ベルク神奈川深耕戦略、売場づくりを徹底解剖! ベルクフォルテ横浜川和町店、560坪、20億円の全貌
2022.09.07
ベルクは新型コロナウイルスの影響が始まって2年目を迎えた2022年2月期も既存店売上高前年比で101.3%を達成。
既存店客単価前年比は98.7%と前年を割っているが、とりわけ既存店客数前年比を102.7%と伸ばしている点はチェーンストアとしてあるべき姿といえ、同社の店の強さを示している。
既存店客数前年比は今期に入っても継続、毎月前年比をクリアし続けている。コロナ禍前の19年と比較すると115%~120%といった高い伸びを示す。
さらに同社の特徴といえるのは、チェーンストアにとっては小商圏化が避けられない昨今の状況にあっても1店当たりの年間売上高も伸ばし続けている点。22年2月期は23億8800万円となっているが、これは9年前の1.35倍になるという。
同社はチェーンストア経営の原則を重視し、標準化を徹底することで生産性を高め、競争力を向上させている。店舗についても売場面積600坪タイプの標準化されたスーパースーパーマーケット(SM)を出店し、前述の結果を挙げている。
そのベルクが8月31日、自社開発のショッピングセンター(SC)「フォルテ横浜川和町」を横浜市営地下鉄グリーンライン川和町駅の駅前に出店した。核店はベルクフォルテ横浜川和町店で、横浜市内2店目、神奈川県では6店目、全社では128店目となる。

フォルテ横浜川和町は横浜市川和町の街づくり企画の一環としてオープン。横浜市の指導の下、地権者主体で駅を中心とした商業施設、中高層住宅などを配置したコンパクトシティとして開発。フォルテ横浜川和町店はその核となる存在だ。
「地域社会の人々により充実した生活」をコンセプトに掲げ、地域住民に気軽に、便利に利用してもらえる商業施設を目指す。
560坪タイプで初年度20億円の年商目指す
核店のベルクの他、ドラッグストアのマツモトキヨシ、無印良品、フィットネスクラブのエニタイムフィットネス、100円均一ショップのセリア、飲食店、歯科医院など日々の生活に便利な8テナントが出店する。8月31日にベルク、一週間後の9月7日にマツモトキヨシやセリアなど、さらに一週間後の14日に無印良品がオープンするといった形で順次オープンすることで、混雑を緩和する工夫がされている。
敷地内にはベルクが運営する「BEL-PA!(ベルパ!)」を併設。同施設ではイベントを実施したり、キッチンカーを出店したりするなど家族で楽しめる場を提供するもので、駅から徒歩2分ほどと気軽に立ち寄りやすい立地にあることもあって、さまざまな動機での来店を期待する。

核店のベルクフォルテ横浜川和町店は売場面積が560.3坪で、ベルクの標準的な規模である600坪と比べやや小型。営業時間が9時から24時と長時間営業していることから日常の買物の他、通勤や通学からの帰宅の際にも立ち寄りやすさもアピールしている。
初年度年商目標は20億円。SC出店のため高いといえるが、ベルクでは競合などの特別な条件がない限り、2年目には1割増、3年目には8%、その後も5%といった形で年々増加していくのが通常であるという。
同店は500mほどのところに売場面積492.7坪のオーケー川和町店を抱えることもあって、価格対応を強化。
ベルクでは競合状況によって価格対応のパターンを設定しているが、全体としても目立つ商品の価格を強化している他、全社的に20年秋から実施しているかご台車での単品の強力な価格訴求によって、安さのイメージは相当高まっている。

特にかご台車での展開は、コロナ禍初期の特需で出た利益を還元する目的で始めたもので、ベルクの継続的な既存店の伸びにも大きく貢献しているものとみられる。
業界としては値上げ局面にあるが、ある程度上げざるを得ない部分はあるが、できるだけ遅くするという考えの下、物流インフラの合理化や生産性向上を図る。
今期に入ってから1品単価は101%程度と上がり気味である半面、買上点数が99%程度になっていることから、この「かい離」には注目しているという。1品単価の上昇幅でカバーできない買上点数の減少とならないように意識している。
また、ここのところ、商品力の強化と併せ、そのアピールための販促を変えている点も継続的な売上げの伸びにつながっている可能性がある。売場での販促だけでなく、ツイッターなどのソーシャルネットワーキングサービスなどを活用した展開にも着手し、「商品を伝える」力を強化しているという。



鮮魚、精肉でも生鮮部門の惣菜を展開
フォルテ横浜川和町店の全体のアイテム数は1万5000~1万6000。
入口先頭にレイアウトされる青果に続く売場は、以前は鮮魚だったが、ここのところの新店では精肉にしている。売上高構成比などで見ても精肉の方が高いといったこともある。











売場のところどころでは、デリッシュキッチンのレシピ動画を展開。データ分析によるマーケティングとの連動も図っている。

また、ベルクでは生鮮部門が手掛ける惣菜を展開している。鮮魚については、売上げが減っているのは調理が面倒といったこともあるとの考えの下、惣菜を用意するといった位置づけになる。
鮮魚部門が手掛けるため、鮮魚の原料を用いることで惣菜部門とは違った価値を打ち出す。鮮魚のバックヤードに機器を導入して加工。売場も鮮魚売場で展開。そのため、現状は全店ではなく、最近の新店、改装店での展開となっている。


フォルテ横浜川和町店では精肉の惣菜も展開。



惣菜は強化部門で、常時300アイテム以上品揃えする。






今年1月に子会社のホームデリカの米飯工場である第一工場をパワーアップして新規稼働させているが、今後は現状店内で製造している弁当について、そこで完成品、もしくは仕掛かり品まで製造するといったことにチャレンジすることも視野に入れている。



昨今、スイーツは強化しているがフォルテ横浜川和町店ではさらに強化しているという。


インストアベーカリーはコンセッショナリーによる展開。

ベルクでは生産性を向上させるために幾つかの商品についてケースごと陳列するなど、さまざまな取り組みを実施しているが、今回、ホールセールパンの売場について、バンジュウのまま陳列できる什器を導入した。





他にもスライド式で引き出せる棚など随所で生産性向上を目指す什器を導入している。
プライベートブランド(PB)の「くらしにベルクkurabelc」は2018年に販売開始。

ベーシックな商品からスタートして、昨今ではエナジードリンクといったし好品などにもチャレンジしている。難しい商品分野であるだけにワンロットでやめる商品もあるが、担当者にとっての作る過程での教育的な側面も重視し、挑戦しているという。

PBの売上高構成比は22年2月期段階では、くらしにベルクkurabelc が4.9%、イオンPBのトップバリュが1.6%で計6.5%だったが、直近の22年7月度にはそれぞれ6.1%と1.6%の軽7.7%にまで高まっている。当面はPB比率10%を目指しているという。
また、一部PBを含む直輸入商品も強化している。22年2月期段階では97SKU展開し、売上規模は26億8200万円に上っている。
主なアイテムにはアボカド、パプリカ、サラダチキン、塩あじ枝豆(冷食、デリカ)、若鶏からあげ、スパゲティ、オリーブオイル、トマト缶、ネットスポンジ、ワインなど。


冷凍食品は伸びている。現状のスタンダードは平ケースを配置し、両側にリーチインケースを配置するもの。リーチインケースは、補充効率は良くないが、品揃えを確保する目的もあって導入している。

ギョーザ、唐揚げ、チャーハンなどの売上げが高いが、ここに来て冷凍野菜や冷凍果実などが売れるようになってきているという。


また、ベルクではスマホを使ってお客がスキャンしながら買物する「スマベルク」を20年の秋から展開、約20店ほどで導入している。フォルテ横浜川和町店でもオープンからしばらくして落ち着いたタイミングで導入する予定。

ベルクフォルテ横浜川和町店概要
所在地/神奈川県横浜市都筑区川和町1403
オープン日/2022年8月31日
営業時間/9時~24時
敷地面積/3439坪
延べ床面積/2735坪
建物構造/2階建て、平面駐車場、2階荷受け、屋上駐車場
売場面積/560.3坪
駐車場/平面97台、屋上116台、合計213台
駐輪台数/188台
店長/内田尚希
従業員数/60人(8時間換算)