東急百貨店が日立の小型無人店舗サービス「CO-URIBA(コウリバ)」を活用した実証実験を開始
2022.09.06
東急百貨店と日立製作所は、東急百貨店本店、渋谷ヒカリエ ShinQs、+Q(プラスク)ビューティーの渋谷3店舗において、日立の小型無人店舗サービス「CO-URIBA(コウリバ)」*を活用した新たな買い物体験を提供し、店舗間の送客・誘導につなげる実証実験を開始した。

実証実験は、コスメティックフェア2期間中の9月15日~9月21日および10月27日~11月9日の2回において、渋谷3店舗で実施。(秋のコスメティックフェアは、8月25日~9月21日、冬のコスメティックフェアは10月20日~11月30日に実施予定)
具体的には、対象売場の化粧品を購入もしくは対象のビューティー・リラクゼーション店舗を利用したお客を対象に、各店舗のフロア内に設置した無人店舗「CO-URIBA」において、他店舗で取り扱う化粧品ブランドのサンプルや店舗で使えるサービスチケットなどを配布し、お客の属性・行動データなどに基づき、各店舗への送客・誘導につなげる実証となる。
商品棚と天井に設置した高精度なセンサーから、利用者の行動ログといったデータを収集、アンケート結果などと組み合わせて分析し、LINEによる販促やサイネージ広告による誘導といったさまざまなマーケティング施策を展開して、店舗間の送客、相互利用を促進する。
* CO-URIBA:小さなスペースを生かし、ともに売り場をつくりたい」というコンセプトで提供する、日立の小型無人店舗のサービス
実証実験の背景
東急百貨店は、渋谷地区の新たなランドマークをめざす「Shibuya Upper West Project」に伴う2023年1月31日の東急百貨店本店の営業終了も見据え、さらなる満足度向上に向けたさまざまな取り組みを検討してきた。
中でも、コスメ&ビューティーは、食品と並ぶ重点分野であり、渋谷地区内における利用を継続的に楽しんでもらうため、異なるコンセプトで展開する渋谷ヒカリエ ShinQs、+Q (プラスク)ビューティーの各コスメ&ビューティーフロアのさらなる相互利用、強化を進めている。
こうした背景の中、今回、東急百貨店と日立は、完全無人の店舗サービスである「CO-URIBA」を通じて、「気軽に、興味を持ったブランドのサンプルやビューティー・リラクゼーションなどのサービスチケットが手に入り、それにより新たなコスメ&ビューティーに出会う」という、今までにない購買体験・価値の提供に向けて、両社で検討、実証を開始したとしている。
実証実験の内容
「CO-URIBA」は、センサーを活用した行動ログの取得、データに基づくデジタルサイネージによる誘導、生体認証などによる本人確認*や自動決済まで行う日立の小型無人店舗サービス。
今回の実証では、各店舗フロア内に設置した「CO-URIBA」に、他店舗で取り扱う人気ブランドのサンプル&サービスチケットを常設し、化粧品やビューティー・リラクゼーション店舗での施術を4,000円(税込)以上購入もしくは利用したお客を対象に、好きなものを2~3点自由に選んでもらう。(選べる数は店舗により異なる。)

*今回の実証では生体認証ではなくLINEアカウントとの連携により本人確認を行うため、入店時に、東急百貨店が運営する公式LINEアカウント「TOKYU BEAUTY LINE公式アカウント」への友達登録が必要。
1.SNSとの連携により、発信力を強化
「CO-URIBA」に入店する際、LINEアカウントに表示されたQRコードをかざすことで、東急百貨店で保有する利用者の属性情報などと紐づける。また「CO-URIBA」で取得した行動データと掛け合わせ、興味・関心のあるブランド情報や個別のおすすめ情報をLINEでダイレクトに発信することで、お客への発信力を強化。
2.お客の行動に応じた関連情報の表示で、満足度の高い顧客体験を提供
サンプル品に手を伸ばす・取るといった行動や、入店時に回答するアンケートの結果に応じて、おすすめ商品・商品を取り扱う売り場などの関連情報を、「CO-URIBA」上部にあるサイネージにリアルタイムで表示。これにより、お客のサンプル&サービスチケット選びを支援し、無人店舗においても満足度の高い顧客体験を提供。
3.「CO-URIBA」ならではのデータを活用した分析で、マーケティングの高度化を支援
商品棚と天井に設置した高精度なセンサーにより、「何を手に取ったか」「何を棚に戻したのか」「最終的に何を選んだか」「どれだけ悩んだのか」といった従来は取得できなかった詳細な行動データを収集。お客の属性情報やアンケート結果と組み合わせて複合的に分析することで、東急百貨店だけでなくコスメ&ビューティーメーカーにとっても、より新しく高度なマーケティングにつなげることができるという。
今後の展開
1回目(9月15日~9月21日)の実証結果をもとに、 2回目(10月27日~11月9日)の実証実験では、さらに質の高い顧客体験の提供をめざすほか、収集データを活用したより緻密なマーケティング施策の企画や展開、効果検証も行う予定だ。
今後、東急百貨店と日立は、マーケティング戦略の一つとして、コスメ&ビューティーフロアのほか、さまざまな施設に「CO-URIBA」の展開を検討するとともに、日立独自の特許技術PBI*1を中核とした「生体認証統合基盤サービス」*2を活用した生体認証による手ぶらでの入店や、IoT決済プラットフォームサービス7を活用したセンサー情報による自動決済機能など、日立の各種Lumada8ソリューションと組み合わせ、新たな買い物体験とサービスの提供に向けて、引き続き実証を進めていくという。
*1 Public Biometric Infrastructureの略。指静脈や顔、虹彩などの生体情報を安全に扱うことを可能にする日立独自の認証技術。認証装置で読み取った生体情報をそのままの状態で登録するのではなく、暗号化して復元できない形に変換するため、万が一、システム上のデータが漏えいしたとしても、生体情報を悪用することは不可能で、プライバシーの保護と高度なセキュリティの両立を実現。
*2 指静脈や顔といった生体情報で本人を安心・安全に特定する日立独自の公開型生体認証基盤「PBI」技術を中核とし、さまざまな業態・分野に適用