BASEとは?手数料や料金プラン、機能や利用メリットを導入事例などを交えて解説
2022.12.06
専門知識要らずでネットショップを構築可能なBASE(ベイス)。法人に限らず、個人も手軽にECサービスを始められるとして、高い人気を誇っている。
本記事では、BASEの概要から搭載機能、利用するメリット、手数料・料金体系、導入事例まで網羅的に解説していく。
BASEとは?
BASEとは、誰でも簡単にネットショップを構築可能なECコマースプラットフォームである。優れた操作性で使いやすく、カスタマイズも自由自在。商品のコンセプトに沿ったデザインのネットショップで、ブランディングにつなげることもできる。
また、2つあるプランのうち、スタンダードプランでは初期費用・月額費用が0円。商品が売れるまで料金が発生しないのも、BASEの大きな特徴となっている。
BASEは2012年11月にサービスがリリースされて以来、着実にユーザーを獲得していき、2022年6月には累計ネットショップ開設数が180万ショップを突破。さらに、株式会社マクロミルが2022年2月に実施した「直近1年以内にネットショップを開設する際に利用したネットショップ作成サービスに関する調査」では、ネットショップ開設実績5年連続No.1を記録した。
ASPカートを比較する上では、必ずチェックしておきたいプラットフォームと言えるだろう。
BASEの機能
BASEには多様な機能が備わっているが、大別すると3種類にカテゴライズされている。各カテゴリーの機能詳細を見ていこう。
Apps 拡張機能
Apps 拡張機能では、ネットショップの利便性を向上させる機能や消費者の集客につながる機能、売上の分析機能、ショップ運営を効率化できる機能など豊富なAppを利用できる。ここでは、チェックしておきたい拡張機能を解説していく。
越境ECへの対応
BASEには、ネットショップや購入完了メールなどに表示されるテキストを、ユーザー自身が日本語から英語へ切り替えできる「英語・外貨対応 App」が備わっている。本拡張機能では、34カ国の外貨表記にも対応。また、送料を都道府県ごとに設定できるだけでなく、国ごとに設定できる「送料詳細設定 App」も、越境ECには嬉しい機能だ。
その他、世界150ヵ国に配送可能な代行サービス「NEOlogi」を活用し、物流コストを見直すことも可能。海外の顧客にも商品を効率良くアプローチできると言えるだろう。
特定ユーザーに向けたネットショップの開設
「シークレットEC App」では、ネットショップにパスワードを設定し、特定のユーザーにのみショップを公開できる。会員やリピーター専用のネットショップを開設したい人に、おすすめの機能である。
あわせて、「コミュニティ App」では、コミュニティ会員限定で専用ページのURLを公開したり、新商品情報や最新情報をいち早く配信することも可能。ファンとのつながりを深め、顧客ロイヤリティの向上も期待できる機能と考えられる。
カテゴリ管理機能
「カテゴリ管理 App」では、販売商品を最大3段階にカテゴリ分けできる。取り扱い商品が多い場合に有効活用できる機能で、消費者は目的の商品を見つけやすくなる。
その他、「商品検索 App」や「ラベル App」の拡張機能もおすすめ。「ラベル App」では、商品画像にNEW・HOT・SALEといったラベルを貼ることができ、見た目も色・形など好きなデザインから選べる。
イチオシの商品をカテゴリやラベルで目立たせ、購買行動へ誘導したいときに最適と言えるだろう。
ブログ作成機能
「Blog App」では、ブログを簡単に作成してショップメニュー内の「Blog」に公開することができる。ネットショップがブログを運営することには、さまざまなメリットが存在する。
例えば、商品の生産工程をブログで細かく誠実に紹介すれば、消費者には安心感が生まれ、リピーターの創出につながりやすくなる。また、ネットショップは性質上、消費者と販売者は対面しないが、実際の写真で人の温かみを感じることで、信頼の獲得も期待できるだろう。
さらに、ネットショップの商品紹介ページでは補えない情報も、ブログであれば詳細に記載可能。商品の使用感を写真・動画で事細かに紹介したり、他の類似商品より優れているポイントを解説したりすることもできる。
レビュー機能
ネットショップを構える上で欠かせない機能が、レビュー機能だ。BASEの「レビュー App」では、商品ごとにレビューを投稿可能。高い評価を獲得できれば、新規顧客やリピーターの獲得を見込める。
また、購入者のレビューに対して、運営者は返信することもできる。丁寧な返信を心掛けることで、消費者の信頼性獲得にもつながるだろう。
BASEかんたん決済
BASEでは、下記7種類の決済方法に対応している。
クレジットカード決済 | VISA・Mastercard・JCB・AMERICAN EXPRESS |
キャリア決済 | d払い・au・SoftBank・Y!mobile・UQ mobile |
銀行振込 | 三井住友銀行 |
コンビニ支払い・Pay-easy | コンビニ・Pay-easy決済 |
後払い | セブン-イレブン・ローソン・ファミリーマート・ミニストップなどのコンビニ |
PayPal決済 | PayPal |
Amazon Pay | Amazon Pay |
運営者は利用したい決済方法をフォームから選ぶだけで、ネットショップに導入できる。面倒な手続きは不要で、すぐに使い始められるのも大きな特徴。もちろん、各決済会社と契約する必要もなく、お金の管理は全てBASEのダッシュボードで完結する。
キャッシュレス決済・コンビニ決済・銀行振込など豊富な支払い方法で、幅広い年齢層の消費者にアプローチ可能だ。
デザインマーケット
さまざまな機能を搭載するBASEだが、初めてのネットショップ運営で、どのような要素・機能を活用して導線設計を行えば良いのかわからない人も多いはず。そこでおすすめしたいのが、デザインマーケットだ。
デザインマーケットでは、クリエイターが設計・作成したデザインテンプレートが販売されており、ハイクオリティなネットショップを簡単に開設可能。買い切りの料金体系で、ランニングコストが発生することもない。
上質なデザインで他のネットショップと差別化を図りたい場合にも、おすすめの機能と言えるだろう。
BASEのメリット
次に、BASEを利用するメリットを解説していく。
エスクロー決済で安心して取引できる
BASEでは、フリマアプリのメルカリでも採用されている、エスクロー決済を利用して取引できる。エスクロー決済とは、エスクロー事業者のBASEが購入者から代金を預かり、購入者が商品を受領した時点でネットショップ運営者に代金を引き渡す仕組みである。
BASEが取引を仲介することで、お金を支払ったのにネットショップ運営者から商品が届かないといったトラブルを未然に防止。消費者・運営者双方が安心して、商品の取引を行うことができる。
売上金の入金サイクルが早い
BASEの売上金は、振込申請から10営業日(土日祝を除く)でショップの指定口座に振り込まれる。早い入金サイクルは、早期に売上金を事業へ回したい場合や、キャッシュフローを安定させたい場合にも最適。
また、BASEでは最短翌営業日に入金が行われる「お急ぎ振込」にも対応している。ただし、振込申請金額の1.5%が手数料として発生するほか、最新の運営状況および利用状況を鑑みて、「お急ぎ振込」のサービスを解放するか審査が実施される。必ずしも「お急ぎ振込」を利用できるとは限らない点も、留意しておきたい。
ショッピングアプリ「Pay ID」から集客を図れる
BASEには、決済からアフターショッピングまで包括的にショッピング体験を向上する、消費者向けアプリ「Pay ID」が存在する。消費者はアプリからBASE上に構築されたネットショップにアクセスでき、キーワードでショップや商品の検索が可能となっている。
2022年8月時点における「Pay ID」の累計ID登録者数は900万人を突破。消費者向けのアプリを展開するECコマースプラットフォームは少ないが、BASEであればアプリからの流入も大きく期待できる。
Instagramとの相性が良い
BASEには、Instagramとの連携機能が搭載されている。Instagramの投稿に商品をタグ付けし、BASE上のネットショップに直接リンクできるため、SNS流入を見込める。
また、Instagram広告と連携もでき、BASE上の商品を最適なユーザーに広告配信する「おまかせ配信」と、Instagram投稿を広告として配信する「Instagramの投稿から配信」の2つの配信タイプを利用可能。すでにInstagramを運営している人や、初めてInstagram広告を配信するという人は要チェックの連携機能と言えるだろう。
ネットショップをコーディングでカスタマイズ可能
ネットショップにより一層の独自性を持たせたい場合におすすめなのが、BASEのコーディング機能だ。BASEはネットショップを誰でも簡単に構築できることを1つの売りにしているが、それ故にデザインおよび機能の自由度は少々低くなっている。
しかし、「HTML編集 App」の拡張機能を利用すれば、HTML・CSS・JavaScriptといった言語でネットショップをカスタマイズ可能。専門知識・スキルは必要となるが、アニメーションを加えて商品の魅力を引き立てたり、独自のデザインでブランドイメージを表現することもできるだろう。
BASEの手数料・料金体系
充実したサービスを備えていても、気になるのは料金体系。BASEにはスタンダードプランとグロースプランの2種類が存在し、選択するプランによって料金体系は大きく変わってくる。
ここでは、各プランの手数料および料金体系を見ていこう。
スタンダードプランの手数料・料金体系
月額費用 | 0円 |
サービス利用料 | 3.0% |
決済手数料 | 3.6% + 40円 |
スタンダードプランは、月額費用および初期費用を必要としないのが最大のメリットである。商品が売れたときだけ料金が発生するため、EC事業を展開する際のリスクを抑えることが可能。
資金面に不安のある個人にもおすすめのプランと言えるだろう。
グロースプランの手数料・料金体系
月額費用 | 5,980円 |
サービス利用料 | – |
決済手数料 | 2.9% |
2022年4月から新たに追加されたのが、グロースプランだ。スタンダードプランと異なり、月額費用は発生するものの、サービス利用料はかからず決済手数料も安価。ネットショップの売上規模が月商17万円を超えると、グロースプランのほうがお得となるため、継続的に大きな売上を上げているショップにおすすめと言える。
また、BASEの利用開始時はスタンダードプランが適用されている状態で、グロースプランへは管理画面から変更が必要。プランの変更自体は簡単に行えるので、最初はスタンダードプランを利用し、ショップの売上規模が大きくなったタイミングでグロースプランへ移行するのがベストと考えられる。
参照:料金プランについて
スタンダードプランとグロースプランの機能の違いは?
通常、プランが異なれば利用可能な機能にも差が生まれるが、BASEのスタンダードプランとグロースプランの間に機能差はなく、同じ機能を利用できる。つまり、両プランの違いは手数料・料金体系のみ。
プラン間の機能を比べて、自社に最適なプランを見極める必要もなく、月商17万円のボーダーラインを上回るか、下回るかをチェックするだけで済む。BASEの公式サイトでは、最適なプランのシミュレーションも行えるので、プラン選定時には一度利用してみてほしい。
BASEの導入事例
ここでは、実際のBASE導入事例や活用アイデアを紹介していく。
ぬいぐるみの生地やさん
都内にぬいぐるみ工房を展開する「ぬいぐるみの生地やさん」は、人形の製作に必要な生地をBASE上で販売している。日本はぬいぐるみが溢れているものの、個人で人形を作ろうとすると、なかなか生地が手に入らないとのこと。
その背景もあってか、BASE上の商品が売り切れることも多い「ぬいぐるみの生地やさん」では、「再入荷自動通知 App」の拡張機能を活用。在庫切れの商品を補充した際、入荷を希望する顧客に再入荷通知をメールで自動送信できる。顧客へ通知が送信された瞬間に商品が購入されることもあり、機会損失の低減につなげている。
また、運営者は商品ごとの再入荷希望数を一覧で確認可能。需要のある商品を積極的に入荷することで、売上の向上も見込めるだろう。
新宿眼科画廊
現代美術を中心に写真・インスタレーション・映像作品などを展示する「新宿眼科画廊」は、画廊を開いた当初から、現地に行けないものの作品やグッズを買いたいという顧客の要望を多く受け取っていた。そこで、手軽にオンラインショップを開設できるBASEを採用。
実物を見れない中、作品の世界観を顧客に伝えるという課題に直面したが、作家と都度認識合わせを行いながら、写真や商品説明を掲載。丁寧なコミュニケーションは作家との信頼性の醸成につながり、多くの作家のグッズをネットショップで取り扱えるようになった。
手軽に始められるBASEのネットショップだが、商品販売を粗雑に扱わず、一つひとつ周到に展開して成功した好例と言えるだろう。
NO COFFEE
福岡県福岡市にコーヒーショップを構える「NO COFFEE」は、ネットショップでコーヒーだけでなく、オリジナルグッズやコラボレーション商品を数多く展開している。多くの注文が入る中、業務を円滑に進めるためにBASEの『送り状データダウンロード App』を活用。
本拡張機能では、佐川急便・日本郵便・ヤマト運輸の配送伝票発行システムに適したフォーマットで、CSVデータをダウンロードできる。伝票作成を一括で行い、発送業務の効率化につなげている。
kin.iro.hitode
雑貨ブランド「kin.iro.hitode」を運営するクリエイターの浜口麻里奈さんは、自身で描いたデザインを元にレターセットやハンカチといった雑貨を作成し、BASEおよびハンドメイドマーケットプレイスで販売を行っている。メインのプラットフォームとしては、BASEを利用。
その理由は、BASE上で構築したネットショップを「ホームページ」として活用できるからである。フォーマットが決まっているマーケットプレイスに比べ、BASEは自由度が高く、デザインやショップの見せ方にも独自性を出すことが可能。
ブランドイメージを形成しやすいため、知名度が低いうちでも着実にファンがついていき、事業は軌道に乗っていった。また、独自ドメインでネットショップを開設できる点も、顧客に信頼感を与え、ホームページらしさを出しやすいと評価した。
参照:導入事例
BASEのまとめ
EC市場規模の拡大も影響し、昨今ではカラーミーショップ・Shopify・STORES・メルカートなど多様なASPカートが提供されている。その中でも、BASEのスタンダードプランは初期費用および月額費用が無料であり、ローリスクでネットショップを開設できる。
EC事業の重要性をわかっていながらも、コスト・リスク・人的リソースなどさまざまな要因により、ネットショップを構築できない事業者や個人も多いはず。この機会に、BASEの多彩な機能を活用して、ネットショップを展開することを検討してみてはいかがだろうか。