そごう・西武がそごう大宮店にて、AIカメラを活用した来店顧客のフロア間行動分析を開始
2023.07.14
そごう・西武は、そごう大宮店にてAIカメラを活用した来店顧客のフロアをまたいだ行動分析の実証実験を開始した。
そごう・西武では2022年4月よりAIカメラによる実証実験を開始し、お客の数の把握と属性(性別・年代)を推定する取り組みを始めた。今回の実証実験ではそれに加えて、発展的な取り組みとして来店当日のフロアをまたいだ移動履歴(店舗内の位置、買い回りの順序、滞在時間)を分析する。
実証実験概要

期間:5月30日(火)~9月30日(土)
実証実験対象フロア:そごう大宮店 地下1階、2階および7階
AIカメラ設置台数:19台
今までの顧客分析の課題
そごう・西武の店舗は日々多くのお客が来店しているが、その中で取得できるデータは店舗全体の入店客数と商品を購入したお客さまの情報のみだった。そのため、フロアに来場している多くのお客の情報は取得できていない状況だった。
今回の実証実験の目的
今回の実証実験ではそごう大宮店のメイン入口である2階正面入口と集客力の高い食品売場のある地下1階および7階催事場に計19台のAIカメラを設置。
これによりお客の来店目的が食品フロアへの目的購買なのか、非目的購買(ついで買い)なのかなどを可視化する。その分析結果をもとに、品揃え・店舗レイアウトの改善につなげ顧客体験価値の向上につなげる。
今後目指していく目標
今後はAIカメラを全館に設置していき、ECの当たり前をリアル店舗でも当たり前にする。ECでは、お客がどこから来て、どうサイトを巡回し、何を買ったのか、あるいはどこで離脱したのか、全て可視化されるので、その状態をリアル店舗でも実現していく。
さらに将来的にはAIカメラで取得したデータと購買データを組み合わせて、出店しているテナントにサービスの一環として提供するなど百貨店としての新たな価値提供も目指していく。
現在までの行動分析の成果
そごう大宮店でのフロア間行動分析の結果、20代のお客さまの約7割が上層階の他の売場を経由して食品売場に来ていたことがわかったという。
30~60代のお客は上層階を経由して食品売場に来たのが3~5割だったことと比べると大きな違いとして現れている。
このことから20代のお客は食品売場以外のフロア(上層階のロフトなどの専門店や化粧品売場)を目的として来店し、ついでに食品フロアに立ち寄る「非目的買い」の傾向が強いことが推測されるという。
今後は、店内を回遊する20代のついで買いをさそう仕掛けを実施すると同時に目的を持って食品フロアに来店してもらうために、20代のお客に向けた品揃えや催事を開催することで若年層顧客の取り込みを目指すことが有効と考えられるとしている。
過去の実証実験の成果
西武池袋本店7階催事場で2022年10月から実施したお客の数と属性(性別・年代)を推定する実証実験では、毎年開催している「京都名匠会」に訪れたお客の3割近くが30代以下であることがわかったという。
今まで物産展はメンバーズカードの対象外という事もあり数字としての購入者データが無く、年配のお客が多いと感覚的に想定していた。しかし、実際は若い年代のお客も来場しているという新たな発見があったという。この結果を踏まえて若年層がより京都名匠会を楽しめるよう、抹茶のスイーツを用意したり、映えやすいものを取り入れたりしようといったアイデアが出ている。


お客のプライバシーに配慮したデータ収集
今回の実証実験はIdein株式会社の技術を採用。同社が提供するエッジAIプラットフォームActcastを活用することで取得した情報をAIカメラ内での処理が可能となった。そのため解析結果はテキストデータのみとなるため、お客のプライバシーにも配慮したデータ収集で個人を特定せずに情報を活用することができる。