新聞折込チラシはホントに閲覧されているのか?進むデジタルシフトの重要性

2022.04.12

2020.08.07

小売業、特にスーパーマーケット(SM)といえば、折込チラシが有効な販促ツールであるというイメージが強い。店頭の棚の確保と同様、いかにチラシに掲載されるかが重視された時代もあったが、実際にはチラシの効果は年々下がっているというのが実情ではないだろうか。

それを実態として示す数字がある。図表①は新聞の発行部数と折込広告の市場規模の推移をまとめたものだ。一目瞭然なのは新聞の発行部数の急激な減少である。2005年からの15年間で約1500万部減少している。特に最近はその減少率が大きくなっていることを考えると、今後、さらに厳しい状況を迎えることになりそうだ。

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それと連動するように、折込広告の市場規模も右肩下がりとなっている。09年に前年と比べて大きく減少しているが、これはリーマンショックによるものだろう。その後、少し持ち直しの動きもあったが、近年はやはり新聞と同様に急激な減少となってしまっている。つまり、折込チラシはメディアとしての存在感を次第に失いつつあるということだ。

その実態をさらに年代別に見たのが図表②だが、やはり新聞購読率は年代が下がるほど低くなっていることが分かる。20代~40代の新聞購読率は60代のおよそ3分の1しかない。図表③は、業態別、年代別のチラシ閲読率を調査したものだが、やはり新聞購読率と同じように、ここに挙げた全ての業態において、チラシの閲読率は年代が若くなるほど低くなる傾向を示している。

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どの業態でも、若年層はチラシ閲読していない?

また、チラシに対する別の見方として、図表④ではチラシ閲覧後の来店率を年代別に調査したものだ。どの年代も数値自体はそれほど高いものではないが、ここでも相対的に高いのは50代、60代の高齢層となっていて、若年層は低い。20代、30代に至っては1桁台となっている。

SM企業で、主力顧客層が60代以上になっているという企業は少なくない。そうした企業からは「若年層の集客が課題になっている」という声が聞こえてくるが、この結果を見ればその理由の一端も見えてくるのではないか。やはり、折込チラシだけでは限界があるということは、こうした数値にもよく表れている。

今は、高齢層の厚い支持に支えられて業績を維持しているからよいという向きもあるかもしれないが、そうした現在の主力顧客層は10年、20年と経つうちに次第に少なくなっていく。企業が永続的に生き残っていくためには、やはり何としても新しいお客、つまり若年層を開拓し続けなければならない。そのためには折込チラシ以外の方法を模索する必要がある。

ちなみに、チラシ閲覧後の行動を調査したのが図表⑤であるが、断トツだったのは「普段行くお店で、普段から買っているものを安く購入した」である。各企業、それぞれ目的を持ち、こだわってチラシを作成、配布しているが、果たしてその狙いはお客に伝わっているだろうか。チラシの受け手がどのようにチラシを見て、行動しているかということも、改めてよく認識しておいた方がよいのではないか。

高齢層もスマホを使いこなしている

 新聞購読率と連動する形で年々、存在感が小さくなり、さらに閲読しているのが高齢層中心となってしまっている折込チラシ。それでは、その代わりとして、どのような集客方法を採用したらよいのだろうか。もちろん、切り口はいろいろあるだろうが、1つの重要な要素としてデジタル化が挙げられることは確かだろう。

図表⑥は、スマホの所有率の推移を年代別に追ったものだ。全年代において所有率は上昇傾向を示すが、特筆すべきは50代、60代の所有率の高まりである。高齢層とも分類される60代でも18年段階で56%以上になっている。

若年層の集客に課題があるからこそ、スマホを前提としたデジタルへの対応が急がれるということが言われるが、そもそもそれ以前に、その主力顧客層である60代自体がすでにスマホを当たり前のように使いこなしているわけだ。その面でも、集客方法におけるデジタル対応が喫緊の課題になっているといえる。

いずれにしても、さまざまな調査結果からは、従来の紙の折込チラシだけではない、新たな集客方法によってお客にとって必要な情報を、必要なタイミングで配信するための工夫が非常に大事になってくるということが伝わってくる。その鍵を握るのが、スマホなどデジタルの活用であるということは確かだ。

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