「MUJIcom東池袋」がオープン、初の中食サービス「MUJI Kitchen」を設置した「食」中心、地域密着型小型フォーマットのモデル店
2022.04.12
2022.01.13
「無印良品」を展開する良品計画が1月14日、本社ビル1階部分に新店舗として「MUJIcom東池袋」をオープンした。
「食」を中心とした毎日の生活必需品を取りそろえた地域密着型小型店
「MUJIcom」は同社が展開する小型店で、東池袋を含め27店の展開。より必需品に特化した品揃えをコンパクトに展開するタイプだが、今回の「MUJIcom東池袋」では初めて弁当や惣菜などを展開。
それら中食サービスは「MUJI Kitchen」としての展開となるが、これは無印良品全体としても初めてとなる。惣菜自体の提供は「Café&Meal MUJI」フォーマットで飲食店形式で展開しているが、今回のような持ち帰り主体の提供は初の取り組みとなる。
また、中食以外にも冷凍食品など食品の品揃えを充実させると共に、日用消耗品や掃除用品などの生活必需品を取りそろえ、「必要なものが徒歩圏内ですぐ買える、近所にある地域密着型小型店」をコンセプトとし、「地域とつながる」取り組みも展開する予定。
東池袋の売場面積は117坪。物販のアイテム数は約1300で、うち食品は約800と、食品中心の品揃え。同社では、スーパーマーケット(SM)との共同出店と並んで、食品の取り扱いを強化することによって「来店頻度の向上」を目指している。同社としては「毎日来店してもらいたい」モデル店としている。
物販の食品以外のアイテム数は、衣服・雑貨が約130、生活雑貨が約400といったバランスとなっている。
もともとMUJIcom自体、来店頻度向上を目指して開発されたフォーマットだが、今回、品揃えを一から見直した中で、さらに来店頻度向上に寄与しそうな中食を加えた形。東池袋の状況を見ながら、今後、地域密着型の小型店として住宅地立地、オフィス立地などへの出店を模索していく。
MUJI Kitchenでは弁当、惣菜の他、野菜や日配などを合わせて約100アイテム展開。弁当や惣菜は店内で製造する。これまで銀座など一部店舗で取り扱ってきたアウトパックの弁当とは一線を画している。
弁当は今回のオープンに当たって8種類を開発。これを日替わりで2種類ずつ、4日で一回りのサイクルで展開していく。
厨房にはフライヤーやスチームコンベクションなどを配備しており、カット済みのキットなどを活用するものの、炊飯も含め多くを店内で行うことで、より「出来たて」の商品の提供に努める。
店内での製造は人手が多くかかる一方で販売動向に応じた製造ができたり、値入れを抑えることができるなどメリットもある。それを生かす形で、弁当は総額で500円(総額、以下同)という価格で値頃を実現している。
のり弁 鮭 混ぜご飯 鶏照り焼き
のり弁 生姜焼き 混ぜご飯 さば のり弁 すき焼き 混ぜご飯 魚の煮付け のり弁 鶏スイートチリ 混ぜご飯 ハンバーグ
また、現在まだ取り組みとしては実現していないものの、今後は店内で取り扱う青果などを素材とした弁当、惣菜の開発にも取り組みたいといしている。
「素の食」をテーマに、野菜を中心とした旬の食材を使った健康的で、体にやさしい弁当や惣菜を取りそろえ、毎日の食生活をサポートを目指すという。
また、無印良品のレトルトカレーなどレトルトのシリーズを店内で温め、ご飯と合わせて器に盛り付けて提供する「50種のごちそうレトルトバー」を展開。レトルトを選んでもらい、それを温めて提供するサービスも初めてとなる。
主な品揃え
お弁当・惣菜 | ・野菜中心の健康的な「日替り弁当」 ・必要な分だけ購入できる量り売り惣菜 ・気軽に手早く購入できるパック惣菜 ・野菜をたっぷり食べられるサラダ |
50種のごちそうレトルトバー | ・無印良品のレトルトカレーやごはんにかけるシリーズなど、50種類のレトルト食品を、当店スタッフが温め、器に盛りつけて提供します。 |
野菜・乳製品 | ・旬の野菜や果物 ・製法にこだわった牛乳やチーズ ・国産大豆を厳選し、製法にこだわった豆腐や油揚げなどの大豆製品 |
デザート | ・チーズケーキなどの焼菓子 ・ヨーグルトやカットフルーツ |
量り売りなど | ・1個から購入できるこだわりの卵 ・玄米や白米など必要な分だけ購入できる、お米の量り売り |
「地域とつながる」取り組みとして「地域つながりスペース」設置
「地域密着」を標ぼうすることもあって、売場では池袋周辺のショップなどを紹介するマップの掲示や池袋周辺の地域に根付いた商店の紹介、さらにそれらの店の代表商品を販売するといったことにも取り組む。さらに「地域のお店や人とつながる」取り組みを行う「地域つながりスペース」を設置するなど、一貫した姿勢が伝わってくる。
主な内容
IKEBUKURO to GOマップ | 「学べる」「食べる」「感じる」「楽しむ」をキーワードに、池袋周辺のおすすめスポットやショップを紹介します。 |
つながる掲示板 | スタッフが月ごとに池袋の名店やイベントを取材し、おすすめポイントや魅力を掲載します。 |
つながる屋台 | 池袋に根付いた商店を月替わりで紹介し、同店の代表商品を販売します。 |
つながるコーヒー | コーヒーチケット(1杯分)を購入し、メッセージを添えて掲示板に貼り付けると、次に当店を訪れるどなたかに1杯のコーヒーをプレゼントすることができる取り組みです。 |
注力分野の冷凍食品はフルラインアップの展開
冷凍食品は壁面に大きなスペースを取り、レンジで温めてすぐに食べられる雑穀おにぎりや、フライパンを使って10分で調理できるミールキット、手軽に使えるカット野菜、素材を生かした惣菜やおやつなど、生活をサポートするさまざまなアイテムを販売。新商品「うなぎ巻き」と「たまご巻き」の2アイテムは同店から先行発売する。
環境に配慮した活動
フードドライブ | ご家庭で余剰となった食品・調味料などを受け付け、NPO法人豊島子どもWAKUWAKUネットワークと連携して、子ども食堂や必要なご家庭に提供します。 |
給水サービス | どなたでもご自由に利用できる給水機を設置。マイボトルで飲料水を無料でご利用いただけます。給水できる飲料水はフィルターを通した水道水を使用しています。 |
リターナブル容器 | デリのお持ち帰りの際に、ご自身の容器をご利用いただけます。ごみの削減につながる取り組みです。 |
その他サービスとしては、非接触、非対面で商品を受け取ることができるロッカーを店外に設置。日用品、衣料品に加えて冷凍食品を受け取ることができる冷凍機能を備えたロッカーとなる。
中食での来店頻度向上と物販での売上確保が鍵
店内製造の弁当、惣菜を目玉にした100坪タイプの新フォーマットとなるが、一方で売上高構成比では、奥に位置する物販が7割以上になるとみられる。
店内構造をみると、物販は完全なセルフサービス、レジも対面レジ1台の他は全てセルフレジということで、補充や商品管理などは必要ではあるものの、結果として人時の主要部分は惣菜の厨房に集中している。
店内製造には多くの人時がかかる他、オペレーション上、どうしても提供キャパシティの上限が発生してしまうが、それをカバーする運営が目指されていることが分かる。
弁当、惣菜で来店頻度を上げつつ、いかに物販につなげるかが、このフォーマットの成否を大きく左右することになるとみられる。
来店頻度を上げる取り組みとしては弁当の回数券を用意するなど工夫がみられる。2300円で500円の弁当を5回引き換えられるサービスで、事前に回数券を購入することでレジに並ばずに弁当を受け取ることができる。回数券は無印良品のネットストアで販売する。
いずれにしても、中食をベースにより住宅地寄りへ、お客に近づく無印良品の動きは、今後、SMにとっても競合となってきそうだ。
MUJIcom東池袋概要
店舗名 | MUJIcom東池袋 |
所在地 | 東京都豊島区東池袋4-26-3(株式会社良品計画 本社1階) |
売場面積 | 401㎡(117坪) |
オープン予定日 | 2022年1月14日(金) |
営業時間 | 平日8:00~20:00 土日祝11:00~18:00 |