる

カードブランドの種類や、電子マネーの種類、対面決済か非対面決済かによって手数料が変わる仕組みだ。

・払い戻し手数料、月額利用料、振込手数料等が無料

月額利用料、振込手数料、POSレジアプリのインストール、払い戻し手数料、チャージバック手数料、アカウントの無効化は全て無料で利用できる。

・カードリーダー(端末代金)の導入費

店頭でSquareを導入するにはPOSレジとカードリーダーが必要になる。POSレジは代金は無料。カードリーダーの代金は次の通りだ。

Squareリーダー 7,980円

Squareターミナル 46,980円

Squareスタンド 29,980円

Squareの決済に掛かる決済手数料

Squareの決済にかかる決済手数料は、対面での決済か、非対面での決済かによって主に変わっている。いかに主な手数料を記載する。(2022年10月時点)詳細は公式サイトにてご確認を。

対面決済による決済手数料

・Visa、Mastercard、American Express、Discover、Diners Club International、PayPay、交通系電子マネー(PiTaPaを除く):3.25%

・iD、QUICPay、ブラウザ決済、カード情報手入力決済:3.75%

・JCB:3.95% ※JCBは手入力等関係なく3.95%

非対面決済による決済手数料

・Squareオンラインビジネス:3.6%(プレミアムプランは3.3%)
・Squareオンラインチェックアウト:3.6%
・保存済みカード情報での決済:3.75%
・Square請求書:3.25%(Visa、Mastercard、American Express、Discover、Diners)
・Squareブラウザ決済:3.75%

※JCBは種類・プラン関係なく全て3.95%

Square (スクエア)の導入事例

Squareを実際に導入しているお店の事例を3つ紹介する。

・NOOKS FOODS

東京・代々木上原、伊勢丹新宿店、富ヶ谷に店舗を構えるフレーバーナッツとグラノーラ専門店の「NOOKS FOODS」では、Square POSレジ、Squareターミナル、Squareリーダー、Squareデータを利用している。

Squareでは、最大300店舗まで一つのアカウントで管理ができ、NOOKS FOODSでも3店舗の管理を一つのアカウントからおこなっている。商品情報も1店舗目で登録したものが引き継がれていくため、管理画面から全店舗の売り上げ状況を把握できるようになったという。また、Squareの端末は新しいスタッフでも使いやすく、レジのトレーニング時間は減少した。

NOOKS FOODSの富ヶ谷店ではSquareターミナルを導入している。SquareターミナルにはPOSレジとレシートプリンターが内蔵されているため、別途プリンターなどの周辺機器をそろえる必要がない。また端末一台でキャッシュレス決済とPOSレジが両方使えるため省スペースにも繋がっている。

また、NOOKS FOODSでは全商品をPOSレジに登録。商品ごとの売上レポートを把握し、それを基に特定の商品の需要が高まる時期を予測するなど、仕入れの判断に役立てている。売上レポートからいつお客さんが来ているかも分かるため、夜の時間帯の需要が少ないことから営業時間を1時間短くするなど、Squareのデータを活用している。

・SAILFAST

「SAILFAST」はセーリングに使用するロープ、テクニカルギア等を取り扱う、ヨットとボードの輸入販売店。ボードのレンタルやアフターサービスまでおこなっている。

2500以上ある商品数の在庫管理をおこなうこと、キャッシュレス決済機能が利用できるサービスを探していたことからSquareを導入。2013年からSquare リーダーとSquare POSレジを利用している。その後、2021年からは有料のSquare リテールPOSレジに切り替えた。

SAILFASTでは入荷作業時に、Square リテールPOSレジでアプリを立ち上げ、タブレットで商品のバーコードを読み込み、そのまま商品を登録。最後に入荷リストと照らし合わせて数の確認をしている。登録済みの商品は自動で在庫数が追加されていく仕組みだ。Squareを導入する以前と比べると、入荷作業にかかる時間は体感で3割減ったという。

また、商品の価格を変更する際には、在庫データをSquareからCSVファイルにエクスポート。価格を書き換えて、再度Squareにインポートをして価格の変更を行っている。輸入販売のため価格が変動することもあるが、データを連携させることでまとめて変更が可能になった。

注文を希望するお客様から直接連絡が来た時にはSquare請求書を利用している。Square請求書の機能の一つであるリンクを共有することで、お客様はリンクからクレジットカードの決済画面に飛ぶだけで簡単に決済ができる。海外からの注文にも対応しやすいという。

また、外で行われるイベント時にも持ち運び可能なSquareリーダーを持っていき、売り上げレポートで何が売れたかを確認を行っている。普段の決済から入荷作業、価格変更、注文への請求書、イベント時の決済と、Squareの機能を組み合わせながら利用をしている。

・ex. flower shop & laboratory

「ex. flower shop & laboratory」は東京・中目黒、蔵前、代々木上原に店舗を構える花屋。Square リーダー、Square スタンド、Square POSレジ、Square 請求書を導入している。

デザイン性が店舗の内装とマッチすること、導入コストが低いことから1店舗目のオープンからSquareを利用を始めた。その後にオープンした店舗でも同様にSquareを導入。使い方もシンプルで、初めてSquareを使用するスタッフでも一度教えればすぐに使えるようになり、トレーニングにも時間がかからなかったという。

また、Squareは最短で翌営業日に売上額が振り込まれ入金サイクルが短い。花業界は仕入れの支払いサイトが短いが、Squareの入金サイクルが役立っているという。

「ex. flower shop & laboratory」では、「霽れと褻(ハレとケ)」、「LIFFT(リフト)」というオンラインサービスもおこなっていて、決済にはSquare請求書を導入している。ソーシャルメディアで予算やデザインなどの打ち合わせをし、それを基にSquareで請求書を作成・送付。海外のお客様にも対応できる。オンラインでの売り上げも店舗での売り上げも合わせてSquareで管理を行っている。

参考:Town Square

お店に合った使い方のできる「Square(スクエア)」

「Square」は、お店ごとの特色に合わせてサービスを選んで利用できる決済サービスだ。店頭で使用する場合も、端末は3種類あるので店舗の状況に合わせて選択できる。経済産業省では、将来的にキャッシュレス決済比率を世界最高水準の80%までの上昇を目標としており、今後キャッシュレス決済は増加するだろう。キャッシュレス決済サービスの導入を考えている方は店舗の規模や成長に合わせて対応できる「Square」を候補に入れてみてはいかがだろうか。

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